たちいらで雲まをわけし月かげは待たぬけしきやそらに見えけん
西行法師
返し
新古今和歌集 巻第二十 釈教歌 1976
「月の光が、あなたの家に立ち入らずに雲間を分けて過ぎてしまったのは、あなたが月を待っていらっしゃらない様子が、空にもそれと見えたからでしょうか。わたしはそう拝察して立ち寄らなかったのですよ。」『新日本古典文学大系 11』p.576
待賢門院堀河による贈歌「西へゆくしるべとおもふ月かげのそら頼(だの)めこそかひなかりけれ」への返歌。
山家集。西行法師家集。
そらに 暗に、推し量っての意をこめる。「空」「雲間」は「月」の縁語。
山家集では「さし入らで雲路をよぎし月影はまたぬ心ぞそらに見えける」。
西行(さいぎょう 1118〜1190)平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武士・僧侶・歌人。
詞花集初出。新古今集入集九十五首(最多歌人)。勅撰入集二百六十七首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では在原業平と番えられている。
小倉百人一首 86 「なげけとて月やはものを思はするかこちがほなる我が涙かな」
http://bit.ly/19NwbaG
http://bit.ly/14DbHMb
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