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お好み焼 味幸コミュの二、國立文樂劇場で『花弘會』を鑑賞して 第一部

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 この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の,

 『Motion1(和樂器・Japanese instrum)』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
 映像は和歌山懸にある、

 『熊野速玉大社』

 へ出かけた時のものです。
 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。







     二、國立文樂劇場で『花弘會』を鑑賞して

              第一部


 さて、ここから舞踊の感想に移るが、筆者は何しろ今囘が生れて初めての經驗なので、感想と言つても全くの素人の戲言(たはごと)にしか過ぎず、的外れな意見もあらうかと思はれるが、笑つてお聞き流しの程を願ひつつ先をすすめる。


 第一部の最初の演目は、

 『鶴龜』

 といふ長唄で、謡曲の『鶴龜』を元にして十代目杵屋六左衛門(1800-1858)が作曲。
 「王」を花柳芳綱(以下敬稱略)、「鶴」を花柳佳紀、「龜」を近藤博美と三人によつて舞はれ、初めに「王」が現れて輕く舞つた後、後見(黒衣(くろご)とは別の舞台上で補佐する役)が「王」に椅子を出して腰を掛けると、「鶴」と「龜」が現れて舞ふのだが、途中に片足を上げて靜止する動作を續ける時に「鶴」と「龜」はふらつく場面が見られた。
 それは全演目について云へる事で、しかし、その中でも「王」の踊りの時には靜止時間は短いもののピシツと極(きま)つてゐて遉(さすが)だと思はせ、その靜止時間もこれ以上續けると安定しないと一瞬の内に判斷せられての決斷で、それもまた名人巧者である事の證明であるやうに感ぜられ、靜止時間の短い事も氣にならなかつた。


 續いて二番目の踊りは初代杵屋六翁の作と言はれる常磐津の、

 『老松』

 で、踊りは賛助出演された花柳芳圭次である。
 これも見事なものだつたが片足を上げる靜止場面では微妙な搖れがみとめられた。


 三番目は、坪内逍遥(1859-1935)作詞・五代目杵屋勘五郎(1875-1917)・十三代目杵屋六左衛門(1870-1940)の作になる長唄、

 『新曲浦島』

 で、花柳綱仁と賛助出演である花柳仁司郎・花柳寛七郎の二人の計三人の若手で踊るのであるが、仕科(しぐさ)に溌剌とした勢ひはあるもののまだまだ優美さには屆かない。
 また片足を上げて靜止する場面でも、頑張らうとして搖れを見せるといふ若さを暴露してゐた。
しかし、坪内逍遥がかういふ分野にまで造詣が深かつたとは知らなかつた。


 四番目も長唄で、

 『梅の榮(三代目杵屋正次郎)』

 女性で唯一人の花柳姓でない踊り手の中村恭子は無難な體捌(たいさば)きを見せてゐたが、都會の喧騷やせかせかとした動きに慣れてしまつた身としては睡眠不足も手傳つてか、ゆつたりと流れるやうな時間に、つい微睡(まどろ)んでしまつた。


 氣がつけば五番目の常磐津の演目で、

 『猩々』

 となつてゐた。
 花柳芳宗徳と花柳綱菊の踊りも女性らしい優美な所作であるが、片足上げた靜止はやはりふらついてゐた。
 そこで氣がついた事があるが、花柳姓の女性の名前が男の名前である事で、本當かどうかは解らないが、これは女性が禁止された歌舞伎に影響を受けたものなのかも知れないと考へたりした。


 次の六番目の踊りは女性の花柳芳左亮で、

 『まかしょ』

 といふ長唄。
 これも筆者自身が眠氣で踊りの世界に沒入できず、意識が朦朧としたまま過ぎてしまひ、これといつた感想も抱けずに終つてしまつた。


 これではいけないと、氣を引締めて七番目の、

 『近江のお兼』

 といふ長唄を聞く事にしたが、この綺麗な娘なのに大力でといふ物語(ストオリイ)を、お兼役の花柳綱雅と捕手役の二人花柳綱仁と花柳仁司郎が舞ふのである。
 だが、私にはこのお兼と捕手二人の絡(から)みが、練習不足でもあるかのやうにしつくり來ないやうに思はれたし、どちらかといふと狂言のやうな可笑しみを感じてしまつたのである。


 休憩時間になつて次の八番目の花柳芳宗之の大和樂の、

 『あやめ』

 が始まるまでに氣分を變へようと、受附の近くにゐる『花弘會』の關係者の女性に、この公演がいつ終るのかを尋ねると、驚いた事に夜の九時頃になるといふ。
 『Q-P DANCE』さんが何故、

 「午前十一時より開催されますが何時頃に來られますか」

 といふ質問をしたのかが、その眞意がこれでやつと納得できた。
 筆者は一部と二部の間に少し長めの休憩があるものと思つてゐたし、全演目は長くても三、四時間で終演するものと思つてゐた。


それが、である。
 なんと八時間にも及ぶ公演だなんて思つてもみなかつた。
あの時十一時に行くと訝(いぶか)りながら答へたのは、そんな事は露にも考へてゐなかつたからで、舞臺で踊りが始まつて演目が二つ三つと進んで行く内に、一定の間隔で演目が進められて行くのに、次第に疑問に感じだして來たのである。
 構成が一部と二部に分れてゐて共に十三の舞蹈があり、全舞蹈の二十六もの演目がパンフレツトにあるのだから、それはさうなのかも知れず、御負けに幕間(まくあひ)の休憩は十一、二分ぐらゐしかないのだから、それに氣がつかない事の方が迂闊だつたのだらう。
 因みに、『大和樂(やまとがく)』とは昭和初期に男爵であった大倉喜七郎により創設され、成立した新邦樂の一種である。


 晝食(ちうしよく)の時間さへもゆつくり攝れない有樣に驚いてしまつて、尤も筆者は晝は食事をしない習慣なのでせめて珈琲を飲まうと一階のお食事處へ降りて行つたが、餘りにゆつくりとしてゐたので、賛助出演である花柳圓志朗の踊る九番目の長唄の、

 『浦島』

 の演目の途中から見る事になつてしまひ、通路を歩いて席まで行くのも憚られて入口邊りで舞臺を眺めてゐたが、集中出來なかつたのでこれも感想を書くところまではいかなかつた。


 十番目は清元で花柳美知叟による、

 『たにし』

 であるが、これは舞臺の奈落を活用した演目で、しかも主人公が田螺(たにし)といふ戯畫化(カリカチユアライズ)された滑稽な劇で、狂言のやうな雰圍氣(ふんゐき)の作品であつた。


 十一番目は長唄の、

 『都風流』

 で、これは作家の久保田萬太郎の作詞になり、女性の花柳安紀月と賛助出演の花柳伊十輔が舞踊した。
 安定した優美な踊りだが、特別な印象に殘るものはなかつた。


 十二番目は常磐津で、

 『松島』

 といふが、その場に筆記用具を持つていかなかつたので、店へ歸つてから感想を書かうとおもつても、その踊りの細部までの記憶が薄れて仕舞つてゐる。
 といふ事は、可もなく不可もなしといふところか。
 女性の花柳芳弘明の舞踊である。


 次で第一部が終る十三番目の清元、

 『神田祭』

 で、頭(かしら)役の花柳芳綱と藝者役の花柳晴久が舞ふ。相方の藝者役の踊りも頑張つてゐるのだが、頭役の踊りはきびきびとしてゐるのに動作の繋ぎはしなやかで、『鶴龜』でも見てゐたので安心して鑑賞に專念できた。


註) 敬稱は略させて戴きました。



     續きをどうぞ

 三、國立文樂劇場で『花弘會』を鑑賞して 第二部
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=74037503&comm_id=4671861

コメント(2)

演目毎に細かく感想されている辺り、
これまたケンタウロスさんらしいですね。

8時間になんなんとする公演。
さぞかし驚かれたことと思います。
通常は、家族や友人知人の演目だけ観て、
楽屋にお花を届け、挨拶して帰ると聞いておりますし。

それゆえ、教室毎に演目を並べて、
時間を見計らえるようにしてあるとか。
私も友人からお招き頂いたことがありましたが、
退屈を予想し遠慮させてもらったことが。
一度位観に行けば良かったと思いました。

バレエの発表会は、姉が習っていたこともあって、
頻繁に観に行っておりました。
ちなみに私は一年でリタイヤしてます。
日本舞踊と違って、小さい教室の単独公演なので、
時間も短く、公演としての構成も確立していて、
有料のプロ公演と同じ感覚で楽しめます。

中々厳しい評価が並んでいますが、
各演目をきっちりご覧になられているゆえですし、
演者の方からすれば、ありがたいことではと思います。

それにしても、お昼を召しあがられないのですか。
私ならお腹が空いて倒れてしまいますわ。
おほほー。

この続き、楽しみに致しております。
らいら さん。

いろいろと御存知なんですね。

私は知らない事ばかりでした。

「通常は、家族や友人知人の演目だけ観て」

だなんて。

さういへば廣間(ロビイ)で御婦人から、

全部見なくてもとは言はれてゐた事を思ひ出しました。

折角だからと欲深い事を考へた、

我が身の淺はかさに恥入るばかりです。

でも、知識欲もさることながら、

舞ふ人の事を考へると最後まで見なくては、

といふ氣持になつてしまふのです。

かくて八時間。

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