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2015年06月10日09:55

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『例えばこんな愛の形』目次

『例えばこんな愛の形』目次

pixiv掲載でR-18作品です。

(1)http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5409535
(2)http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5421128
(3)http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5425698

冒頭はこんな感じ。

『例えばこんな愛の形』

 それはカノンとラダマンティスが地上のホテルで久方ぶりの逢瀬を楽しんでいるときのことだった。
 食事と酒をともにし、早々にホテルにとった部屋にひきこもった二人は、もつれるようにしてベッドに倒れこんだ。
「カノン…」
 ラダマンティスはカノンに深く口づけ、さらに頬や首筋にキスを雨のように降り注がせた。二人を隔てる衣服がもどかしいとばかりに、ジャケットを脱ぎ捨て、シャツをはだけさせる。
「ラディ…、待て、シャワーを先に…」
「ああ。一緒に入るか」
「ふふ…風呂で欲情するなよ。のぼせる」
「努力はする」
 そうしてカノンの手を取り、ベッドから立ち上がろうとしたとき。
『ラダマンティス』
 突然、室内に声が響き渡った。それはカノンも良く知るラダマンティスの同僚、天貴星グリフォンのミーノスの声だった。
「え?」
 気づくと、いつの間にか一羽のフェアリーが羽ばたいていた。
「ミーノスか。なんだ。野暮なことは…」
『ただちに冥界に戻ってください、ラダマンティス』
 ミーノスの声は意外なほどに真面目だった。二人を邪魔して面白がっているような風では全然ない。
「どうした?何かあったのか?」
『カイーナが邪竜の大群に襲われています』
「なんだと!?」
『アンティノーラ、トロメアからも援軍を出していますが、いかんせん数が多い。あなた不在では対応困難です。ただちにカイーナに戻り、自軍の指揮をとってください』
「おい!」
 カノンがいらだたしげに身を起こした。
「久々のデートなんだぞ!一回くらいやらせろ!」
『そんな時間はありません』
「だが…」
『ラダマンティス、冥界の危機と、カノンとの乳繰り合いと、どちらが重要だと思っているのですか。霊道を開きますから、早く戻りなさい。嫌だというなら強制テレポートをかけます』
「う、う…」
 ラダマンティスはうなった。しばらく理性と情欲との間で苦悶していた彼だが、やがてため息をついて脱いだジャケットを拾った。
「ラダマンティス、おい?」
「…カノン、すまん。後で埋め合わせはするから…」
「ちょっと待て、こら…」
「ミーノス、霊道を開いてくれ」
 部屋の片隅に時空の歪みが生じる。そこに出現した「道」を通って、ラダマンティスは冥界に帰還していった。
「こ、こ、この、馬鹿翼竜…」
 置き去りにされたカノンがベッドの上で怒りに震えた。
「ちっくしょぉぉぉぉーっ!浮気してやるーっ!」
 怒声が室内に響き渡った。

 なぜこういうことになっているのだろう、と「河の王」であるアケローオスは困惑した。
 深夜、海界の「白き女神」レウコテアから「水鏡」で連絡があった。カノンがアケローオスに急用があるため彼の館への道をつなげてほしい、という依頼だった。こんな時間に来るくらいだからよほどの急用だろう、とアケローオスは彼女の「白の館」から自分の館への「水脈」をつなげた。そして水の道を通って姿を見せたカノンは開口一番こう言ったのだった。
「抱け!」
 と。
「え?あ?なに?」
「だから、抱けよ」
「…ほら」
 困惑したが、とりあえずアケローオスはカノンの言う通りに彼をぎゅっと抱きしめた。
「そうじゃなくて…!」
 腕の中のカノンはアケローオスの襟元をつかんで猛然と怒り始めた。
「セックスだよ、セックス!おれとやれって言ってんだよ!」
「は?」
「今さら男とはやれないなんて言わせねぇぞ!おれには散々キスしたもんな!あれでやれないなんてことあるか!それでもだめだっていうなら、おれがその気にさせてやる!」
「……」
「ほら、あんたの寝室に行くぞ!どこだ!」
 そう言ってアケローオスの腕をとったカノンは館の奥に歩きはじめた。
「い、いや、ちょっと待て…カノン…」
 さすがに慌て、アケローオスはカノンの腕をふりほどいて立ち止まった。
「…いきなり何なんだ。何があった?」
「……。ラダマンティスの奴が…」
 呟いて、カノンはふるふると震えた。
「冥府の判官殿が?」
「…あいつと会うのは二か月ぶりだったのに…。あの野郎、おれより冥界の緊急事態の方が重要だとぉ!人を置いてさっさと帰りやがって…準備万端だったおれの体と心をどうしてくれる!」
 身のうちから絞り出すようなカノンの絶叫だった。
「…ああ。そういうわけ…」
「だから浮気してやるんだよ!このまま眠れるか!悔しいったらありゃしねぇ!」
「…で、代打がおれ?」
 アケローオスが自分を指さす。
「そうだよ。文句あるか」
「文句というか…。だいたい、それなら地上なり海界なりで適当にひっかければよかろう。お前ならどんな男でも女でも…」
「じゃあ、あんたでもいいよな」
「いいよなって…。なんでそこでおれなんだ」
 端的にカノンは答えた。
「一番良さそうだから」
 カノンの唇が妖艶な笑みをにっと刻んだ。アケローオスの首筋に両腕を回し、引き寄せる。
「あんたのキス…すっごく良いもんな。なんか不思議な感じがしてさ…。キスでああなら、セックスならどうなるんだろうって…」
 耳元でささやき、耳たぶを軽く唇でなぶる。
「…なぁ、いいだろ?しようぜ?」
 そうしてカノンはアケローオスの頬を両手で包み込み、唇にそっと口づけた。
「ふふふ…」
 ついばむような口づけをした後、唇を舐め、そっと舌を割り込ませる。アケローオスも拒みはせず、カノンの好きなようにさせていた。ちゅっと軽く音をたてて、カノンは口づけを終えた。
「おれが断ったら、どうする?」
「思いっきり暴れて、あんたの河と館を壊してやる」
「……」
 はぁ、とアケローオスが大きなため息をついた。
「脅すな。…まったく、わがままを言って癇癪を起してる子供だな、お前は」
 河と館を壊されてはさすがにアケローオスも困る。無論、暴れるカノンを力で取り押さえることも出来るが、それでもある程度の被害は覚悟しなければいけない。アテナに連絡して「あなたの配下が欲求不満のあげく私の河と館を壊すと言っています。何とかしてください」と泣きつけば彼女がカノンをなだめてくれるだろうが、その場合でも「何だよ!アテナを出すなんて卑怯だぞ!いいよ、もうあんたとは絶交だ!二度と口きいてやんねーからな!バーカバーカ!」くらいは言われそうな勢いである。
「…で、するのか、しないのか?」
「わかった、わかった。とりあえず、来い」
 どうにも体でなだめてやらないことには落ち着きそうにない。そう判断したアケローオスはカノンの肩を抱き寄せ、館の奥に案内した。カノンの訪れを知って、何人かのニンフが世話のために姿を見せていたが、アケローオスは「あとはおれがする」と言い、彼女たちを自室に下がらせた。

(以下はR-18なので割愛)

 教皇アイオロスは己の首席補佐官であり恋人でもある人の様子に、いぶかしげに首を傾げた。
 教皇の間の執務室に出仕したサガは、朝からおかしかった。何をしても上の空で、ため息をしばしばつき、何事かを悩んでいるようだ。表情も暗い。書類に目を通していてもろくに内容が頭に入っていないようで、処理能力が著しく落ちている。
「…何かあったのか、サガ?」
 アイオロスがとうとう尋ねてみると、書類に目を落としていたサガは慌てて頭を上げた。
「え?アイオロス…何か?」
「いや。朝から変だぞ、お前。何があった。悩み事なら相談に乗るぞ」
「あ…うん…」
 しばらく考えていたサガだが、やがてぽつりと呟いた。
「実は、カノンが朝に来たのだ。それで、昨晩、アケローオス様に抱かれたと…」
「は?」
 アイオロスは頓狂な声を上げた。
「アケローオス様って…あの河の神の?」
「そう。ラダマンティスとの予定が潰れたので、その代りだったようだが。でもあの方がカノンを抱くなんて…。あの方は男はだめだと思ってたのに…」
 そうしてしばらく押し黙って何かを考えていたサガだが、やがて顔を上げてアイオロスに言った。
「あ、あの方は…そんなにカノンのことがお好きなのだろうか?」
「好きって…」
 まあ抱いたくらいだから好きなのだろう、とアイオロスが思った傍らで、サガは言葉を続ける。
「男でも…それでも抱くくらい…そんなにお好きなのだろうか?私の方がいつだってあの方の側にいて愛されていたはずなのに。そう思っていたのに…。でもカノンが言うのだ。あの方にとって男は自分が『初めて』だったと。とても自慢げに私にそう言って…。それで、それで、あの方に自分を選ばせてみせる、自分だけの神にしてみせると、そう言うのだ。どうせ私は何もできないから、黙ってそれを見ていろと…私ではなく自分を選ばせてみせると…」
「……」
「あ、あの方が私ではなくカノンを選ぶなんて…。私を捨ててしまうかもしれないだなんて…そ、そんなのは嫌だ!」
 言うなり、サガの瞳に涙が浮かんだ。やがて肩を震わせ、サガは嗚咽を漏らした始めた。
「…あのさぁ。アケローオス様がお前を捨てるとか、それはないだろ。考えすぎだ。お前のことを大切な『弟』だと思っているんだろ、あの方は」
「でも、でも、あの方はカノンを抱いたではないか!カノンだって『弟』のはずなのに…。ほ、本当にカノンの言うとおりになってしまうかもしれない。わ、私だって、あの方には本当はカノンより私の方を選んでいただきたいのに…でもそれは私のわがままだから、だからせめて私もカノンも平等に愛していただきたいのに…私は…」
「え、えーと、さ、サガ…」
 アイオロスは思考を整理し、言葉を探した。「愛してもらいたい」って、それはつまり…。
「…つまり、お前はアケローオス様に抱いてもらいたいのか?」
「だって…だって…カノンが抱かれて私が抱かれないなんて、そんなのは不公平だ!」
 言うなりサガは号泣を始めたが、言われたアイオロスの方は衝撃どころでの話ではなかった。サガが、恋人のサガが、自分以外の男を望むというのである。
「ちょ、ちょっと待てよ、サガ。お前、おれのことを愛しているんだよな!」
「愛しているに決まっているだろう!今さら何を聞いている!?」
「その上で、アケローオス様に抱かれたいと…」
「…うん」
「…お前、二股かける気か?」
「ふ、二股なんて、出来るわけないではないか!お前をもう一度裏切るなんて…そんなこと、私には…!」
「じゃあ、他の男に抱かれたいなんて思うなよ」
「でも…でも…カノンが…!カノンにあの方を盗られてしまう…!どうしよう、どうしたら…」
 完全に混乱しているサガの様子に、はあっとアイオロスは大きなため息をついた。
「…サガ、もういいから、今日は休め」
「…え?」
「休め。それで少し思考を整理しろ。このままでは仕事にならん」
「でも…」
「いいから、休め」
 しばらく逡巡していたサガだが、やがて「うん」とうなずいた。そうして帰るべく用意をしていたサガだが、結局迷いつつ、ある結論に達したらしい。
「うん。アイオロス。せっかく休みをもらったのだから、私はこのままアケローオス様をお訪ねしてみる!」
「はああああーっ!?」
 アイオロスは盛大な疑問の吐息をついた。だがサガは何かを吹っ切って納得したようだった。
「アケローオス様のところに行って、私とカノンのどちらをより愛してるのか、あの方に確認してくる!それにもしかしたらカノンが嘘をついたのかもしれない。あの方に直接お尋ねしてみる!」
「え、ま、待て、サガ…」
「ではアイオロス、また明日な」
 言うなりサガは執務室を出て行ってしまった。しばらくアイオロスは執務机の前で呆然と座り込んでいた。
「…カノンの奴ぅ〜」
 やがて恨めしそうな呟きが教皇の口から洩れた。
 そもそもの発端は、カノンがアケローオスに抱かれたことをサガに自慢げに語ったことである。なぜにそんなことを言ったのか、アイオロスには分かっている。カノンのサガに対する、そしてアイオロスに対する嫌がらせである。
 カノンは、少年時代のサガが聖闘士への道を決意したことについて「弟の自分ではなくアイオロスを選んだ」とサガを恨んでいた。兄との仲を修復し和解はしたが、その時の恨みの念はまだ消えておらず、時おりサガに嫌がらせをしてくる。もちろん、兄が自分を捨てる原因になったアイオロスのことは、今でも大嫌いである。サガを傷つけるために、そしてアイオロスとサガの仲を引っ掻き回すために、カノンはわざわざ聖域に来てサガに告げ口したのだ。
 ちなみにサガに嫌がらせをするとなると、一番効果的なのは幻隴拳でも何でも使って「アイオロスを寝取ること」であろうが、カノンがそれをしないのは、単にそれだけアイオロスを毛嫌いしているからだ。
 あの双子座の愚弟が…と、めったに人をうらむことなどしないアイオロスだったが、珍しく真剣にカノンを呪った。
『サガもサガだ。なんであんなにアケローオス様に執着するんだ。あの方に…執着…?』
 うーん、と、アイオロスは考えた。
『執着、というなら、あの方だけではないか。カノンにも執着してるか。ラダマンティスのことを『弟を盗った』と嫌っているものな、あいつ』
 となると、サガが「執着」しているのは、つまりは「兄」であり「弟」であって、「家族」ということになる。
『執着というなら、カノンもアケローオスに執着しているわけか。サガにも執着しているが…まあ、一度サガに捨てられたからな、あいつは。そう言えば、前にバシレウス…オケアノス様が、サガは実の母親に捨てられたことがトラウマになっている、みたいな話をされてたよな。だからか。『家族に捨てられる』。それがあの双子にとって一番こたえることなのか…』
「…抱いたりしなくても捨てないって…アケローオス様、サガにそう納得させてくれるかなぁ…」
 腕組みをして悩み、かつ真剣にそう望んだアイオロスだが、考えても結論は「なんか無理っぽい」としか出てこないのであった。

「…で、おれを訪ねてきたわけか」
「はい」
「……」
 二日連続で館にやって来た「珍客」の姿に、アケローオスは盛大なため息をついた。
 アケローオスが座ってるのは彼の私室の長椅子で、机を挟んだ向かいにある長椅子にはサガが腰かけている。
 聖域を出たサガは、ギリシャ北西部のアケローオス河まで、長距離バスなどという普通の手段は使わず、異次元移動でもって転移した。そちらのほうが早かったからである。そして河畔で河の主を呼び出し、アケローオスの館の私室に招かれて座っているというわけである。
 なぜこんな面倒なことになっているのだろう、とアケローオス自身も思うが、結局はカノンのわがままに負けた自分に責任があるので致し方ない。カノンに誘惑された時点で、この状況は予想しておくべきだったのだ。予想というより、予知というべきか。カノンにどう罵られようと、アテナに介入してもらえば良かった。そう後悔し、アケローオスの口から再びため息が漏れた。
「ねえ、アケローオス様、本当なのですか?」
「何が?」
「その…カノンを抱いたのは…」
「本当だ」
 その答えにサガは傷ついたような、泣き出すような顔になった。
「そんなに…そんなにカノンがお好きなのですか?カノンを『初めて』の男にするくらい…」
「好きというか…。まあ、特別に可愛くはある」
「『特別』…」
 いよいよサガは泣きそうな顔になった。
「ああ、そんな顔をするな、サガ。『特別』なのはカノンだけではなく、お前もだ。お前もカノンも、同じだけ愛している」
「でも、でも…カノンは抱かれて…私は抱かれないなんて…」
「お前には教皇がいるだろう?」
「カノンにだってラダマンティスがいます!」
「…まぁ、あいつは貞節を守るようながらではないからな。奔放というか…」
 ため息をついたアケローオスに、落ち込んだサガが言う。
「カノンが言うんです。あなたを自分だけの神にしてみせる、あなたは私より自分を選ぶはずだって…」
「それは大した自信だな」
「このままでは本当にそうなってしまうかもしれない。だって、あなたはカノンを抱いたじゃないですか!私ではなく、カノンを…。このままカノンを抱き続けたら、あなただってきっと私よりカノンの方が愛おしくなるに決まっている…!何もない私より…」
「ないない。それはない」
「そんなこと…信じられない…。だって…カノンは魅力的だ。私にはない魅力が、あいつにはある…。どんな男でも女でもきっと惹きつける。アケローオス様だって、きっとカノンに…」
 半泣きになっているサガの様に、アケローオスは何度目かのため息をついた。長椅子を立ち、机を越え、座る場所をサガの真横に変える。サガは隣に座った「兄」の肩に頭を預けた。
「あなたには…私を選んでほしかった。カノンではなく、私を…」
「言ったろう、同じだけ愛していると。お前たちのうちどちらかを選ぶなど、おれにはできん」
「それなら…せめて同じように愛してもらいたいです」
 自分に寄り添うサガの頭をアケローオスは抱きかかえて撫でた。
「…おれに抱かれたいのか、サガ?」
「そうしていただければ、安心できる…」
「教皇のことはどうする気だ?」
「それも考えたのですけど…」
 言ってサガはアケローオスに向きなおり、彼の膝に手を置くと真面目な顔で問いただした。
「ねえ、アケローオス様。カノンが『特別』だというのは、『弟』として『特別』なのですよね。『恋人』としてではなく。少なくとも今のところは」
「ああ」
「私も、そうなのですよね」
「ああ」
「では、問題ないです」
「…は?」
 超展開の結論に思わずアケローオスは問い返した。サガがやはり真面目な顔で主張する。
「だって神々は、兄弟姉妹で交わるではないですか。あなたの父君だって奥方は妹だし、ゼウスだって妻のヘラは姉だし…。人間は同腹で交わるのはだめですけど、神々はいいんですよね」
「…うん、まあ、そういうことになっているな」
「だから、私とあなたが交わるのも、問題はないですよね。あなたは『恋人』ではなく『兄』だから、兄弟で愛情を確認し合うだけだから、だから『浮気』とか『二股』にはならないと思うのです」
「……」
 なんという超理論…とアケローオスは半ば感嘆し、半ば呆れた。サガの精神と思考は他者には謎な論理展開の末についに自己正当化を果たしてしまったらしい。
 ねえ、とサガが上目づかいにアケローオスを見上げる。
「…それでも、私ではだめですか?」
 すねた様なサガの姿はとても愛らしかった。
「やはり、本当はカノンのほうがお好きなのですか?」
「いや…」
 再びため息をついたアケローオスはサガの頭を抱き、考えた。
『あの教皇の…了解を得ておくべきだろうか?』
 そう思ったが、ゼウスがスパルタの王妃レダやアムピトリュオンの妻アルクメーネーを寝取った時だって、夫の了解なんていちいちとらなかったよな、と、アケローオスは思い直した。さすがに「神」だけあって彼も思考がぶっ飛んでいる。
 そうしてアケローオスは一つの方向に結論を出したのだった。
「いいよ…お前が望むなら」
 サガの頬を両手で包み込み、河神はそっと彼の額にキスをした。

(こんな感じで続きます)

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