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2018年02月04日13:45

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いわし、イワシ、鰯

 昨日は節分、朝からどこかに追儺式でも見に出かけるかと思いながらも、なんとなく出そびれてグズグズ。結局午後になって、吟行に出かけた女房殿に代わって夕食の食材を求めて、近場のスーパーへ。結局は、益荒男派出夫な一日で終わってしまった。

 「夕食支度はメンドウだから、寿司でも買って帰るか?」などと考えていたら、なんと寿司コーナーは海苔巻き寿司一色!(にぎりもちらしも稲荷も鯖も一切ない)。
「夕食に海苔巻きだけじゃなあ」と、並み居る奥様方の肩越しに覗き込むと、どうしてどうして細巻太巻き各種サイズがあって、具材は海鮮やら厚焼き玉子やら各種サラダやら、なかにはトンカツまであってスゴイ(高野豆腐にかんぴょう入りなんて素朴な伝統的一品は、片隅で小さくなっていた)。各種恵方巻なんでもゴザレなのには、タマゲた。

 「よし、本日の夕食は恵方巻のオンパレードだあ!」と決めて適当に見繕って買った。どこの誰が考え出したかは知らないが、まんまと商業主義の罠にはまってしまった。だがしかし、あらぬ方を向いて丸かじりなんてお行儀の悪い事はことはしなかった。

 お魚コーナーには、これまた小ぶりのイワシがどっさり。圧力鍋を使ったイワシの煮つけは、私奴の好物だし、得意料理の一品でもある。「よし、今夜の酒の肴は、イワシの煮つけだ」と買って帰ることにした。頭と内臓を除いて水洗い後、圧力鍋に入れ、梅干、醤油、味醂、酒、水を加えて、ニ十分(生姜はなかったので無視。味を調え落し蓋をして、今少し煮詰めたら完成)。我ながら美味。ついでに柊鰯を作って門柱の横に刺したてた。

 雑誌『俳句』二月号の宇多喜美子さんと中国語学者阿辻哲次さんの対談「漢字のはなし」を読んでいたら、「鰯」は漢字ではなく国字だそうな(寿司屋の湯呑みに書いてある鰤・鯛・鮃・鯖・鰈なんてのも同様。ただし鯉は中国で「リ」と発音するので魚偏に里が付いた漢字)。だって、ブリ・タイ・サバなんて黄河にはいませんからと言う。「ナルホド、そりゃあそうだ」と納得。

 余談だが、阿辻哲次さんの話は大変面白い。
対談の中で「日本語の面白いところは、漢字、ひらがな、カタカナ、それにローマ字も使うことがありますので、それをどのように自由に使い分けてもわれわれは読み損なうことがない。これは実はたいへんすばらしいことです」「日本語以外の外国語は基本的にどこの国でもただ一種類ので書く」と。
言われてみれば「そうだね」と思うが、そんなことは考えたこともなかった。魚にまつわる話の中で出てきた言葉だけに、目から鱗がとれる思いだった(^^)。

 ひらがなは、かって女性が使う文字だったのに対し、「カタカナは仏教のお坊さんがお経を勉強するときに使う文字です」「お師匠さんが教えてくれることを暗記しないといけないのに、昔はメモを取ることが許されなかった。そこでお坊さんがこっそりカンニング用に文字を作ったのです。お経の読み方などを行間の狭いところにこっそりと書くものですから、字形を省略します。それがイロハのカタカナになってゆく」ともおっしゃる。
「なるほど。その風潮が残って、今日でも外来語をなんでもかんでもカタカナにするんだな」と、面白がるやら感心するやらです。
 
 話が脱線したので、この辺りで雑文終了としよう。今日から節は立春、候は東風解凍だが、今朝の興聖寺僧堂は冷凍庫のようだった。だが、「新学期スタートまでタップリと暇があるので、阿辻哲次さんの本を漁ろうかな」などと心が揺れ、瞑想ならぬ迷想で終始。

写真左:鰯の煮付け、多少形が潰れかけているのはご愛敬、美味なること請け合い。
写真右:柊鰯。一応外からの鬼を追いはらうお呪いだが、ヒマジンの邪鬼心が外に出ませんようにとのお呪いでもある。
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