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2021年10月29日09:55

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『おかえりモネ』観賞記

朝ドラ『おかえりモネ』が今朝、グランドフィナーレを迎えた。あらすじを知らない人のために書くと、気仙沼の島で生まれ育った女の子が内陸の森の町・登米の森林組合で働き、そこで未来を予測できる気象予報士に興味を抱き上京してお天気キャスターに転身。そのキャリアを活かしながら気仙沼の島へ帰っていくというもの。個人的には2カ月前にたまたま登米市を取材したのも感慨深い。

このドラマには新鮮な描写がいくつもあった。主人公を演じた清原果耶は朝ドラの常連だが、控えめなヒロインは『べっぴんさん』の芳垣京子以来かもしれない。いちばん驚いたのは震災の描き方。津波が押し寄せたとき故郷にいなかったことが、百音のトラウマになる。妹は祖母をおいて逃げたことが心の傷。妻が行方不明のまま現実を受け入れられない男性が死亡届に判を押すシーンも、心を揺さぶられた。震災で傷つくとはどういうことなのか、深い洞察力でシナリオを書いたこの脚本家はすごい。ほかにも令和の数年先まで話を引っ張ったこと、聞き耳を立てたり携帯でやりとりするシーンがやたらに多いこと、なども印象に残った。

ただ、視聴率はあの問題作『純と愛』に匹敵するほど低かったようだ。要因として考えられるのは、人間の傷に触れる部分が多かったこと、朝から観るドラマとしては全体的に重苦しい雰囲気が漂っていたことだろうか。同じ震災をテーマにした『あまちゃん」とは対照的である。視聴者の興味はヒロインと若き医師の恋愛の結末だろうが、ラストシーンでハッピーエンドにはなった。視聴率とは関係なく、秀作だったとは思う。それでも簡単に評価を下せない難解なドラマではあった(敬称略)。

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