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2017年08月13日16:54

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宝島 その4

小規模多機能ホームたからのおしゃれな庭で、
スタッフの女性に訊いても、
米倉さんの居所は不明だ。

「じゃ、バナナパウンドケーキをいただきましょうか」

黒川さんが言う。

庭の一角に
「バナナパウンドケーキあります。
 食べに来てね」と掲示板が出ていたのだ。

「食べますか? まだ残ってたよね?
 どうぞどうぞ」

ぼくたちを中に招じ入れようとしてくれたけど、
海帰りだし、そうでなくても汚い野郎どもだ。
お庭のテーブルで結構ですよ。

ぼくたちがベンチに座ると、
「これどうぞ。あのおばあちゃんがつくったんです」
と、お皿に乗ったケーキ状のものを出してくださった。

甘いものに疎いので、
これがバナナパウンドケーキなのかと思ったが、
それは焼餅だと言う。

黒糖を使った、この地方の伝統的なおやつだとか。
上品な甘さだった。

さらに、
これは明らかにバナナパウンドケーキだとわかるケーキと、
冷凍の島バナナのお皿が出された。

渇いた喉に冷凍バナナがメッチャうまかった。

ぼくは最初からわかっていたが、
当然、無料だった。

でもぼくたちは米倉さんにもさんざんご厚意を受けたし、
カンパの意味も込めて、
ひとり1000円ずつを集め、
ぼくが代表で渡しに言った。

でも、それを断るスタッフさんのお顔を見て、
ぼくはお金を引っ込めた。

遠慮とかやさしさとかそういうことではなく、
心をお金と引き換えにはしたくない!
という強い思いを感じたからだ。

ここはご厚意をさらに受けることにしよう!

とても感じのいいスタッフさんたち、
おばあちゃんたちと記念撮影をしたり、
和やかな時間を過ごさせていただいた。

どこまで幸運が続くんだろう。

ところが、
まだあった。
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