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2019年09月10日22:54

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ウルトラ貧困エンターテイメントの最高峰!「存在のない子供たち」



スゲェ、スゲェとは聞いていましたが、確かに凄い!
宣伝文句通り、間違いなく圧倒される作品でした。
貧困エンターテイメントの最高峰と言っても良いのでは?

「貧困と飢えた子供を描いた、辛いだけの映画でしょう?「火垂るの墓」みたいな、消えないトラウマを、力任せに杭で打ち込む様なやつ。勘弁してよ!こっちはただでさえ会社でもSNSでも粘着質で威圧的なキチガイに嫌がらせを受けて、精神が弱っているんだから!」
と言う様な気持ちで、なんとなく躊躇している人にこそ、実はオススメしたいのです。
確かに地獄の様な環境と、主人公を徹底的に追い込む厳しい展開に、辛い思いをするのは間違いありません。

でも、この映画が評価されたのは、世界の至る所で存在しながらも誰にも光を当てられなかった、究極の貧困社会の仁義なき社会を描いた、という点ばかりでは無いのです。
純粋に、エンターテイメントとしての面白さがあるのです。
僕は最後まで観て、むしろ爽快感を感じました。

貧困社会で日々生きていくだけで精いっぱいの状況になれば、倫理観なんていうものは、かなり早い段階で躊躇無く売られます。
わずかなお金のために、違法でもやれる事はなんでもやります。
心の余裕の無さは、弱者への優しさの欠如へと向かい、虐待を誘発します。
一番キツイのは、この先に何の希望も存在しない事。
どれだけ懸命に努力しても、永遠に貧困から逃れる術は無いのです。

そんな社会で、主人公の様な少年が果たして存在し得るのか?
現実には難しいでしょう。
でも、これは映画です。
ただ子供が苦しんで死ぬだけの話なら、確かにリアリティはありますが、そんなもの誰が観たいと思うのでしょうか。

本当に、主人公の少年は凄い男、いや漢(おとこ)です。
終盤の、耐えかねた彼が遂に行動を起こすシーン!
思わず拳を握りしめ、「行け!」と大声で応援したくなりました。
応援上映では無かったので、声は出しませんでした。

実はこの映画、環境は独特ですが、お話の流れ自体は昔ながらの娯楽作品と同じです。
どれだけ力が強い相手にも屈せず、弱い者には優しさを与え、そして我慢に我慢を重ねた結果、遂に行動を起こす!
僕には、彼が高倉健に見えました!
神にすら怒りを向ける彼のセリフに、本当に胸が熱くなったのです。

社会派映画としての側面については、多くの人が語っていると思います。
今の日本がかつてのアメリカと同じ政策、つまり福祉の削減と富裕層の税の優遇を行っていけば、貧困層は確実に拡大します。
さらに外国人労働者の受け入れにより、酷い労働条件で生活に苦慮する貧困外人も増えていくでしょう。
貧困層でなくとも、犯罪の増加によりかつての安全神話はすっかり失われるわけで、ここに描かれた地獄はすぐそこまで来ていると言えます。

でも、僕はそういった特定の問題を描いただけの映画だとは思いません。
例えすべてを敵に回しても、信念を貫く事。
多数の意見であっても、間違っているのなら異論を唱える事。
その事を世界に向けて声を上げる事。
こういった事をやろうとする人に、勇気を与える映画になっていると思うのです。
形は違えど、こういう人は世界にたくさんいるでしょう。

今の社会だって、そうした人達の努力によって改善されてきたわけで、これを止めてしまえば、すぐにでも権力者と奴隷しかいない世界になってしまうのです。
奴隷になる前に声を上げなければならない!
サァ、雨傘を持って街へ出て、デモ行進に参加するのだ!

・・・こんな事を書くつもりはありませんでした。
どうやら、周庭(アグネス・チョウ)さんの守護霊に憑りつかれていたようです。
辛気臭い社会派映画じゃない、本当に面白いエンターテイメント「存在のない子供たち」を是非ご覧いただきたい。
言いたい事はこれだけなのです。
大ヒットすれば「存在のない子供たち・レバノン死闘篇」「存在のない子供たち・代理戦争」・・・と続編が観られるかもしれないので、本当にお願いします。
赤ちゃんも可愛いよ!

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