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2015年08月12日01:02

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『執着と愛の境界線』第6話

『執着と愛の境界線』第6話

 アケローオスの腕のぬくもりの中でサガはとろとろとまどろんだ。一度は絶頂で気を失ったしまったサガだが、目覚めた後、再び彼はアケローオスを求めた。アケローオスには無理はするなと苦笑されたが、それでもカノンと同じ回数だけ愛して欲しかった。
 そうして愛された後の気だるい眠気に身をゆだねていると、傍らのアケローオスが起き上がった。
「ん…?」
 薄目をあけて同衾する相手の様子をうかがうと、彼はベッドヘッドに背を預けて何かを考えていた。
「アケローオス様…?」
「…ああ、サガ、起こしてしまったか」
「また…難しいお顔をしてる…」
 サガは布団の中で身じろぎし、河神の顔を見上げた。
「何をお考えに…?」
「…これから先、お前たちとの関係をどうしたものかとな」
 アケローオスの手がサガの頭を撫でる。その手にサガは自分の手を重ねた。
「やっぱり…私たちとの関係はご負担ですか?別れたい?」
「おれはお前にもカノンにも幸せになって欲しいと思っている」
 サガの頭を撫でながらアケローオスが言う。
「だからお前と教皇や、カノンと冥府の判官殿との関係を悪化させるようなことは、本当ならしたくはない」
「アイオロスは…認めてくれてます」
「お前のわがままに押し切られる形でな」
「…あなたと三人で過ごす夜は、私が積極的になって嬉しいと、アイオロスは…」
「それがあいつの本心だと思うか、サガ」
「……」
 無言でサガはアケローオスに体をすり寄せた。さすがに肯定するほど、サガもアイオロスの感情に無理解なわけではない。
「カノンが…、肉体関係などなくてもおれに愛されていると…そう自信を持って、満足してくれたらいいのだがな。お前も…」
 何かいい知恵はないものか、と、アケローオスは苦笑した。
「…いっそ、サガ、お前がカノンに抱かれてみるか?」
「え?」
「お前が手に入れば、カノンは意外に満足するかもしれん」
「だめですよ、そんなの。兄弟でなんて…」
「お前も頭が堅いな」
「禁忌を勧めないでください」
「自分のためにお前が禁忌を犯してくれるかどうか…カノンはそれでお前の愛情を測りたいのかもしれないな」
 そう言うとアケローオスは再び身を横たえ、サガを抱き寄せた。
「お前たちのトラウマがどうやったら解消するか…。しばらくはこまめにカノンに声をかけてやるしかなさそうだ」
「私にも…」
「ああ。今度はお前とカノンを一緒に愛そう」
 そうして二人は眠りの神の恵みに身をゆだねた。

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