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2023年05月27日11:53

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ハードディスクから発掘良品・その1「レイチェルの結婚」

無職にならない限りすべて観る事は無いのではないか、と思うほどハードディスクに映画の録画が溜まっているので、とにかく消化しています。
大抵は「こんなものを録画しやがって・・・」と過去の自分に怨嗟を感じるものです。
容量がたっぷりあると、あれもこれも取りあえず録画しとけ!という豪快な気持ちになるのですが、本当に迷惑。
途中で「もう勘弁してくれ!」と悲鳴を上げたくなるものも少なく無いのです。

しかし、中には時間を忘れるほど夢中になってしまうものもあります。
そういう映画だけを「発掘良品」として紹介できれば、と思います。
ちなみに、「その2」がいつになるのか未定です。
永遠に訪れないかもしれません。
過去の自分に賭けるしかないのです・・・。

「レイチェルの結婚」という映画は、あのアン・ハサウェイ主演で、監督は「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミという、なかなか強力な布陣です。
しかし、あまりメジャーな映画ではありませんよね。
アン・ハサウェイが結婚式を挙げる恋愛コメディーか?と思われそうですが・・・。
これが相当ハードな、心を抉られる家族ドラマ、いや家族スリラーと言っても良いかもしれません。

まず、レイチェルとはアン・ハサウェイの事ではありません。
彼女のお姉さんの結婚式です。
アン・ハサウェイは、どこかの施設からこの結婚式に出席するため訪れた妹の役です。

彼女が何者か?
序盤では詳しく描かれません。
ただ、相当やさぐれています。
おそらく何かの中毒で、治療をしているという事は分かります。

家族や周りの人々の対応や、彼女のエキセントリックな言動から、どうやらとんでもないトラブルメーカー・ガールであるようです。
なごやかに進行したい結婚式の集まりですが、彼女の突飛な言動に、何度も気まずい場面が登場します。

この、いたたまれない感じ!
場の空気がグングン冷えていく感じ・・・。
もう、勘弁してくれ!という気持ちになります。
映画の中の出来事ですが、自分が何かフォローをしなければ・・・という必死な気持ちになってしまうほどです。
つらいのに、引き込まれてしまう。
相当演出が見事だからでしょう。

彼女の様なエキセントリックな女性って、いますよね。
個人的には面白く、基本的には裏表が無い性格なので話していて気持ちが良いと感じる方なのですが、ショッキングな発言に周りがドン引きしたりする場面が時々あるので、こちらはどうにか懸命にフォローしたくなります。

こんな場合、基本は笑います。
「またまた!バカ言っちゃって!」
実際、彼女が大マジなのは分かっているのです。
「いや、でもそういう事もあるよ!例えばこういう話もある・・・」
ハードな体験談には、よりハードな話(都市伝説等)で話題をそらすとか。
・・・そんな記憶を呼び起こさせられました。

こういう、気まずさを笑うタイプのコメディーもあるそうで、そういうタイプの映画かな・・・と思っていると、さらなる衝撃。
この家族に起こった、シャレにならない過去が唐突に明らかになるのです。
もう、笑えない。
そして、そこから先はもう、精神が削られる様なキツいシーンの連続です。

こんな場に、一秒も長く同席したくない!
本当に短い期間の話なのに、その中でここまでトラブル、ケンカ、騒動が起こるものかと思います。
姉さんの夫はミュージシャンなので、素晴らしい演奏シーンや楽しい余興等、結婚式ならではの楽しいシーンもたっぷりあります。
しかし、アン・ハサウェイの言動で一気に寒冷前線が接近・・・。
こういうのが、本当に見事な演出なのです。
人が悪い監督だな!

普通の家族ドラマにあるような感じとは、一線を画す内容です。
手に汗を握ったり、ゾッとしたり、アア〜と頭を抱えたり。
しかし、これは家族のドラマ以外の何物でもないのです・・・。

観る人によって、感情移入する人も違うだろうし、アン・ハサウェイに対する思いも変わると思います。
彼女が許せないと思う人もいるでしょう。
これまでの人生で、家族間の問題で苦労した人には、辛すぎて見られない内容かもしれません。

しかし、こちらの感情をガッチリ掴んで揺さぶる演出やシナリオは本当に見事です。
「羊たちの沈黙」より怖いと感じる人も、結構いるのではないでしょうか?
そして、この映画のアン・ハサウェイも、自分はやっぱり応援したくなってしまったのでした。

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