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2013年03月11日21:06

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『 ジャンゴ 繋がれざる者 』

 日の朝一番でタランティーノ最新作『 ジャンゴ 繋がれざる者 』を観た。正直なところ、「 タランティーノ監督にしては、真面目に作ったマカロニウェスタン 」に仕上がっていて、ちょっと意外だった。前作の『 イングロリアス・バスターズ 』級に悪趣味が炸裂するのではないか、と覚悟していただけに残念な気もする。ちなみに、彼自身は「 不当に抑圧されてきた人々に代わって映画の中で復讐した 」と語っているが、『 イングロリアス・バスターズ 』がユダヤ人にとっての敵であるドイツ第三帝国に正しく照準が定まっているのに対し、『 ジャンゴ 』の場合、南部の大農園主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)個人とその一味が復讐の対象というのではあまりにスケールが釣り合わない気がする。物語はそれなりに面白いのに、鑑賞後にさほど爽快感がないのは、結局、個人的な復讐であって、奴隷制そのものにはジャンゴの活躍はなんの影響もないからだろう。

 ジャンゴを奴隷商人の手から救った旅の歯医者(実は賞金稼ぎ)キング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)が、ジャンゴに銃の手ほどきをするシーンが本編中にほとんどなかったのは肩透かしを食った感があるものの、Dr.シュルツとジャンゴ(ジェイミー・フォックス)という「 最強賞金稼ぎコンビ 」のパワーバランスが徐々に変化していく過程は面白かった。特筆すべきは、やはり、冷酷無比なキャンディを演じたディカプリオの鬼気迫る力演だろう。ジャック・ニコルソンと見紛うほどの狂気をほとばらせていたのは驚きだ。そして、名優サミュエル・L・ジャクソン。彼の存在感の大きさはどうだ! 私は最後の最後まで「 彼が悪人のふりをした善人なのか、それとも根っからの悪人なのか 」判然とせず、彼の一挙一動に終始、緊張感を強いられてしまった。キャンディ王国の奴隷頭に「 アメリカの良心 」と謳われるサミュエル・L・ジャクソンをキャスティングしたのは見事だと思う。鮮血飛び散る銃撃戦は激しさの中にもコミカルさを失わず、さすが世界屈指の映画フリーク・タランティーノの演出だ。


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