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2019年02月25日01:19

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紛糾の「統計不正問題」、多くの批判が“的外れ”な根本原因 “経済分析のプロ”が一刀両断 宅森昭吉

厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題が国会で問題になっています。「アベノミクスの成果を強調するために結果をねじ曲げたのではないか」という、うがった見方をする人もいるようです。国会の議論では、「共通事業所ベースの数字が正しく、そのベースの実質賃金の伸び率を公表しないのはおかしい」という趣旨の意見もあります。

しかし、2018年の数字が強めに出たのは、同年1月に実施された標本交替の影響が少なからず働いている面もあり、その際に「経済センサス−基礎調査」の影響などが出たようです。今回は「毎月勤労統計」について考察してみたいと思います。


統計不正問題に潜む“3つの誤り”
「毎月勤労統計」に関する不適切な調査が問題になっています。主な論点は、次の3つです。

第1の問題は、500人以上規模の事業所については全数調査をしなければならないのに、東京都の分で約3分の1のサンプルしか調べていなかったという、明白なルール違反があったことです。

なぜ全数調査をしなければいけないというルールを破ったのか、その原因を究明し対策を考える必要があるでしょう。調査員の人手不足が背景にあるというなら、必要な人員を確保するということも大切です。

統計操作上の初歩的なミスをしてしまったことが、第2の問題です。東京都の500人以上規模の事業所の約3分の1しか調べていなかったのなら、全体の統計を計算する時には当然3倍にするべきですが、その処理をしなかったというのです。

大きな事業所のほうが、相対的に賃金が高いと思われます。単純に足し合わせれば、相対的に賃金が高い東京都の800人以上の事業所の3分の2が集計に反映されないことになっています。少し難しく言うと、500人以上の事業所の東京都分の抽出率の復元が行われていなかったのです。

その分、平均賃金は実際より低めに出てしまいました。これを基に雇用保険や労災保険の給付を算出したのですから、過少になってしまったのです。

さらに当初は、必要な復元を2018年1月分以降の調査分からしか行っていなかったといいます。この影響で、2018年1月から数字が高めに出ていた部分があるのです。これは一部の職員が認識していただけで、組織全体で共有していませんでした。これが第3の問題です。

問題をややこしくさせている原因
話がややこしいのは、2018年1月に499人以下の事業所の標本交替が行われたことです。

第二種事業所(従業員数5〜29人)では、全18ヵ月を3等分し、6ヵ月ごとに3分の1ずつの頻度で標本交替する「ローテーション・サンプリング」を、これまでも実施しています。

一方、第一種事業所(常時30人以上を雇用する事業所)の標本交替はこれまで総入れ替えでしたが、それだとサンプルバイアスが大きいという問題がありました。そこで、第一種事業所にもローテーション・サンプリング(年1回の標本交替ごとに3分の1を交替する)を導入することになり、現在はその移行期に当たっています。

最後の総入れ替えは2015年1月でした。2年後の2017年1月では、1年延長のグループと2年延長のグループに半分ずつ分け、各々1年延長、2年延長としました。2018年1月には、さらに1年延長の事業所グループの3分の1を2年1ヵ月の調査期間のグループに入れ替え、3分の1の事業所グループを3年1ヵ月のグループに入れ替えました。

これによって、共通事業所のデータが公表できるようになったのです。ただし共通事業所のデータは、サンプルサイズが小さくなるという欠点があるため、あくまで参考値だと思います。これが真の値になるとはいえない点には注意が必要です。


共通事業所ベースの数字を公開しないワケ
2018年(速報値段階)の名目賃金(現金給与総額)は前年比+1.4%です。ボーナス(特別に支払われた給与)が同+3.7%と大きく伸びました。従来の公表値では、名目賃金は+1.7%でした。抽出率の復元の影響は▲0.3%だったということです。

2017年と2018年の月次ベースだけ、共通事業所ベースの名目賃金の前年同月比が発表されています。1〜12月の前年同月比の単純平均を計算すると、2017年は+0.9%、2018年は+0.8%となります。

一方、公表ベースの名目賃金の1〜12月分の前年同月比の平均値は、2017年では+0.5%、2018年は+1.3%です。共通事業所ベースとの差では2018年は0.5%程度高めに出ていますが、逆に2017年は0.4%程度低めに出ていたことになります。

名目賃金を消費者物価指数でデフレート(インフレ率を考慮して算出)した実質賃金は、2018年前年比+0.2%と2年ぶりにプラスになりました。国会では、野党が「この数字がもっと低いはずだ」として共通事業所ベースの数字を要求していますが、公表はされていません。

サンプル数が少ない共通事業所の数字が真の数字との誤解を与えることを避けるためでもあるのでしょう。共通事業所ベースの数字は蓄積期間が非常に短いものです。

不運にも重なった“2つの偶然”
もし、共通事業所ベースの数字があったとすれば、名目賃金ベースの共通事業所ベースとの差が約0.5ポイントであることを考慮して、前年比はマイナスになるのでしょう。

しかし、2017年の実質賃金は前年比▲0.2%とマイナスでしたが、名目ベースの差の約0.4ポイントを考慮すれば、実はプラスだったとなります。2017年はアベノミクスの成果を過少に評価していたことになりますが、この話はなぜか誰もしません。

なお、2018年1月の標本交替では、サンプルの入れ替えの影響はローテーション・サンプリングの導入により、従来の交替期に比べて小さくなりました。にもかかわらず、2018年の数字が大きく出たのは、事業所規模別労働者構成の変化(5〜29人の事業所の割合が他の区分に比べて低下)というベンチマーク更新の影響が大きく作用しています。

これは、5年ごとに実施される「経済センサス−基礎調査」の結果が利用できるタイミングに、たまたま当たったためです。6年間の構造変化の蓄積が一気に出た形です。

日雇い労働者が2018年1月から外れたことも「恣意的なものだ」との批判もありますが、これは統計ごとの比較可能性向上のため、2015年5月の総務省「統計調査における労働者の区分等に関するガイドライン」に基づいて行われたものです。

日々雇用で前2ヵ月それぞれ18日以上働いた人を「常用雇用者」に含めていたものを、簡素化・明確化のため、日々雇用はすべて「臨時労働者」にしたのです。これもたまたま、2018年1月の標本交替時期に重なってしまいました。

事態をわかりにくくする“2つのCPI”
なお、実質賃金を計算する消費者物価指数は、日本銀行が金融政策の目標とする「生鮮食品を除く総合」(コアCPI)ではありません。「持家の帰属家賃を除く総合」という消費者物価指数で、生鮮食品が入ったものです。

2017年のコアCPIは+0.5%、持家の帰属家賃を除く総合は+0.6%であまり差はありませんでしたが、2018年のコアCPIは+0.9%、持家の帰属家賃を除く総合は+1.2%と、0.3ポイントも違いがありました。

大雪や台風などの影響から生鮮野菜が高く、持家の帰属家賃を除く総合は2018年1月、2月、10月分で1%台後半の高い伸び率になったためです。コアCPIが最高でも+1.0%(2月、9月、10月)だったことと大きく異なります。2018年は自然災害による生鮮野菜の上昇が実質賃金の上昇を抑制したといえます。


■「秘書官が勝手にやります?」枝野氏、統計の改ざん疑う
(朝日新聞デジタル - 02月24日 21:57)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5512035

■立憲・枝野幸男代表(発言録)


 明日(25日)は衆院予算委員会のテレビ中継入りがある。安倍晋三首相も出て、私も出る。経済問題(の質問)、すごい準備してあるが、統計問題をやらないといけない。わざわざ(2015年に当時の中江元哉)首相秘書官が厚生労働省の担当者とやりとりしていた。こんな細かいことを普通、やります? 忙しいですからね、首相の秘書官って。それに、勝手にやります? 勝手にやるわけがないじゃないですか。「総理がこういうことを望んでいるんだな」と受け止めて、確信しなければ、しませんよ。という疑いが、相当濃厚だ。


 去年は公文書を改ざんされたんですよ。「いろんなところで都合よく数字が改ざんされていたんじゃないの?」と疑いを持つ方が悪いんですか。疑いを持たれる方の問題じゃないですか。(埼玉県川口市内での党会合で)


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