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2019年08月02日02:41

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和歌浦日帰り紀行4 塩竈神社 / 不老橋

 7月28日日曜日は、玉津島神社に参拝して奠供山(テングヤマ)へ登った後、神社東側にある鏡山へも赴いてみました。
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 鏡山は玉津島六島の一つですが、標高は9.9mしか無く、結晶片岩で出来ているため岩肌が荒れた木目の様な薄墨色をしており、香木の伽羅(キャラ)に似ている事から伽羅岩とも呼ばれています。
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 山頂から紀三井寺方面の眺望です。
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 山頂から片男波(カタオナミ)方面の眺望です。
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 鏡山南麓の輿の窟(コシノイワヤ)という岩穴に塩槌翁尊(シオツチノオジノミコト)を祭る塩竈(シオガマ)神社が鎮座しています。
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 輿ノ窟は海風により自然に形成された洞窟で、窟中の祠の中に小さな拝殿が造られています。古来、海産物・安産の神として信仰を集め、元来は玉津島神社の祓所でしたが、大正6(1917)年に独立した神社となりました、
 輿ノ窟の名は、かつて浜降り神事の際に神輿が奉置される場所だった事に由来します。浜降りとは、毎年9月16日に高野山の地主神(ヂヌシノカミ)である天野丹生都比売(アマノニウツヒメ)神社の神輿が、紀ノ川沿いをはるばる玉津嶋神社まで渡御(トギョ)し、翌日に日前(ヒノクマ)宮へと御行してする神事の事で、神輿が玉津嶋神社で一晩奉置される場所が興ノ窟だったのです。浜降り神事はその起源を古代にまで遡る事が出来ると考えられますが、鎌倉時代に一時中断された時期があり、文保2(1318)年に再開された事が記録に残されています。その後、明応7(1498)年8月25日の南海トラフ巨大地震に伴う津波で玉津嶋神社が壊滅したため途絶え、近世には天野丹生都比売神社の鳥居外から玉津嶋神社を遥拝する等の神事になってしまいました。
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 しかし、この窟に対する信仰は存続し、江戸時代後期には「しおかま」の名で信仰の対象になっていました。江戸時代の和歌山では「一に権現(紀州東照宮)、二に玉津島、三に下り松、四に塩竃よ」と歌われ、塩田の塩を焼く釜からこの名が付けられたとされます。また、古くから安産の守神としても親しまれて来ました。
 明光浦(アカノウラ)十景では《輿窟浪花(ヨクツロウカ)》として選定されています。
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 拝殿です。
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 本殿です。
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 窟脇の小高い丘には、干潟を望むかのように山部赤人の「若の浦に 潮満ち来れば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴(タヅ)鳴き渡る」の歌碑が建っています。
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 また、別々の松が途中で一体化して成長した樹齢数百年の大木「和合の松」があって家庭円満の守り神として多くの人の信仰を集めて来ましたが、平成24(2012)年6月に倒壊してしまいました。そこで、通常難しいとされる挿し木によるクローン苗を使って、平成30(2018)年4月に元の場所に植樹が行われました。
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 続いて入江の残滓(ザンシ)である市町川に架かる不老橋〔和歌山市指定文化財〕へ向かいました。ここは、紀州東照宮の和歌祭の際に紀州徳川家や東照宮関係者の人々が、御旅所に向かうために通行した「御成道」に当たります。
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 不老橋は、片男波松原にあった紀州東照宮御旅所の移築に際して、第13代藩主徳川慶福(トクガワヨシトミ;後の14代将軍家茂)の治世の嘉永3(1850)年に着工され、翌年に完成しました。当時、紀州藩では隠居した第10代藩主の権大納言徳川治宝(ハルトミ)が実権を掌握しており、実際に建設命令を出したのは治宝です。
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 石材は和泉砂岩を使用し、敷石やアーチ部分の内輪石には直方体状の石材が使用されています。橋台のアーチ部分は肥後熊本の石工集団の施工であり、勾欄部分については湯浅の石屋忠兵衛の施工と推定されており、勾欄部分には雲を文様化した物が見られます。江戸時代のアーチ型石橋は九州地方以外では稀有な存在です。
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 不老橋を渡った後は、南方へ細長く伸びる砂嘴(サシ)である片男波(カタオナミ)へ向かいました。左手奥に見えるのは、不老橋と並行して平成3(1991)年に架橋された県道151号線のあしべ橋(新不老橋)です。
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《続く》
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