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2016年05月05日15:22

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「サウルの息子」を観ました

ナチの大量虐殺ものとくれば、映画ではヘビロテされる題材であり、面白さも大体鉄板という、宮崎アニメ以上に安心して観に行けるジャンルと言えます。
ただ、もう数多の映画が存在しているわけで、そこに個性を出すのは今となっては難しいかもしれません。

そこでこの映画、POVとは若干違うものの、主人公の顔のアップに固定して周りはその額縁としてしか映らないという、かなり思い切った試みでほぼ全編を乗り切っています。
よく芸能人が、怪奇スポットや絶叫マシーンで自分の顔が映るように付けるカメラがあるじゃないですか。
ギャーとか言って鼻水が流れる顔がアップで映るようなやつ。
あんな感じです。

このため、臨場感は確かにこれまでの映画とは比べ物になりません。
映像は当然観辛いのですが、たまに「映ってしまう」感じがリアル感あって、音響効果が非常に巧みなため、かなりの迫力。
しかも、冒頭はいきなり「シャワー室かと思いきやガス室でした」ドッキリの大量虐殺シーンで、ドカンとキます。
これが2時間近く続くのか、大変なことになったぞ!と楽しくなります。

ところが。
POV映画でもそうなんですが、ずっとこれだと段々最初のインパクトは薄れ、変化の無い映像が単調に感じてしまうのです。
そして、映画の構成も一番盛り上がるところが冒頭で、その後は地味なやり取りが淡々と続き、緊迫感も薄く、感情を揺さぶる展開も少ないため、収容所ライド映画にもかかわらず、あくび連発となってしまいました。

あと、非常に色々と説明が少ない、というか下手なので、正直何がどうなっているのかよく分かりません。
なんとなくこうなのかな?という予想はつくレベルですが。
後半の展開から、もっと盛り上がっても良いと思うのですが、いつの間にかそうなったという感じなのです。

最後も、悪くない終わり方だとは思いますが、いきなり終わってポカーンという人も多いでしょうね。
個人的にはそういうの嫌いじゃないですが、もっと盛り上がると思ったのがそうならずに終わったので、非常に消化不良に感じてしまいました。

この映画、短編だったらもっと良かったと思います。
長編にするなら、やっぱり手法にこだわるだけでなく、もっと物語を語るべきだったと思います。
ユニークな映像を作る才能はあると思うので、脚本さえ良いものがあれば傑作が誕生するのでは、と思いました。
個人的には是非ホラーにも挑戦して欲しいです。

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