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2023年09月14日18:11
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東西ウイグルと中央ユーラシア 森安 孝夫 名古屋大学出版会 2015年1月30日
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砂漠で髪の毛が逆立つ現象が話題に 専門家は「今すぐ逃げて」と警告（中国）＜動画あり＞
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p.99
次に注目されるのは、本文書の報告者が「モンゴル系である」という意味を表わすために「'A-zha(吐谷渾)と同じである」という表現(比喩)を使っている事実である(ll.28-29,l.33)。…
…Horの位置はやはり図Hに記入したように河西〜トゥルファン〜北庭地方に求めるべきであって、これとHo-yo-hor(ウイグル)とは厳然と区別されねばならない。
p.100
今その主なものだけをあげると、第一にLi'i yul gyi lun-bstan-pa『于闐国懸記』がある。…
…それによると上記の対応箇所は、
于闐等此三之國、漢與赤面 蘇毗 突厥 廻鶻等賊、動其干戈、而來侵損。
となっており、明らかに「Dru-gu=突厥」・「Hor=廻鶻」の等式が成り立つ(131)。
p.101
第二に、平安末期に我が国に伝えられたチベット語と漢文の対訳付きの西域地図がある。この「吐蕃対照西域地図」は寺本婉雅によって紹介されたものであるが、その写真版は⁵⁹、図�気里茲Δ任△�(132)、やはり「Hor=廻鶻(原文は廻骨)」の等式が得られる。
p.102
ここにSum-paの長としてHor bya-zhu rin-poなる人物が現われていることに注目したい。…ところで山口瑞鳳の研究によればSum-paとは漢文史料の白蘭のことであり、その住地は東部チベットでもむしろ青海以南にあったという(135)。…
…チベットの諸書には、「Nan-lam stag-sgra klu-gon(ゲンラム＝タグラ＝ルゴン；漢名は馬重英)なる人物が北方のHor国へ遠征し、そこにあった寺院(sgom-grwa)から仏像(rten)を含む一切の財物を略奪して来たが、そのうちもともとHor(Bhata Hor)の守護神であったPe-harが選ばれてサムイェ寺の財宝の守護神(dkor bdag)となった」という有名な話が伝えられている(136)。
p.103
こうしてみると彼が遠征したHor国というのも、時代的にみてやはり河西にあったように思われる。…
…『パクサムジョンサン』がYu-gur(ウイグル)とHorを結び付けたのは、本書が、河西にウイグル族の一支が定着してよりずっと後に成立したことを考えれば、致し方ないことである。
p.104
例えば紙表の省略した部分には"rgya sha-ču-pa(中国の沙州の人)"とあり、別のところにNan-rǰe-po Blon-stag-gi-sgraの名が見え、また紙背には'Wan-lan-tse、An-hwa'-tseという二人の人名が見えている。この二人は、吐蕃支配下(787-848年)(143)の敦煌の写経生・王郎子及び安和子(144)と同一人物であろうし、Nan-rǰe-po Blon-stag-gi-sgraは、引用文中に見えるBlon-btsan-bzherとともに藤枝晃作成のNan-rǰe-poの一覧表(145)に見えるBlon-stag-khri-sgra及びBlon-btsan-bzher(ともに820年前後に活躍)とそれぞれ同じ人と思われる。
p.107
このような日常的なものに、「Dru-gu=廻骨」、「Dru-gu Rgyal-po＝廻骨王」とあるのだから、当時チベット人がウイグルをDru-guと呼んだことは確実である。
p.108
以上述べてきたところでHor=ウイグル起源説はほぼ完全にくつがえされたと信ずる。
p.110
もしそうだとすると、このHwu'uに対応する漢字としては、「胡」よりもむしろ「匈」が適合するのではなかろうか。「匈」には「悪い」の意(原意)と「北方の人」の意(転意)の両方の意味があり、その中古音もxiwongである(171)。…
…
しかし私はここで「Hor=胡」説に変わって新たに「Hor=匈」説を積極的に提唱しようとするものではない。
p.113
先に『ケペガトゥン』からSum-pa(白蘭)族の間にもHorがいたことを見たが、『新唐書』西域伝・党項之条には、
又有白蘭羌、吐蕃謂之丁零。 〈『新唐書』巻221,p.6215〉
とある。…後にチベット人の図式的な世界像の中でHorが、東の中国、南のインド、西のタジクTa-zhig(Stag-gzhig,大食)に対立する北の代表とみなされるようになるその萌芽が生じたのがこの頃であることは、西の代表が大食であることからも裏付けられよう。
p.122
(115) ここでは塩漠念と記しておいたが、私はむしろ、塩漠念から塩漠という部族名を抽出し(念は後の咄陸闕俟斤にかかるとみる)、これをYämäkないしYimäkに当てるアンビスの説に左袒したい[cf. Hambis 1958,pp.317-318]。このYimäkというのはイスラム史料に頻出するKïmäkの中核部族の一つであったことは周知の通りであり[cf. Minorsky 1937, pp.304-305]、かつそのKïmäkの住地はイルティシュ河中流域からアルタイ西部にまで達していたという[cf.林俊雄, 『東洋学報』58-1/2,1976,pp.210-211]⁸³。またイドリーシーによると、Kïmäkの周辺には下図のような諸族がいたというが[J. Marquart, "Über des Volkstum der Komanen." Abhandlungen der Königl. Gesellsch. der Wiss. zu Göttingen,Phil.-hist. Klasse, No. F.,Bd. XIII-No. 1, Berlin, 1914, p.111]、キーマークの西にいるKhalačが前註114の遏羅支すなわち駮馬国と同一であることは一見して明らかである。
p.137
まず西北方面からみていくと、Zhan-zhun(シャンシュン＝羊同)(19)、Suvarnagotra(スヴァルナゴトラ、金氏＝女国)(20)、Sbal-ti(バルティ＝大勃律＝Baltistan)(21)、Bru-zha(ブルシャ＝小勃律＝Gilgit)(21)等がその主なものである。…
一方、東北地方には蘇毗(24)・多弥(25)・白蘭(Sum-pa、スムパ)(26)そして吐谷渾('A-zha、アシャ)(27)の諸国が存在したが、そのうち前三者はすでにソンツェン＝ガムポ時代の比較的早い時期に臣属しており(28)、残るは吐谷渾ただ一つとなっていた。
p.142
さて670年という年が唐と吐蕃の西域争奪史上きわめて重要な年であることは序章の記述からも明らかなことと思う。…このことはまた、安西四鎮の一つの于闐が670年以前に既に吐蕃の勢力下にはいっていたことをも意味する。
p.143
両唐書及び通鑑は具体的に吐蕃が亀茲管轄下の撥換城を攻め取ったことを記しているが、それはこの地が亀茲西方の前進基地として重要な位置を占めており、ここが落ちることは即ち亀茲の安西都護府陥落にすぐつながることを意味したからであろう。
p.146
にもかかわらず、吐蕃は上元年間には主力部隊を西域から引き揚げ(63)、四鎮が次々と唐に来降するのを阻止しようとした形跡さえ窺えないのはどうしたわけか。私はこの背後には吐蕃の政局を揺さぶる何らかの大きな動きがあったように思うのであるが、この点はまだ全く推測の域を出ておらず、今後の課題として残しておきたい。
p.147
⁹ 原論文ではDTHに従ってmkhosを「視察」と訳していたが、今は「検地」と改める。…このmkhosの解釈については古くから議論があり、山口がかなり踏み込んで「人員物資等の配置・調達の必要」とまとめ、石川はそれに従った[『吐蕃王国』pp.898-899; 石川 2002, p.297,n.10]。
p.149
彼は、679年、ササン朝ペルシア王家の末裔ペーローズ(卑路斯)の子ナルセス(泥浬師)(70)を利用するという有名な謀略を用いて(71)、十姓可汗・阿史那都支及びその別帥・李遮匐を捕え、王方翼に命じて西突厥余衆の重要拠点に唐の駐留軍のための城郭を築かせた。これがいわゆる砕葉鎮であり、かつての焉耆に代わって新たに砕葉が四鎮の一つに数えられるのがこの時からであることは松田壽男以来の定説であり(72)、私もこれに従う。…テュルクと吐蕃両方の支配下にあった四鎮地方を、テュルクだけを倒すことによって奪回したとする説に一応の疑問をさしはさむことは正当であろう(76)。
p.150
というのは、佐藤によって、676年に幼年のツェンポが即位した後、実力者間に政権争いがあったことが明らかにされているからである。
p.153
¹² 本論文では私は王孝傑による安西四鎮回復は長寿元(692)年のみで終わらず、延載元(694)年まで断続したという考えを述べたが、今はそれを放棄したい。その最大の理由は、白須浄眞・玉井陽子両氏より、則天武后期に採用された暦制では十一月に年が改まるのであり、長寿元年十月の翌月は長寿二年正月(＝十一月)となるという指摘を受けたからである。…玉井卒論によれば、王孝傑による安西四鎮回復の報告が首都に届いたのが長寿元(692)年十月丙戌(25日)であり、わずか6日後の長寿二年正月(十一月)一日に安西都護府が復置されたという。
p.155
また李・佐藤両氏によれば、編年記OTA・羊の年(695年)の条に処刑されたことがみえるガル＝ツェンニェン＝グントンMgar btsan-nen gun-rtonとは、チンリンの末の弟(ガル＝トンツェンの五男)であり、その処刑は前年の敗戦の責任を取らされたものであるという(101)。この人物は『コータン国懸記』(Li yul lun-bstan-pa)にもMgar blon btsan-nen gun-stonとして現われ(この名将の中のblon btsan-nenが勃論賛刃に対応)(104)、彼がコータンを統治中にある寺院が建立されたことが伝えられているので(105)、兄チンリンによって推進された西域支配政策に極めて重要な役割を担っていたのであろう(106)。
p.157
694年以降、おそらく吐蕃の勢力圏内に留まっていたと思われるトン＝ヤブグ可汗(阿史那俀子)を(110)、今頃になってテュルク国へ「進軍させた(drans)」のではなく単に「派遣した、送り返した(btan)」意図は一体何であろうか。
p.158
とくに『冊府元亀』の方が、かつての西突厥十姓の一部を統べるテュルク人の首領の一人であることの明らかな阿悉吉薄露(112)を『吐蕃』とみているのは注目に値する(113)。
p.161
ところで安西都護府の管轄区域と吐蕃の領土が境を接している地方とはどこのことか。
p.162
薩毗城には常に吐蕃人や吐谷渾人がやってくるが、そこは石城鎮(チャルクリク、若羌)の東南480里(約210km)で、周囲には沼沢や険しい山々がある要害の地であるという。…これらの条件を全て満たす所といえば、それは現在の茫崖鎮(131)ないしはその周辺をおいて他にはない(132)。
p.163
吐蕃(及びこれに併呑された吐谷渾)と唐との境界をなしていた石城鎮のすぐ南の険しい山とは、いうまでもなくアルティン=ターク(阿爾金山)の連山をさす。
p.165
最期に掲げた史料によれば、720年に護密(Wakhan)王が唐の冊立を受けているし、『資治通鑑』巻212・開元八年夏四月之条[p.6740]や『冊府元亀』巻964・外臣部・封冊二[宋版なし、明版p.11343]の記事からはやはり720年、勃律・護密以外に烏蔦(Uddiyana)・骨咄(Khotal)・倶位(Mastuj)・箇失密(Kashmir)等の王が唐の冊立を受けていることが分かる。…DTHはこの"stod phyogs(上部地方＝西方の国々)"に「サラット＝チャンドラ＝ダスはこの上部地方をカイラーサ付近に比定する」――カイラーサというのはラサからパミール地方に至る途中にある有名な聖山――と注記しているが、私はむしろ山口に従って、さらに西方のパミール地方(中でも南パミール地方)そのものを指していると考える。
p.166
Li国が于闐であることは定説であり、Shig-nigが識匿(尸棄尼、shigh-nan)であることも疑いない。…アム河上流のパンジャ河(パンジ河)Ab-i-Panjaはシグナン〜ワッハーン地方に沿って流れており、その流域にはバル＝パンジャとかカライ＝パンジャの地名が存在している。一方Gogは、後にみるように(cf. p.42)、パンジャ河上流(ワッハーン＝ダリア)流域である可能性が高い。…さらに視野を西トルキスタン全体に拡げるならば、この地方が東の唐、南の吐蕃、西の大食、北のトゥルギシュという四大勢力の係争地帯となっており、次いで政治的にはイスラム勢力が、人工的にはテュルク民族が優勢になっていき、インド＝ヨーロッパ系民族の小国家分立時代が終わるという、歴史上の一大転換点に立っていることが知られるのであるが、本稿ではそこまで触れる余裕がない。
p.171
伊瀬は、この于闐の叛乱企図の裏には必ずや吐蕃の使嗾があったに違いないと述べているが(169)、これは決してありえないことではない。なお、前嶋信次はここにみえる突厥をトゥルギシュと関係づけているが(170)、私もこの見方に賛成である。因みに、引用した記事の直前では、トゥルギシュ＝突騎施をいうのに「突厥施」という書き方をしている。
p.174
²¹ このČog-ro(チョグロ)のMan-po-rǰe khyi-čhun(マンポジェ＝キチュン)は、前節に引用した727年頃の漢文史料に見える燭龍莽布支と同一人物とみなされる[佐藤『古チ』pp.492-493]。
p.175
蘇禄が吐蕃・突厥そして唐の三国より公主を娶っていたことは、東西交通の要地に位置したトゥルギシュの和戦両様の政策を端的に物語って極めて興味深いものであるが、結局は領土を接することの少なかった吐蕃と最も友好的であった。
p.181
朅師の位置については従来いくつもの説(マストゥジMastuj、チトラルChitral、カフィリスタンKafiristan, etc.に比定)(203)が出されているが、この引用文の内容の地理的考察の結果と、チトラルが「小カシュガル」という別名(因みに本来のカシュガル＝疏勒は佉沙・迦師とも書かれる)を持つことから、これをチトラルに当てるスタイン(A. Stein)らの説がもっとも妥当であろう(204)と考える²⁴。
p.184
また、やはりスタインがミーラン(Mīran)のチベット要塞址で発見した多数のチベット語文書の中に、一つだけルーン文字・トルコ語で書かれた文書(M. I. xxxii, 006)が混じっていた。トムセン(V. Thomsen)はこれを8世紀前半のものとし(210)、スタインもこれに同調したが(211)、これまた私には疑問である。
p.185
一体氏らはこのトルコ語文書の中に現われる人物がtigin、tudun、ögä、čigši、sangun、totoq、ičräki、tiräkなどの官称号を持っている事実をどう解釈したのだろうか。
p.187
まして現在のミーランを示す「屯城」という具体的地名が明記されているのであるからして、このことに間違いはない。
p.197
即ち六城(Khot. ksa-auve, Tib. mkhar-pa-drug)とは質邏(Khot. Cira, Tib. Ji-la)を筆頭に、傑謝(Khot. Gaysa-ta, Tib.????)、潘野(Khot. Phamna, Tib. Pho-nya)、抜伽(Khot. Birgamdara, Tib. Berga-'dra)、？？(Khot. Askvira / Askura, Tib. O-sku / O-rgu)、？？(Khot. Pa', Tib. ????)の六つの城邑である。
p.198
'A-ma-chaは明らかに阿摩支であり、この語はサンスクリット語のamatya「大臣、補相」と語源を同じくするものと考えられる。…安西四鎮の一つである于?には毗沙都督府が置かれていたのだから、当然于闐王は毗沙都督に任命されているはずであり、現に上元年間には伏闍雄(伏闍は尉遅と同じ)が都督に任ぜられた実例がある。…唐が羈縻州の首領には刺史の号を授けたこと、毗沙都督府は「領州十」を有していたと伝えられていることから考えて、この阿摩支尉遅信はコータン治下の十州の中の一部を統治する刺史であったのだろう。王族・尉遅家の出身たる彼は阿摩支として王に次ぐ位にありながら、同時にコータン地方内の一州あるいは数州を統治する刺史として六城に滞在していたものと思われる。
p.201
トーマスはこれらの文書を詳細に検討し、ここがチベット人からはシンシャンShin-shan³⁴と呼ばれた吐蕃のコータン地方支配の中心地であったことを明らかにしている(268)。…
…
³⁴ これは漢文「神山」の音写であり、マザール＝ターグにあった城塞と駅館は漢文文書では「神山堡」「神山館」と呼ばれていた。また、ここは南のコータンと北の撥換城とを結ぶ「神山路」というシルクロードの要衝であったという。
p.204
ただし一つだけどうしても注記しておかねばならないのは、西廻りルートの早道ともいうべき東カラコルム＝ルート(ラダック地方〜コータン地方)のことである。これはチベットと西域とを結ぶ最短ルートではあるが、きわめて高地(峠は5,000m級)を通るため高山病にかかりやすく(死に至る者も多い)、馬は荷を積んだままでは峠を越えられず(その時はヤクに頼るしかない)、その他の地理的条件・気象条件、食糧・飼料・燃料の補給などいずれをとっても、バルチスタン〜ギルギットを通るパミール＝ルート(峠は4,000m級)にははるかに劣る。
p.205
(23) 本文に引用した記事の後半部分は、シャヴァンヌ・護両氏に従って、「太宗はこれをきいいれたが、その代償として、亀茲以下の五国を西突厥から唐への聘礼として割譲するよう命じた」と解釈すべきである[cf. Doc. Turcs,pp.32, 59; 護「西突厥伝訳注」『騎馬民族史』2, pp.232-233,272]。こう解釈してはじめて、本文で次に引用する翌年の記事に、「亀茲が(唐に対する)臣礼を浸失し、隣国を侵漁したから、太宗が怒って亀茲討伐軍を送ったのだ」とあるのと脈絡がとれるのである。この点、伊瀬の解釈[伊瀬『西域』pp.192-195]は全く誤っている。
p.206
(26) 山口は「蘇毗＝Sum-pa」としてきた従来の定説を全く覆し、白蘭(とくにその中のラン氏rLansの国)こそSum-paであり、且つその位置はツァイダムではなく松州(松播)と茂州を結ぶ線の西側であるという新説を立てた。
p.207
(48) 撥換・鉢換・鉢浣城については、これをヤカ=アリクYaka-Arykとみる説、カラ=ユルグンKara-Yulghunとみる説、アクスAksuとみる説などがあって、一定しない。
p.208
(66) khromについて従来さまざまの解釈が行われてきたが、最近ウライによって"military government"という解釈が出された[Uray 1980]。⁴¹
…
⁴¹ その後のkhromの解釈の進展については、石川 2003,p.37、及び岩尾 2013,p.356を参照。なお岩尾によれば、khromは「軍団」とも「軍管区」とも訳され、いずれが適切かは文脈によるという。
p.209
Zhu 2013,pp.45-47によれば、固城はコータン語ではGūmaであり、マザール＝ターグ出土のチベット語文書や後世のチベット大蔵経ではKo-sheng/Ku-shengとなっているという。
p.210
これに対し、同じ西突厥の遺衆であるが、東北方に位置した処木昆らのグループは新興の突厥第二帝国(本拠はモンゴリア)の支配下に入っていった。
p.211
問題は"altï čub soγdaq"であるが、マルクワルトはこれを遠くソグディアナの住民(六姓昭武ソグド)と考え、バルトリド・岩佐両氏もこれに従った[cf. 『岩佐遺稿』pp.185-187]。しかし近年ソ連のクリャシトルヌィはこれを唐本土の西北辺にいた「六州胡」の逐語訳であるとみる新説を発表した[cf. Kljaštrnyj 1961; 護『古卜研』��, pp.569-572]。…このような突厥軍の動き、及びホショーツァイダム碑文・710年の条のソグディアナは単に"soγdaq"となっていて"altï čub soγdaq"とはなっていないことなどを考え合わせ、私はクリャシトルヌィの新説に全面的に賛成する。
p.212
バルトリドはテルメズに拠ったアラブの叛将ムーサーMusaの軍が702年(Barthold 1934, p.742a及びDunlop 1973, p.304では704年となっている)、ハイタル(エフタル)・チベット・テュルクの連合軍7万に攻撃されたというタバリーal-Tabariの記事を引いて、「おそらくこのテュルクの指導者はチベットと同盟した阿支那俀子であろう」と解釈した[Barthold 1899, p.17; Бартолъд 1968b, p.300]。
p.213
(140) 前嶋は、この時の大食軍の司令官はアミール=クタイバ(畏密屈底波)であるという[前嶋／寺田 1942, p.86]。
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砂漠で髪の毛が逆立つ現象が話題に 専門家は「今すぐ逃げて」と警告（中国）＜動画あり＞
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中国の砂漠で珍しい現象が動画撮影され、ネット上で大きな話題を呼んでいる。砂漠の上を複数の若者が歩いているが、女性たちの長い髪が全て逆立っていたのだ。当事者たちは笑顔を見せているが、この動画を見た専門家は「今すぐ逃げるべき」と注意喚起した。米テレビチャンネル『The Weather Channel』などが伝えている。
話題の動画は、中国・新疆ウイグル自治区トルファン地区ピチャン県にあるクムタグ砂漠を訪れた観光客によって撮影された。クムタグ砂漠は世界で最も都市に近い砂漠と言われ、砂風呂やサンドスポーツなども楽しめる有名観光地だ。
そんなクムタグ砂漠を訪れた若者らが、珍しい現象を体験した。当時の様子を捉えた動画には男女の若者が複数人映っており、女性の長い髪がキレイに逆立っているのが確認できる。子どもの頃に下敷きで静電気を起こして髪の毛を逆立てて遊んだ人もいるだろうが、そんな状況にソックリで髪の毛がフワフワと逆立って浮いているのだ。まるで理科の実験のような面白い現象に、当事者たちは笑顔を見せていた。
一見すると愉快な状況だが、この現象は非常に危険な状況を示しているという。米テレビチャンネル『The Weather Channel』によると、水滴や氷の結晶、雹（ひょう）などがぶつかって静電気が発生するため、どんな雷雲も電気を帯びており、これが雷を形成するという。そして形作られた雷が自分の近くに落雷しそうになる時には、大気も帯電しており、そのせいで今回のように髪の毛が逆立つことがあるそうだ。
米ウィスコンシン州の気象・土壌モニタリングネットワーク「Wisconsin Environmental Mesonet（Wisconsin Environmental Mesonet）」のマネージャーであり、米国の雷の安全性に関する情報提供などを行う団体「National Lightning Safety Council」の気象学者であるクリス・ヴァガスキーさん（Chris Vagasky）は、アメリカにおいてこの現象は雷雨が起きやすい山岳地帯で発生することが多いと話す。
しかし今回の動画を見る限り、大気中の帯電程度は非常に大きかったようで、クリスさんは「あの場所で大気中に強い電界が発生していたのです。恐らく、あの地域で雷雨が発生していたことや、風で砂が吹き飛ばされたことが原因でしょう。砂が吹き荒れると、砂の粒子が衝突して静電気が発生するのです。動画の中で“パチパチ”という音が聞こえますが、これは空気中の帯電程度が大きいため、携帯電話からこうした音が鳴っているのです」と説明し、複合的な要因があったと推測している。
この現象が発生する10秒ほど前に、雨が降っていたことが確認されている。近くに雷雲があり、雷に打たれてしまう可能性もあったが、動画に映っていた人々は砂丘の上に4、5分滞在した後に移動し、全員が無事だったという。動画が撮影された20分後には近くで発生していた雷雨は過ぎ去り、静電気による現象もなくなっていた。
また、この地域で働くドライバーは「10年近く働いているが、こんな現象は見たことがない」と話しており、珍しい現象であったことが分かる。
この動画を見た人々からは、「スーパーサイヤ人みたいだ」「私も体験してみたい！」と興味津々の声が寄せられていたが、コメントの多くは「髪の毛が逆立つ状況になったら、走って逃げた方がいい」「今にも雷が落ちそうだ」など危険性を指摘するものだった。
画像は『South China Morning Post 2023年8月17日付Facebook「Tourists’ hair stand on end in Kumtag Desert」』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部 iruy）
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