本棚を見上げて、しばらく読んでいなかった本を手に取る。
山田ズーニー著「『働きたくない』というあなたへ」
ほぼ日で連載してたコラムを書籍にしたものだ。最近はほぼ日のサイトもあまりみなくなってしまったけど、山田ズーニーさんの連載はまだ続いているのかなぁ。
単行本が出た当時に買って読んだ。奥付をみると2010年刊となっているから、10年近く前に読んだということになる。
パラパラとめくってみると、『おかんの戦場』とか、なんとなく覚えている章もあるけれど、ほぼ忘れている。読み返してみようかと思う。
カイシャの新人さんで、今ちょっと崩れちゃってる人がいてね。
よくあるとはいわないが、たまにある、でも本人的には確かに相当つらいであろう失敗をしたのだ。オキャクサンとの信頼関係を問われる問題だから、たしかに重いだろう。前からコードネーム=センムをはじめ、なんとかしよつとサポートに入っていたけれど、結局しんどい結末を迎えることになった。
で、シャインさんは先輩に慰められて、なんとか気を取り直してがんばります、と言っていたものの、休み明けに体調を崩し、一週間近く休んだ後、退職したいといってきた。
少し冷静になりなよと、しばらく待つ姿勢でいたんだけどね。センムとか、すごいがんばって働きかけてくれていた。
一ヶ月近くたって、体調的には回復しているようではある。当初はそれまで抑えていた疲れが全部出たんだろうなぁと感じたから。
今は、どうしていいかわからない状態なのだろう。
そろそろ落ち着いただろうと呼んだら来てくれたので、少し話したのだけれどね。
失敗は重い。
仕事自体は好きだ。
でも、これから復帰する自信はない。
転職も考えたが、この職場はとてもよかったのでそこを辞めるのもと悩む。
聞いてみると、つらつらと想いは語ってくれたけど、話しているうちに右往左往する感じもあってね。
俺からみれば、そんなんだったら、とりあえず仕事やっちまった方が早くない?という気もするんだけどさ。
本人的には、すごく重いのだろうねぇ。
彼女は実家で親と暮らしているから、仕事を辞めたからと言ってすぐに生活に困るわけでもない。資格職ではあるし、今はどこも人手不足だから再就職なんて、いくらでもあるだろう。リセットしちゃった方がラクかも、という気持ちはわかんないじゃないんだけどさ。
それでもまだ、悩んでいるところに望みはあると思いたいところだけどねぇ。
もちろん途中で投げ出されたら困る、という部分はある。でも、それだけではないとも思うんだよなぁ。どうしたら、それを彼女にわかってもらえるんだろう。
ゲームのように最初からリセットできるなら、その方が楽かもしれない。
彼女は学校の成績は相当よかったようだ。一旦ミソがついた場所よりも、それまでの自分をしらない場所で0からやりなおした方が、優等生である自分を取り戻せると思うかもしれない。
でも、そうはならないと思うんだ。
半年程度とはいえ、いっしょにやってきた人たちがいて、しかもその人たちがイヤでやめるわけじゃない。頼りになる人たちだったと思っている。そこから出て、新しい環境に入ったとき「また同じことを繰り返すかもしれない」という不安をどうやって乗り越えるのだろう。
いやでも、そういうことを言いたいわけじゃないんだよね。
そんなことしたら、もっと困るよ、なんて言いたいわけじゃないんだ。
辞めたいのにやめられない、ブラックな職場と思うかもしれないけど、あんたがいなくちゃ、こっちが困る的なことを言ってるつもりもない。ちょっとはあるけど(苦笑)。
もっとポジティブな想いがあってさ。
今はつらいかもしんないけど、これ乗り越えたら、それが自分の力となりもっと自由に動けるから。そして自分の能力を自由に駆使できるという感覚こそ、仕事をする喜びの源泉になるんだ。
それをみすみす手放すのは、もったいなくないか?
それは体験からくる確信だ。
でも体験していない人に、それを言ったところでなかなか伝わりはしない。
できなかったことができるようになったとき、そこには断絶が生まれる。できる、わかるようになると、今度はできなかった、わからなかったのがなぜなのか、わからなくなるのだ。こんな程度のことなのに、って。
それほどに、断絶は深い。
働きたくないというあなたに、どうしたらその断絶が跳べるんだということをわかってもらえるだろう。
ログインしてコメントを確認・投稿する