私の音楽の趣味はクラシック音楽、とりわけブルックナーの交響曲が好きであるが、中でも5番というのがお気に入りだ。
で、同好の志ならばご存知のように、このブル5の聴き所の一つというのは4楽章のラスト数分間の、あの金管セクションの壮絶なクライマックスであるのはいうまでもあるまい。
あの音響エネルギーの放出というのはとてつもない力業であるだけに、超一流のオーケストラの金管セクションでないとへなへなとお間抜けになってしまう。
・・・・さてさて、今度の演劇公演で我々エキストラ出演者が登場するシーンはいくつかあるのだが、その中の一つのシーンはまさしくこのブル54楽章ラストのような、かなり強烈なエネルギー放出を伴うシーンなのだ(笑)
時間にして約3分ほどだが、最初から最後まで超ハイテンションなインパクトを持続させねばならない・・・・もっとも10人それぞれ全く違うことをしているのだが。
私の場合は肉体的な動きとしてはそれほど大した運動量ではないのだが、休むことなく「声」・・言語的意味のある台詞ではないし、訓練された「舞台発声」としてのものではなく、もっと原初的な、魂から振り絞るような飛翔音?・・とでもいうような叫び・・を放ち続けいる(もちろん最大音量で!!)・・・
内容を説明してしまうわけにいかないので(笑・・しても分からないだろうし)、イメージで言えば、私のやっている演技のモチーフは「星への飛翔」とでも言えるのかも知れない・・・
宮沢賢治の童話「よたかの星」というのはかなり好きなお話だが、彼が遥かなる天空の高みに向かってひたすら飛翔し続けていく・・・のと心情的にはかなりダブっているのは事実である。
約3分間、これをやるともうへろへろの状態である・・・日常生活の中にあってはここまでやるというのはまず考えがたい・・まあ敢えて言えばエッチするときはもしかしたらこれに近いのかもしれないが(爆)
演じている最中でもかなりしんどい・・・3分というのがかなり長く感じられる・・・途中で生理的にどうしても落ちかかるのだが、もうひたすら気合だけで必死で立て直して突き抜けていく・・
しかしその「苦しさのなかでも星に向かって飛翔していくのだ!!」という感覚をむしろリアルに実感できるような気もしている・・・もっとももうそれだけでいっぱいいっぱいなので、果たしてそれが「表現」というものに値しているだろうか?という懸念もあるのだが・・・。
それは自己超越・自己超克の為に飛び続けよう!!とするタパス(苦行)であるのかもしれない・・・・
これはもちろんお芝居の演技ではあるのだが、そもそも私自身の中にあるモチーフを象徴的に演じているわけなので、(TAICHI−KIKAKUの舞台が他の演劇の作られ方と最も異なるのはこの点ではないか?・・と思う)、今現在の私の置かれている状況とシンクロするのはあまりにも明白である。
来るべきものは「ハイパー・シリウス」なのだ・・・そこに向かって突き抜けて飛べ!!!
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