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2019年06月14日00:06

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ファーザー・オブ・ザ・ブライド

ヴァンパイア・ウィークエンドの新作「ファーザー・オブ・ザ・ブライド」を聴いた。
前作「モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ」を僕は2013年の年間ベスト・アルバムの1位にした。
そう、2013年だから、6年ぶりにやっとリリースされたアルバムになる。
そして6年間も待たされた甲斐のある、大変にお気に入りの1枚になっている。
キーボーディストのロスタム・バトマングリが脱退してしまったため、どうなるのか少し心配していたのだが、そんな心配は完全に杞憂に終わった。

今回はとにかくギターが大活躍している。
元々アフリカっぽいテイストが感じられるバンドだったけれど、今作のギターも随所にアフリカっぽい音色とフレーズに溢れている。
また、半ダース近いギターを、それこそ適材適所に散りばめており、そんな散りばめられたギターが、それぞれ細かい所で、繊細かつ大胆に、細心の注意をもって、本当に丁寧に鳴り響いている。
フレーズも、音色も、鳴らされるタイミングも、左右へのパンによる振り分け方も、それぞれのギターの相関性も、それぞれのギターの間にある空間の活かし方も、とにかく必要不可欠な要素だけで見事に組み上げられいる。
ギターだけでなく、ベースも、各種パーカッションも、キーボードも、そして勿論歌声も、本当に細かいところまで丁寧に丁寧に配置されており、それらが一つになって素晴らしい楽曲世界を作り出している。
中島誠之助でなくても、「いやぁ、いい仕事してますねぇ」と唸ってしまう。

曲調やエズラ・クーニクのヴォーカル・スタイルってどことなくポール・サイモンに似ている。
特にエズラの単語の発音がポールに似ているように感じる。
だから曲によっては「あれ、若いころのポール・サイモンかな」と思わせることもある。
両者ともにアフリカ音楽を取り入れているし、また両者ともにかなりインテリジェンスな印象も与える。
ただ、エズラの場合「嫌味のないインテリ」って感じがするのに対して、ポールの場合、たまぁにペダンチックな匂いがツーンと鼻を衝くことがある。
またエズラの場合、楽曲に人為的な印象はあまり受けないが、ポールの場合、「ああ、計算して作っているな」といった表情が垣間見えることがある(どれも僕の主観ですので、念のため)。
そこがエズラとポールの大きな違いのように思える。
まぁ、悪口みたいなことを書いちゃったけど、ポール・サイモンも結構好きなアーティストの一人です。

今作は約58分間の中に18曲がギュっと収まっている。
1曲1曲が割と短い。
日本盤はこれに3曲のボーナス・トラックが収録されて、それでも約66分、と曲数の割には収録時間は短い。
つまり短く、きっちりと、隅々まできちんと目配せされた楽曲が揃っている、ということになる。
特にお気に入りは、例えばオープニングを飾るスリー・フィンガー・ピッキングによる「Hold You Now」や、ヘイト・スピーチを題材にしたと思われる「Harmony Hall」、小曲ながら妙に印象に残る「Big Blue」、ストリングスがちょっとオリエンタルな「Roch Man」、コミカルなスキャット風のフレーズで始まる「Sunflower」、最もアフリカっぽいサウンドを聴くことが出来る「Flower Moon」、細野晴臣をサンプリングに使用した「2021」、深く考えさせられる歌詞を持つ「Jerusalem, New York, Berlin」などなど。
どの曲も本当に良くて、これから先、何年も聴き続けられるような作品になっている。

なんか手放しで褒めちぎってしまったようで、ちょっと気恥ずかしいけれど、とにかく大のお気に入りの1枚である。

Harmony Hall/Vampire Weekend

This Life/Vampire Weekend

Sunflower/Vampire Weekend

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