先日、「ゴルゴ13」の第178巻“魑魅魍魎の井戸”を読みました。
その中の“アレーナ・ディ・ヴェローナ”を読んで、
私はゴルゴ13がオペラにも詳しいことを知り感銘を受けました。
この話は、世界的なテノール歌手エンリコ・ペルッツィが自分の声の衰えを悲観して、
オペラ公演の最中に、自分自身を狙撃してほしいという依頼をゴルゴ13にするものです。
その時はイタリアのアレーナ・ディ・ヴェローナで行われる野外オペラの公演中と指定。
私が感心したのは、ゴルゴ13とペルッツィとの会話です。
イタリア・オペラのテノールの数あるアリアの中で、
究極の音「ハイC」が出てくる箇所を熟知していたことです。
下の箇所は、ヴェネチアの謝肉祭で、狙撃を依頼されるところ。
ドニゼッティの歌劇「連隊の娘」のアリア〈ああ!友よ・・・ぼくにとっては何という幸運!〉
のことをちゃんと知っていたことが分かります。
ここ以外でも、ペルッツィとの会話の中で、いろいろオペラの知識を披露しています。
時事問題や世界情勢、科学、工学、医学、歴史だけでなく、
ゴルゴ13はオペラにも精通していることがよく分かります。
その他、テノール歌手の有名なハイCの箇所と言えば
ベルリーニ作曲の歌劇「清教徒」の〈いとしい乙女よ、あなたに愛を〉
ヴェルディ作曲の歌劇「トロヴァトーレ」の〈見よ、恐ろしい火を〉
プッチーニ作曲の歌劇「ボエーム」の〈冷たい手を〉
が有名なものでしょうか。
狙撃が行われるアレーナ・ディ・ヴェローナも
私にとってはツボにはいるものでした。
学生だった私は、1989年夏イタリアを放浪していた時、
ここで野外オペラ公演を見たからです。
2000年前のローマ帝国の遺跡でみた演目は
ヴェルディ作曲の歌劇「運命の力」でした。
懐かしいです。
マンガにはかなり精緻に、このアレーナが描かれていました。
ペルッツィの狙撃の際のリクエストは
ヴェルディ作曲の歌劇「イル・トロヴァトーレ」の中の
テノールが歌う有名なアリア〈見よ、恐ろしい火を〉のハイCを歌い終えた直後で
自分を狙撃してほしいというものでした。
「ハイCのの陶酔の中…観客の前で昇天したい」と。
ゴルゴ13への依頼としては、難易度はそれほど高いものではありません。
楽々とミッションは成功。
私の好みでは、キング・オブ・ハイCを選ぶとするなら
マリオ・デル・モナコかルチアーノ・パヴァロッティです。
声が鋼のように強靭というのは共通していますが、
パヴァロッティの方が柔らかさがあるでしょうか。
この動画でも、とても美しいハイCを聴くことができます。
この話を読んでから、このアリア〈見よ、恐ろしい火を〉のハイCのところで、
ゴルゴ13が撃ったM16の銃声が響き渡るような気がして
ちょっと悩ましく思っていますw。
https://www.youtube.com/watch?v=t_FP752yikQ
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