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2015年04月28日00:28

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<ヘーラクレイダイの帰還>第7話

神話と歴史が少しずつリンクしていきます。あと一話で終わりです。

<ヘーラクレイダイの帰還>第7話

 ラケダイモンを得たアリストデモスの二人の息子たち、エウリュステネスとプロクレスはそれぞれ王家の祖となり、このためスパルタでは二つの王家が存在し、両者の家系が王位につくことになります。
 アルゴスを得たテメノスですが、娘ヒュルネトの夫であるデイポンテス(ヘラクレスから五代目の子孫)を実の息子たちより愛したため、息子たちは王権がデイポンテスに移るのを恐れて、父王を河で水浴をしているときに暗殺してしまいます。王権はデイポンテスに移りましたが、息子たちは国外の助けを得て彼を追い、デイポンテスはエピダウロス王ピテュレウスの元に逃れ、その王座を譲られました。ピテュレウスは人々とともにアテナイに退き、その息子はイオニアのサモスに植民しました。その後、テメノスの二人の息子たちがヒュルネトを奪い、デイポンテスはこれを追って一人を殺しましたが、ヒュルネトも殺されてしまいました。アルゴスの王位はテメノスの息子ペイドンに継がれます。
 テメノスの息子の一人アルケラオス(あるいはカラノス)は兄弟に追われて、マケドニア王キッセウスの元に逃れました。その時、敵に囲まれていたキッセウスは助けてくれれば王国と娘を与えると約束し、アルケラオスはキッセウスを救いました。しかしキッセウスは約束を守らず、溝を掘って炭火で満たし、その上を木の枝で覆ってアルケラオスをだまして落とそうとします。ですが奴隷によってこのことを知ったアルケラオスによってキッセウスは逆に溝に投げ込まれてしまいます。アルケラオスはアポロンの神託によって市の外に出て山羊のあとに従って進み、止まったところに町を作って、山羊(aix)にちなんでアイガイと名付け、マケドニアの首都としました。このアルケラオスの子孫がアレクサンドロス大王になります。ちなみにアレクサンドロスの母オリュンピアスは、トロイア戦争の英雄アキレウスの子ネオプトレモスが、捕虜としたアンドロマケ(トロイアの王子ヘクトルの妻)に生ませた息子の子孫です。
 また別の説では、テメノスの末裔であるペルディッカスが、兄弟のガウアネス、アエロポスと共にイリュリアに逃れてさらに上マケドニアのレバイアという町にたどり着きました。彼らはこの町の王に雇われ、一人は馬、もう一人は牛、そして末弟のペルディッカスはその他の小家畜を飼って働きました。なぜかペルディッカスのパンだけ焼く時に二倍の大きさに膨れ上がるのを見た王はこれを不吉な予兆と思い、兄弟に国外退去を命じます。彼らは賃銀を支払ってもらってから国を出るのが当然だと主張しましたが、それに逆上した王は部屋に差し込んでいる日の光を指して「お前らには相応の、これを賃銀に払ってやろう」と言いました。二人の兄が呆気に取られて立ちすくむなか、幼い少年のペルディッカスだけはそれを戴くと言って小刀で日光の形を隈どって三度繰り返し日光を懐に汲み入れる仕草をして、兄と共に立ち去りました。彼らが去った後にペルディッカスの行為は王位と領土を自分のものにする意志だと部下から聞いた王は彼らを殺すべく追っ手を差し向けましたが失敗し、兄弟はマケドニアの「ミダスの園」と呼ばれる場所の近くに住み着き、この地を拠点としてマケドニアやその他の地方を征服したといいます。

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