今年はそもそも劇場で観た本数が少ないので、10本選んだら半分くらいを選ぶ事になってしまいます。
5本くらいにしようかと思ったのですが、振り返って観ると面白い映画ばかり。
10本でも足りないくらいだったので、例年通り選びました。
実際は観たくても観に行けなかった作品や、地元で公開されなかった作品も多く、他の方のベストを観ると「あれもこれも観なかった」と思わされました。
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いつもは観終わった後に「これは今年のベスト！」と思った作品にしているのですが、今年はそういう映画はありませんでした。
「異端の鳥」は、過剰に感情を揺さぶらないように抑制された演出の作品のため、観終わった後は比較的冷静でしたが、後からジワジワと「これは素晴らしい、大いに評価したくなる作品だった」となっていったのです。
メッセージがどうとか、物語がどうという事以前に、映画としての快楽に満ちた作品だったと思います。
映像の美しさ、説明の省略、猥雑さと静謐さ。
まったく先が読めないのに、観終わってみると非常に普遍的な物語であったようにも思います。
強烈な胸糞系の映画として見られている（特にまだ観ていない人にとって）節がありますが、決してそうでは無いと訴えたいですね。
劇場で体験してこその作品だと思います。
�◆．潺奪疋汽沺次淵妊�レクターズカット版）
２バージョンを立て続けに観たので気がおかしくなった可能性もありますが、いずれにしてもこれは間違いなく楽しんだので。
特に後で観たディレクターズカット版の方が分かりやすく、面白シーンも追加されているので最高です。
最初観た時はモヤモヤした気持ちが強かったのですが、2回目は異常にハッピーな気持ちになりました。
まさに観るドラッグ。
あんな映画！と思った人は、騙されたと思ってもう一度観てください。
キクぜ！
�� ジョジョ・ラビット
この映画、観終わった後は「見事なエンターテイメント！誰もが楽しめる感動作だったな！」と思ったのですが、意外と批判的な人が多くて驚きました。
ヒトラーがイマジナリーフレンドという設定から、相当ブラックで毒の強い作品をイメージしていましたが、まったくそういう作品ではありませんでした。
ナチスや戦争を描いた作品ではなく、もっとシンプルな少年成長ものだったのです。
そこでガッカリしたという意見は僕も理解できますが、これはこれですんなりと楽しめたし、見事な演出が随所にあって、最終的には素直に子供達を応援したい気持ちになっていました。
原作はもっとダークで陰惨な内容で、まったく違う話になってしまっているという事ですが、そこも僕はむしろ評価したいと思いました。
この作品にはきちんと監督のパーソナルな思いが詰まっているからです。
ただ、序盤の楽しい感じが割とすぐに霧散してしまったのは少し残念に思いました。
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間違いなく、黒沢清監督の映画では一番のエンターテイメント作だと思います。
元々はテレビ用に作られた作品だそうですが、まったくそんな感じは受けませんでした。
むしろ、低予算映画が多い彼の作品にしてはゴージャスなイメージすらあります。
ウームと唸る様なラスト。
ハッピーなのか、悲惨なのか。
熟考しなくてはならない感じも良かったです。
�ァ�WAVES/ウェイブス
とにかく前半が強烈！
観客の感情を高みから奈落へと揺さぶる、まさしくジェットコースターです。
「エ〜！こんなのアリ？」と唖然、愕然とさせられました。
素晴らしかったのですが、後半は非常に落ち着いてしまって、あえてこういう意図なのかもしれませんが、最後にもう一度高みまで連れて行ってくれて、爆音のダンスミュージックで踊りながら劇場を後にさせてくれたら満点でした。
�Α�9人の翻訳家 囚われたベストセラー
2020年はミステリー映画では「ナイブス・アウト」「ねじれた家」がありましたが、個人的に一番面白かったのがこれでした。
「ナイブス・アウト」はトリックとかは好きですが、映画としてはかなり退屈なシーンが多くて、ミステリー映画の弱点が出ていましたね。
その点、こちらは前半が地味ですが、後半は二転三転する真相から「この映画はどうなるんだ？」と本当に興奮しました。
結果としては、「これは見事に純然たるミステリーだ！」と喝采を送りたくなりました。
�А．僖薀汽ぅ函“消浪爾硫搬�
アカデミー賞で大きな話題となり、日本でも大ヒットした作品です。
ものすごく面白かったのは間違いないです。
もっと上位でも良かったのですが、やっぱりポン・ジュノ作品としてはもっと異常な内容とラストを期待してしまいました。
このラストも味わい深いものでしたけど。
これも今年だったのか、というのが正直なところです。
大好きな登場人物が残念な事になるのも・・・。
この監督の映画ではありがちなのですが！
�─＿虻�裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ
人殺しが愉快な映画はこれと、昔の映画ですが「アングスト」がありました。
テイストが偶然にも似ていて、殺人というものの大変さと間抜けさが時に惨たらしく、時にユーモラスに描かれています。
ドラマ等でイケメンがカッコ良く殺人をして、警察とかに「さあ、ゲームをしよう」とか言ったりするのが本当に苦手なのですが、この2本はどちらも全然違うので良かったです。
笑いと哀愁のフリッツ・ホンカ。
今観てもスタイリッシュで奇妙なアングスト。
どちらも必見です。
�� レ・ミゼラブル
前半が退屈で色々分かり辛いのが難点ですが、驚くほど熱く盛り上がる後半部分の素晴らしさ！
こいつが主役だったのか！
終わり方も見事なものです。
�� 行き止まりの世界に生まれて
色々な部分で非常にユニークなドキュメンタリーでした。
おそらく、監督にも生涯に一つだけ作れるタイプの作品でしょう。
結果として監督自身が大きくフューチャーされていく展開と、浮遊感あるスケボーシーンが印象的でした。
そこはまだ、行き止まりではない。
今年は劇場映画についてあまり書けない分、家で観た映画の感想をたくさん書きました。
かなり無理やり書いたものも多かったですが、概ね楽しく書けました。
来年はまた劇場に多く足を運びたいところですが、まだもう少し辛抱が必要でしょう。
ワースト作品3作はもう決定していますので、年明け以降に書きたいと思います。
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