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2016年12月03日02:58

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『呪いのホテル』第3話

『呪いのホテル』第3話

「馬鹿」
「すまん…」
「脳筋」
「悪かった…」
「性欲魔人」
「いや、だから、サガ、機嫌を直してよぉ」
 聖域、サガの私宅の寝室である。寝台に横になってアイオロスに背を向けているサガに、アイオロスは必死に謝っていた。
 サッキュバス討伐を終えた後、その勢いのまま聖衣装着でサガとセックスしたアイオロスは、あふれ出る体力に任せてやりにやりまくった結果、サガの腰を立たなくさせてしまったのである。おまけに部屋の窓ガラスをアイオロスが壊していたため、二人の嬌声は外の道路にまで響いていた。
 翌朝になってアイオロスに「お姫様抱っこ」される形で聖域に戻ってきたサガの姿に、住人たちはどこか大けがでもしたのかと心配した。しかし。
「何でもない!何でもないから!」
 と顔を真っ赤にして言い立てるサガの様子に、逆に皆は何があったのかを察した。
 アイオロスに足腰を立たなくされるわ、自分たちの情事が理由でホテルから苦情を言われるわ、聖域に戻れば立てない理由を悟られて恥ずかしさで皆に合わせる顔はなくなるわで、サガは私宅の寝室に引きこもって、アイオロスに対してぷりぷりと腹を立てている、という次第である。
「聖衣装着で力任せに抱かれて私がどれだけきつかったか…。少しは配慮しろ!」
「ごめんって…。だってサガの様子があんまり色っぽくってさぁ…。夢魔に襲われた後のせいか、やたらと敏感だったし…」
 昨夜のサガの姿を思い出し、にへら、とアイオロスは笑った。
「サガだって良かったでしょ?あんなに声を…」
「うるさい!」
 怒鳴ったサガは枕をアイオロスに投げつけると、布団を頭まですっぽりとかぶって隠れてしまった。
「…え〜と、じゃあ、今日はサガは休みでいいから…。おれは教皇の間に戻るね」
「……」
 アイオロスはそう言って立ち去っていったが、サガは一言も見送りの挨拶はせず、布団の中に隠れたままだった。
『それにしても昨夜は燃えたなぁ。聖衣装着でのセックスがあんなに興奮するとは思わなかった。今度はサガにも双子座の聖衣を装着させてやってみようっと』
 処女神アテナに仕えて地上の正義と平和を守るはずの教皇様は、およそろくでもないことを考えてしまりのない笑いをしながら、十二宮の階段をてくてくと上っていくのだった。

 午後になってサガは教皇の間に出仕して仕事に取り掛かったが、アイオロスに対する怒りはまだ消えず、その日一日、彼と口を聞いてくれなかった。
 そんなサガを見ながら、教皇アイオロス様は「怒った顔のサガも可愛いなぁ」とのんきに鼻の下を伸ばしたのだった。

<FIN>

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