mixiユーザー(id:6007866)

2014年02月07日19:03

29 view

『 永遠の0 』 原作読了

フォト

場で観て、大いに感動した『 永遠の0 』原作を読了。私は「 観てから読む派 」だが、映画と原作の立ち位置の見事なまでの違いにびっくりした。と、同時に映画脚本が非常によくできていることに感心した。原作者自身、「 とても自分には脚本は書けない 」と言っていたそうだが、確かに脚本はよくまとまっている。おそらく、原作のカラーを色濃く映画に反映していたら、これほどの好評価は得られなかっただろう。良くも悪くも、映画は万人ウケする「 わかりやすさ 」が特徴だ。

 原作は零戦搭乗員・宮部久蔵の軍歴を追うことで、大東亜戦争を簡潔にダイジェストし、最終的には手厳しい軍部批判(特に海軍批判)を行っている。原作者・百田尚樹氏は関西で活躍する放送作家で、戦史研究家でないばかりか、ミリタリーマニアでもない。『 永遠の零 』を執筆するために、百田氏が膨大な戦史資料や戦記小説、戦場漫画を読み、研究したのは想像に難くない。もともとが素人ゆえに、ミリタリーファンにありがちが「 海軍無謬(むびゅう) 」信奉がなく、大東亜戦争の推移に関して極めて素直な判断をしているのが特徴だ。まず間違いなく、彼は戦史から浮かび上がった「 敗北必然の図式 」に抑えがたい憤怒の情を覚えたはずだ。原作者が断罪するのは、勝てるはずの戦いに慢心と自己保身で臨み、勝利する機会を無惨に逃した軍指導部、とりわけ海軍の現場指揮官(司令官)達である。彼らがここ一番の大勝負に慢心と自己保身から決然たる方針を貫くことを避けた結果、数多の同胞が「 水漬く屍草むす屍」 となり二度と故国の土を踏むことができなかった。「 統率の外道 」と自覚しながら、なお特攻を採用した軍指導部には痛烈な批判を加えているものの、百田氏が「 特攻で散華した英霊 」に対しては強いシンパシーを感じていたことは否定できない。原作者の怒りがあまりに激しいため、「 特攻 」の描き方にも否定的な色合いが混じってしまったのは残念である。
8 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728 

最近の日記