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2023年11月12日00:13

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ビッチな動物たち　ルーシークック柏書房 2023年08月29日

https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=5160461&id=5606168

p.37
すべての性ホルモン、すなわちエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンはまずコレステロールとして出現する。やがてそれは酵素の働きによって、一般的に妊娠とかかわりがあるとされるプロゲステロンに変化する。
p.38
プロゲステロンはアンドロゲンに、アンドロゲンはテストステロンに先行するものだ。これら「雄」と「雌」の性ホルモンは順次姿を変えていくもので、両方の性に先行する。
p.41
染色体は対になって細胞内に存在するが、どの標本を観察しても相手がなさそうで、単体で存在する染色体がひとつあった。その謎めいた性質から、ヘンキングはそれをX(数学において未知の数に与える記号)と呼んだ。…
p.43
　生殖器が決定される過程には約六十個の遺伝子が、オーケストラで演奏する楽団員のようにかかわっている。これらの性決定遺伝子は性染色体上に存在するとはかぎらず、ましてやXまたはYの上に規則正しく、どちらかの性にもとづいて待機しているわけでもない。
p.45
オーストラリア人進化遺伝学教授のグレイヴスは研究仲間とともに、カモノハシが性染色体を五対備えているのを突き止めた²⁹。雌はXXXXXXXXXX、雄はXXXXXYYYYYだ。
p.46
「ヒトのY染色体は百万年につき約十個の遺伝子を失っていて、今では四十五個しか残っていないことがわかりました。
p.47
アインシュタインでなくても、このペースではY染色体がそっくり失われるまで四百五十万年だと計算できますね」
…哺乳類においては日本のアマミトゲネズミ(Tokudaia osimensis)とモグラネズミ(Ellobius lutescens)の二種が完全にY染色体を失ったとされているが、精巣は残っている。雄と雌はそれぞれ単独のX染色体をもっていて、性的な発達はまったく別の、そしてまだ特定されていない性決定遺伝子が引き金になっているのだ³¹。
…南米にはナンベイヤチマウス属の野ネズミが九種いて、雌の四分の一はXXではなくXYだ。
p.49
「『こうに決まっている』という発想は捨てなくてはいけません。決まっているものなどないのです。わたしたちは皆、つねに進化の力に振り回されているのですよ」
…鳥類、多くの爬虫類、チョウはおおむね似たような性決定遺伝子をもっているが、性染色体は異なる――大きな「Z」と縮こまった「W」だ。このシステム上では反対のパターンがふつう、すなわち雌がZW、雄がZZなのだ。…
…摂氏三十一℃以上で孵化する卵では卵巣を作る遺伝子が活性化し、摂氏二十七・七℃では精巣ができる。
p.51
　生息地が北のほうのヨーロッパアカガエルはおなじみのXY遺伝子による性決定を行ない、ほぼ予想どおりに成長する。YXをもつ個体は精巣、XXをもつ個体は卵巣を手に入れるのだ。
　わたしが子どものころ捕まえたヨーロッパアカガエルは南のほうの出身で、性はもう少し流動的だ。オタマジャクシのころはすべてXXで、雌として成長する。ところが池から出る段階で遺伝子的には雌のこれらの個体のおよそ半分が、性的な発達を反転させる。卵巣が精巣へと形を変えて、XXの雄になるのだ。
p.52
その結果、一部は通常のXYの雄とXXの雌だが、ロドリゲスはXYの雌とXXの雄にも出会っているという。外見的には雄にも雌にも見えるが、生殖腺を見ると話が違ってくる。一部は卵巣と精巣の組織を併せもっていて、おかげで性をふたつのバケツのどちらかにきれいに収めるのはおよそ不可能になるのだ。
p.53
　フトアゴヒゲトカゲの大半は遺伝子によって性決定がされる。雌はZWの性染色体、雄はZZの性染色体から成長する。…発達の過程においてZZの雄の卵がオーストラリアの強烈な太陽を浴びると、染色体による性が高温に負け、ZZの雄は雌になるのだ。
…通常の二倍ほどの卵を産むいっぽう、行動はより雄に近いのだ。すなわちより大胆かつ活動的、体温は高い。…
　この研究に携わった科学者たちは、生殖腺は雌であっても行動と形態はより雄に近いため³⁶、これら性が逆転した強力なトカゲは別個の第三の性とみなされる³⁷べきだろうとのべている。
p.54
　その鳥は雌雄モザイクだった――中心線を境にきれいに分かれている、特異な「間性」だ。目立つ緋色の側は雄のショウジョウコウカンチョウで、体内に精巣がひとつだけあり、茶色の側には卵巣があった。こうした両側性は珍しいが、いっぽうで多くの鳥類、チョウ、昆虫、甲殻類、すなわちZWによる性決定システムをもつ生きものにおいて確認されている。性的二形のあるショウジョウコウカンチョウのような種においてはとりわけ印象的で、受精した二組の胚が発達のごく初期(2細胞期から64細胞期)において癒合し、片側はZW性染色体(雌)、もう片側はZZ(雄)というキメラを形成したときに生まれる。
p.55
この複雑怪奇なニワトリは、行動面もおなじくらい混乱をきたしていた。雄として雌と交尾を試みつつ、卵も産んだのだ。
　残念ながらこｎニワトリの脳と行動がきちんと検証される前に、よき医師は貴重な変異種を殺し、夕食のため丸焼きにするというまさかの行動に出てしまった。…
…このキンカンチョウは歌っているところを目撃されていたので、アーノルドはそれが定型的な「雄の」脳をもっていると予想した。ところが解剖してみると、雌の側の脳は通常より少し雄化されている程度で、歌うための器官は雄の側だけ発達していた。
p.56
　クルーズいわく、性には五つの型がある。染色体、生殖腺、ホルモン、形態、行動だ。
p.58
「最初期の生命がクローン生殖を行なっていたのはほぼ間違いありません」と、クルーズ。「生殖を行なう最も古い生命は卵を産める必要があり、それは雌だったのです」
p.65
せっかく生き延びても、天敵を逃れても、交尾できなければ進化という観点ではなんの意味もありません。だからこそ交尾が進化のグラウンド・ゼロなのです」
p.70
ディックはワイオミング州に生息していた序列の高い雄のキジオライチョウで、二〇一四年の発情期には百三十七回の交わりをもった。そのうち二十三回は、二十三分間で行なわれた*。
p.71
*　ゲイルたちは鳥の名前を尾羽の白い先端のパターンにそってつけた。指紋と同じくらいの手がかりになるのだ。ディックの尾羽はペニスに似ていたので、そう名前をつけた(訳注：ディックには俗語で男性器の意がある)。
p.83
発情期のライオンの雌は、複数の雄と一日百回ほど関係をもつ²ことが知られている。
p.94
モリスは熱心な鳥類学者で、ヴィクトリア朝に人気を博した鳥の本の著者でもあり、「謙虚にして質素」なヨーロッパカヤクグリ(Prunella modularis¹⁹)の控えめな生き方を手本にするよう読者に説いた。善良な牧師はそれが実のところ女性たちに愛人を作り、子どもをもうけるため夫と愛人の双方と二百五十回超の交わりをもつことの許可になっているとは気づかなかった。
p.95
バークヘッドの最近の発見では、性的二形が極端な種ほど浮気の度合いが激しく、現在知られている最もはなはだしい例はオーストラリア産のルリオーストラリアムシクイだ。…手の込んだ求愛に対する雌の返礼は浮気だ。…結果として社会的パートナーがせっせと世話をする巣の雛の四分の三以上²²に、実のところ別の父親たちがいたという場合もある。
p.102
野生のチンパンジーの雌は一生に子どもを五匹ほどしか産まないが、そのいっぽうで十数匹の雄と六千回を超える交尾にふける。排卵期には群れの雄すべてに誘いをかけて、一日三十～五十回の交尾をするくらいだ。バーバリーマカクの雌もおなじくらい積極的で、ある雌は群れのなかの性的に成熟した雄すべて(十一匹いた)と、少なくとも十七分に一度交尾していたという記録がある。
p.104
　手始めに、雌の霊長類の大半が自慰行為にふけるところを目撃されている。動物園と野生のどちらでもだ。英国の霊長類学者キャロライン・トゥーティンは、グレムリンという愛称の野生の雌のチンパンジーが「自分の生殖器に夢中になり⁴¹」、その結果「石や葉といったものをこすりつける」のを観察している。…ジェーン・グドールも雌のチンパンジーたちが陰部をもてあそび、「そっと笑い声を立てる⁴²」のを目撃した(「小さな死」ならぬ「小さな笑い声」)。雌のオランウータンは器用に足の裏を使って自慰行為にふけるし、小型のサルであるタマリンも尾や「物体の柔らかい表面」を使って「ある種のトランス状態」になる⁴³という報告がある。
p.105
　これ以上色気のない人工的な状況があったらお目にかかりたいが、サルたちは明らかにマスターズとジョンソンがオルガスムを定義するのに使った四つの交尾の段階のうち三つを示してみせた*。…
…①興奮、②安定、③絶頂、④脱力だ。
p.106
　個々の形態を比較し解剖する研究はまだ十分ではないが、性欲が強く複数の雄と交わって子どもを産む場合(たとえばヒヒやチンパンジー)、クリトリスはとりわけよく発達していて、二・五センチメートルかそれ以上になる。…
…子殺しの防衛手段として雌は侵略者である雄と交尾をする、とハーディは考えた。
p.107
それによって父親か誰なのか曖昧になり、赤ちゃんの命が守られるという効果が生まれる。
p.108
研究によると雄たちは実のところ、雌の発情期にどれくらいの頻度で交尾できたかによって、巣に餌を運ぶ回数を調整している。
p.112
射精にはその都度、何百万という精子および貴重な生理活性物質が含まれていて、当然ついてくるコストは生物的請求書の合計の額を非常に大きなものにする。たとえば哺乳類では、一度の射精のエネルギー⁶³が実は卵子より大きいことがすでに判明している*。
…たとえばヒトの場合、完全なリカバリーには長くて百五十六日かかる⁶⁵。
p.113
*　これらの精子に含まれるたんぱく質は雌にとって直接利益のあるもので、多くの雌と交わる強い動機になるだろう。キリギリスはタンパク質豊富な「婚礼の贈りもの」を精子に含ませ、事後のおやつとして雌にわたして卵の成長を助ける。精子のたんぱく質は、ものによっては卵の排出をうながし、寿命さえ延ばす効果があるとされる。テキサス州に生息するコオロギは精子にプロスタグランジンが含まれる多くの種のひとつで、それによって雌は免疫が強化される。プロスタグランジンは昆虫から哺乳類まで幅広い動物の精子に発見される物質で、多くの雌が複数の雄と活発に交尾するのは事実いいことだと示している。乱交する種の雌が比較的長く繁殖力を保つ理由もそのあたりにありそうだ。
p.127
英語名を「バード・イーティング・スパイダー」というこのクモは、いわゆる食物連鎖を覆して日常的に鳥を食べ、場合によってはげっ歯類も食べる。…
…雄は日本の前足に鉤があり、交尾の最中はそれらを使って雌の牙を持ち上げています。そうしたら咬まれませんからね。なおかつそれは触肢をかまえて前傾し、挿入するのにベストな体勢ということになります」とクラークは説明してくれた。
p.129
たとえば雌のメキシカンレッドニータランチュラは長くて三十年ほど生きるが、雄は十年もったらもうけものだ。…雌は丈夫な卵をどっさり産むため脂肪をつけることに時間をかけたく、交尾を焦ろうとしない。繁殖期の序盤、または若いころ、雌の頭にあるのは餌であってセックスではない可能性があるのだ。
p.130
「雌は寿命がはるかに長く、精子を貯めておくこともできます。種によっては長くて二年。
p.131
　キシダグモ科のナーサリー・ウェブ・スパイダー(Pisaurina mira)は、交尾中の軽い緊縛プレイで知られる約三十種のクモの一種だ。雄は雌の巣に忍び込み、雌を縛ってしまう。それ専用ｎ突出して長い一対の脚を使って牙を避けながら、自前の絹糸を雌の脚に巻き付けるのだ。いったん雌の動きを封じたら、あとは心ゆくまで交尾に臨む。時間をかけて触肢を何度も挿入することで、精子が目的地にたどり着き、受精に至る可能性は高まる。行為が終わると雌は絹の足かせを外し⁸、雄はさっさと退避する。
　ダーウィンズ・バーク・スパイダー(Caerostris darwini)はさらなる猛者で、オーラルセックスという方法を身につけている。まず恋の相手を絹糸で縛り、交尾前、最中、後に生殖器を唾液で濡らすのだ。こうした性的な行為は哺乳類以外では確認されていなく、クモがどんな意図をもって行なっているのかは不明だが、もしかしたら先立つ求婚者の精子を分解するという意味があるのかもしれない。生殖器によだれを垂らす行為は、自分が父親であるという保証を高めるのだ⁹。
　コモリグモ科(Rabidasa punctulata)の雄にとっては、いわゆる3Pが最も確実な手段だ。さまよう未婚の雄は交尾中のカップルに出くわすと、運試しとばかりに乱入する。
p.132
雌にはすでに相手がいるのだから、お邪魔虫もディナーになる危険性は低いだろう。…
…
　それに加えてクモの世界には、合理的だがどう見ても無茶な「リモート交尾」という戦略がある。雄は命こそ助かるものの、生殖器にサヨナラするのだ。雄のマラバルジョロウグモモドキ(Nephilengys malabarensis)は雲行きが怪しくなってくると触肢をへし折り、一目散に逃げていく。残された触肢は本体なしで精子の注入を続けるという寸法だ。おまけとして、ちぎれた生殖器は雌の生殖孔に栓をし¹¹、別の雄との交尾を妨害する。…
…
　「性的共食いに対抗する最も気色の悪い戦略賞」に輝くのは、黄色と黒の横縞が印象的なナガコガネグモ(Argiope bruennichi)だろう。要領のいい雄たちはまだ幼い雌を見つけ、性的にほぼ成熟するまで庇護のもとに置く。成体になる一歩手前として外骨格を脱ぎ捨てたとき、固まっていない雌の体は無防備だ。動くことはできないし、雄を攻撃するなど問題外だ。そのときを狙って雄は行動を起こし、雌と交尾する。非常によくできた戦略だ。まだ固まりきっていない雌との交尾において雄の九十七パーセントが生還する¹²いっぽう、体のできあがった成体の雌との通常の交尾ではわずか二十パーセントとされる。
p.133
彼いわく、必死な求婚者にとって串刺しにされるより悪いのは無視されることだ。
p.135
どうやら雄のグレート・ラフト・スパイダーは「精子ピストル」(触肢)の引き金を引くのが恐ろしく速く、餌食になりながらもそれができるようなのだ。
p.138
大半のクモは八個も目があるのに視力が弱く、まったく見えていないことさえある。狩りは脚に備わっているスリット状の感覚器を使い、ヒトにはわからない物体の表面の振動を感じ取って行なう。振動は巣をとおして増幅されることが多く、巣とは要するに感覚器官の延長なのだ。だがピーコックスパイダーが特殊なのは進化の過程で鋭い視力も手に入れた点で、それを生かして昆虫や異なる種のクモといった獲物をつけ狙い、飛びかかる。
　ピーコックスパイダーの巨大な一対の石のような目玉には、望遠レンズと色覚がふたつながら備わっている。
p.139
*　振動によるコミュニケーションはヒトにとっては新しい発見かもしれないが、動物界では意外なほどありふれている。ゾウは足先で、遠く離れたところにいる味方の鳴き声や足音を察知する。キンモグラは相手の足音を手がかりに小さなシロアリを狙う。南米に生息するカエルの一部は膨らませた空気袋で地面を叩き、異性やライバルにあいさつする。多くの無脊椎動物において、基板から生まれる振動は空気中の音より頻繁だ。
p.140
ピーコックスパイダーを含むハエトリグモは、筋肉を使わずに体長の五十倍ほどジャンプできる。掘削機のアームの動きとよく似た油圧の作用で、空洞の脚に液体が注入され、それによって脚が伸びるのだ。
p.143
おなじ節足動物のハエのように、クモの体は長く細い毛で覆われていて、おおよそ原子の直径にあたる一メートルの百億分の一の空気の動きまで感知できる。
p.145
砂漠に生息するムレイワガネグモ(Stegodyphus lineatus)の仲間の子どもは、餌と栄養の供給を母親に頼りきりで、母親は自身の液化した内臓を吐き出して与える。やがて子グモたちはますます貪欲になって、母親の腹部を直接吸い始める。二、三時間で母親は干からび²⁴、残るのは外骨格のみだ。
p.147
雌は柔らかな體の到着を歓迎し、すかさず小さな軽業師の上に消化酵素を吐き出す。それから求婚者の尻をむさぼり食い、ひと息つくのは、「小さな白い物質³⁰」を吐き出すときだけだ。そのあいだ雄は頭部についた触肢で雌に精子を送り込み続ける。
　この共食い型シックスティナインは三十分ほど、雄の触肢が空になるまで続く。その時点で雄はいったん撤収し、けっして軽くない傷を癒す。約十分後、無残に食いちぎられ一部は溶けた腹部をものともせず、雄は現場に舞い戻って二本目の触肢を挿入し、おなじ軽業を繰り返す。今度の情交の結果は死だ。雄が二本目の触肢を引き抜くと、雌は相手の体の残された部分を絹糸で包み、ゆっくり味わう。
p.148
セアカゴケグモの場合、犠牲になった雄は父親となるうえで二点のアドバンテージを手にする。一点目、交尾の時間が長引くため、生き延びる雄より受精卵の数が多くなること。二点目、雌は最初の相手を食べたあと、続く求婚者たちを拒否するケースが多い。…セアカゴケグモの雄の八十パーセントが雌に出会えないまま童貞として死ぬことを考えると、性的共食いは進化の形態として理に適っている。
p.152
昔の自然科学者たちは、二股のフォークのような不可解な形状のペニスに惑わされていたのだ。…もし誰かが雌のオポッサムの体内を観察する手間をかけていたら、二個の卵巣、二個の子宮、二個の子宮頚部、二個の膣からなるおなじくらい理解不能な重複したシステムを発見していただろう。ますますもってやりすぎなのは一時的に三個目の膣が出現することで、出産のためだけに姿を現わし、用がすむと秘密の扉のようにさっさと消えてしまうのだ。
p.153
オポッサムには三つの膣があるいっぽう、ゾウの雌にはひとつもない。子宮が直接、外の世界とつながっているのだ。なお雄のゾウのペニスは長さが体長の半分ほどもあり、アルファベットのZの形をした状態で腹部から飛び出してくる。…
…チンパンジーのペニスには亀頭も包皮もなく、一本の骨(陰茎骨という)が芯の役割を果たし、表面は何百という小さな棘で覆われている。
p.154
　体の各パーツのなかでは生殖器が最も急速に進化する。つまりなんらかの強力な選択圧のもとにある⁵ということだ。
p.155
ワーゲはペニスの先端に生えた硬い逆向きの毛の列によって、雄が雌の生殖管をすっきり掃除し⁶、自分のものと競合するかもしれないライバルの雄の精子の痕跡を排除してしまえると説明した*。
…
*　精子の除去はヒトのペニスの形成に寄与したとも考えられている。亀頭の形は子宮頚部からそれ以前の精子をスラスト運動で除去するためといえそうだ。ヒトのペニスは「精子除去ツール」ということだが、それを証明するかのように大学生が二件の実験を行なっており、しばらく会う機会がなかったり女性に浮気疑惑が生じていたりする場合、性交は「より深くまで、猛然とスラスト運動が行われた」。
p.158
交尾のときだけ広がる総排泄腔の入り口に秘密のペニスを備え、流行に抗っている鳥類の仲間は、実は全体の三パーセントにすぎない。会員限定の「空のペニスクラブ」に所属するのはシギダチョウのほかエミュー、ダチョウ、アヒル、ガン、ハクチョウだ。…鳥の祖先である恐竜はこれと似たような挿入という手段を使っていたと考えられる*が、約六千六百～七千万年前、世界の鳥類の九十五パーセント超を占める新鳥類はなんらかの理由でペニスをなくしたのだ。
p.159
ペニスの喪失は飛翔のために体重を減らす手段だったという説もある。(だがコウモリは体の大きさに比して異様に大きいペニスをぶら下げたまま平気で飛び回っている)。
…ギネス世界記録の持ち主は小さなコバシオタテガモ(Sxyura uvittata)で、完全に勃起すると四十二・五センチメートルになる。小作りな体より十センチメートルも長い。また反時計回り¹¹のらせん状になっていて、細かい棘で覆われている。
p.160
一年の大半、ペニスは十分の一に縮んでいて、繁殖期にかぎって伸びる。…使っていないとき、ペニスは裏返した靴下のように総排泄腔の入り口にひっそりしまわれている。いざ挿入というとき雄はイチモツにリンパ液を注入、するとペニスは時速百二十キロほどで総排泄腔から噴出¹²し、腱でできたパーティ用の「吹き戻し」さながら〇・三秒で完全に伸長するのだ。
…「強制交尾」と呼ばれる手段に出るのだ*。多くのカモの種において、独り身の雄は徒党を組んで襲いかかり、なすすべのない雌を集団で侵す。

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986337687&owner_id=5160461

NHK、松本人志ら“性”を語る特番に起用で波紋　過去発言受け「不信感」「終わってる…」の声　NHKは「自主的な編集判断」とコメント
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=7588650

　「ちょっと話しにくい“性”の話題を出演者が楽しく真面目に語り合う」をコンセプトとしたNHKの特番に、お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんらが起用され、X（Twitter）上で違和感の声が上がっています。NHKはねとらぼ編集部の取材に対し、「出演者の選定については、自主的な編集判断のもと、その都度、総合的に判断しています」とコメントするに留めました。

　批判の声が上がっているのは、10月17日にNHK総合で23時～23時45分に放送予定の特番「松本人志と世界LOVEジャーナル」。松本さんのほか、ラッパーの呂布カルマさんらが出演し、「ちょっと話しにくい“性”の話題を松本さんと一緒に出演者が楽しく真面目に語り合う」としています。

　しかし、X上では放送前から、松本さんと呂布さんの過去の発言をめぐり、同特番への起用に対して違和感の声が上がっています。松本さんは過去に有名俳優が未成年者と飲酒や不適切な関係を持った件について、「ワイドナショー」（フジテレビ系列）で、「もうそろそろ、未成年の女性のほうも取り締まれるような罰則を作るべき」と持論を展開するなど、発言が度々批判を浴びています。

　また、呂布さんは修学旅行で複数の男子生徒が女子生徒の入浴中に盗撮やのぞきをしていたという報道をめぐり、X（当時はTwitter）上で「のぞこうと思えばのぞける様な露天風呂を選んだ学校が悪い。男子生徒はのぞけるならばのぞく。当たり前だろ」「そこでのぞきに参加しなかった生徒の方がマトモじゃないよな」「こんなの全員正座させて頭から水ぶっかけて反省文ぐらいで許したれよ」と、性犯罪を軽視しているとみられる発言をし、批判の声が広がっていました。

　自身の同特番への起用に違和感の声が上がっていることを受け、呂布さんは「案の定アホのフェミニスト達が騒いでるけど、しっかりOAもチェックして話題にしてくれよな」とXで投稿。さらに同特番への起用を批判する多数の投稿をリポスト（リツイート）し、「悔しいよなぁ。分かるよ」「フェミニストなんかに向けて番組作ってねーからなぁ」など、挑発めいた投稿を繰り返しています。

　ねとらぼ編集部はNHK広報局に対し、同特番を企画した経緯や背景、松本さんらの起用意図などについて問い合わせましたが、「今回の番組は世界のさまざまな性の話題や悩みについて、多様な立場の出演者が、楽しくまじめに語り合う特集番組です。出演者の選定については、自主的な編集判断のもと、その都度、総合的に判断しています」として、詳細な回答は得られませんでした。