mixiユーザー(id:17423779)

2017年06月24日05:15

371 view

丸谷才一『雁のたより』朝日新聞社 1975年4月刊

昔読んだ本。
丸谷才一『雁のたより』装本 原弘 題簽 谷崎松子 朝日新聞社 1975年4月刊。

https://bookmeter.com/books/1971185
https://www.amazon.co.jp/dp/B000J96S6C

朝日文庫 1986年8月刊 解説 清水徹
https://www.amazon.co.jp/dp/4022603976

『丸谷才一全集 第十二巻 選評、時評、その他』文藝春秋 2014年9月刊 p.9-191 に再録。
https://www.amazon.co.jp/dp/4163827501/

「二年間にわたって朝日新聞に連載され好評をよんだ「文芸時評」。石川淳、吉田健一の伝統をつぎ、単なる月例の文壇評判記に終ることなく、著者一流の広い見通しと独自の文学観によって、詩、批評、評伝、随想、小説などの各分野から取りあげられた問題作を縦横に論じた。」


『朝日新聞夕刊』1972年12月25日〜1974年11月26日に(毎月上下二回 計四十八回)掲載された「文藝時評」。

安東次男「百首通見」(『別冊太陽』創刊号)から、山崎正和「不機嫌の時代」(『新潮』[1974年]十月号、十二月号)まで。

「1972年12月 … わたしの時評はどうやら最初からツイてゐるやうで、景気よく『小倉百人一首』の話からはじめることができる。

日本文学史最高の批評家、藤原定家がよりすぐつたと伝へられる、ささやかで、そのくせじつに豪奢な詞華集の評釈を安東次男が書いたからである。

すなはちわれわれは日本文学の最良の部分について当代随一の詩人=批評家の意見を聞くといふ贅沢を味はふわけだが、おそらく「百首通見」(『別冊太陽』創刊号)の読者は、たとへ安東について何も知らなくても、ここに鋭利な批評の才を身に備へた現代詩人がゐることを感じ取るにちがひないし、のみならず、たとへ定家についていささかの予備概念も持たなくとも、このカード形式の詞華集の編者が王朝の和歌の絶頂をきはめた偉大な文学者であることを悟るに相違ない。

これは世にありふれた『百人一首』早わかりの類とはまつたく違ふ程度の高い作品で、『百人一首』といふ作品について書いてゐる。あるいは書きつくしてゐる。

正岡子規とその門下生によつて不当におとしめられた宮廷文化の精髄は、安東によつてここにやうやく顕彰されたと言つてよからう。」『丸谷才一全集』第十二巻 p.12

「かういふ堅固な手つづきを経た上でかういふ鋭敏な感受性で味はつてもらふとき、おそらく『百人一首』の編者は最上の読者を得たと満足するにちがひないし、恋歌の傑作選をもつて子女遊戯の具とした日本文化の伝統は、新しい光で眩しく照らされるに相違ないのである。『CALENDRIER』[1960]の詩人はよい仕事をした。」p.14

『別冊太陽』創刊号 平凡社 1972.12
https://www.amazon.co.jp/dp/4582920012
は我が家の本棚にあります。

読書メーター 丸谷才一の本棚(刊行年順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091201
の登録冊数は121冊です。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する