mixiユーザー(id:13333098)

2024年05月05日19:29

7 view

天才ミア・ゴスの傍若無人劇場!「インフィニティ・プール」

傍若無人:人のことなどまるで気にかけず、遊び、騒いで勝手に振る舞うこと。また、そのさま

昨年、「Pearl パール」でミア・ゴスの魅力にやられた皆様、お待たせいたしました。
誰もが見たかったミア・ゴスのあんな姿やこんな姿が、こちらの想像を超えて剥き出しになって次々と登場する夢(あるいは悪夢)の様な映画が「インフィニティ・プール」です。

彼女が面白い顔でピストルを構えているこの映画の画像を見てから、ずっと楽しみにしていました。
その期待を全然裏切らない素晴らしさ、頼もしさ。
もう彼女にずっと付いて行きたい、と思わせる内容でした。
絶賛しかない。

ただし・・・。
ミア・ゴスに興味の無い方にとって、この映画がどれほどの価値があるのか、僕には判断できません。
映画が終わった瞬間、一体この映画は何だったのか、随分と悩んでしまいました。
思っていた内容とはかなり違っていましたね。
監督は、本当は何がやりたかったのか・・・。

この作品の設定はとにかくユニークです。
自身の罪を、自身のクローンが背負って刑を受ける。
自分はそれを眺めるだけ・・・。
不条理なシーンですが、すでにクローン技術がそういう事も可能と思わせるくらいになっていますので、妙なリアリティを持っています。
それに、権力者や資産家が罪を他人に押し付けるのは、日本でもお馴染みの光景です。

この映画に登場する国は、詳細には描かれていませんが、おそらく貧困国なのでしょう。
そこに暮らす人々は貧困のため、治安の悪い暮らしをしている。
しかし、金持ちが宿泊するリゾート地は完全に封鎖され、安全が保たれている。
そして、彼らはそこで罪を犯したとしても金を払うだけで、クローンに罪を押し付ける事が出来る。
非常に現代的なテーマを含んだ作品・・・だと思うじゃないですか。

そこに期待した人は、大体期待外れに感じる内容だと思います。
この映画は、現代の社会問題を痛烈に批判する内容ではありません。
また、姿と記憶が同じクローンを使った、トリッキーな展開を描くミステリーでもありません。
序盤はそういうものを期待させるのですが、全然そういう風には進まないのです。

おそらく、この映画はもっと監督のパーソナルな思いを描いた物語なのでしょう。
デビュー作以降作品が書けない作家だが、妻が裕福なためにセレブとしての生活が出来ている主人公の設定。
これの方が重要なのだと思います。
おそらく監督自身の状況(有名監督の息子)をなぞらえているのでしょう。

ニセモノのセレブ。
ニセモノのアーティスト。
そんな自己批判を強く感じます。
この映画についてのインタビューでも、相変わらず父親からの影響について聞かれています。
これがどれほどの苦痛であるか・・・。

そんなナイーブな主人公(監督)を、ニッコニコで粉砕すべく登場するのが、我らがミア・ゴスです!
もう徹底的に、コテンパンに遣り込めるミア・ゴスの圧倒的な万能感、無敵感。
これにはもう、主人公も完全にギンギンなのです。
もちろん、観ているこちらもね!

「オッペンハイマー」でもそうでしたが、罪悪感を持った人間は誰かに断罪されたいと願う物です。
本作も、そんな主人公の願いが最高の形で叶えられた瞬間を描いている。
今はそんな風に思えます。

そしてあのラスト。
ミア・ゴスにとってはただの余興だったけど・・・。
俺はもう待ちきれないんだ!
そんな一方通行の思いは、ただ雨に打たれるだけ。
ですが、彼の心にはきらめきの様な思い出があるので、平気なのでしょう。

ミア・ゴスの演技があまりにも強烈なので、映画の内容が彼女によって当初とすっかり変わってしまったのではないかと思えるほどだったのですが、監督によればすべて脚本通り、アドリブは一切無かったそうです。
しかし、その演技のパワフルさによって、何気ないシーンも重要なものへと変化したのだとか。

こういうところが映画の面白さだと思いますね。
作る側にしても、観る側にしても。
この映画で、監督も何かが吹っ切れたのなら良いと思います。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年05月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031