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元気な本棚 ほっこりコミュの<外国の児童書> 〜その3〜

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クローバー<外国の児童書> 〜その3〜

 ハート外国の児童文学の紹介は、久しぶりです。よろしくお願いします。
 (その1〜その2もトピックをクリックしていただくと見ることが出来ます。)

 一般書を読むことが続いて、児童書・絵本からしばらくでも離れていると、いつも何かが足りない気がするのです。
 児童書・絵本を読むと、心の垢が落ち、生きる希望が蘇ってくるような気がします。
 人は自分が子どもだったころのことを忘れてはいけない。たとえばロシアの入れ子人形・マトリョーシカのように、普段は外から見えなくても、いつも自分の中にあり、取り出すことが出来るものであったらと思うのです。

コメント(11)

『花になった子どもたち』 ジャネット・テーラー・ライル/作
               市川里美/画  多賀京子/訳
                  福音館書店(2007年)

『グリーン・フィンガー』〜 約束の庭 〜
              ポール・メイ/作  シャーン・ベイリー/絵
               横山和江・訳  さ・え・ら書房(2009年)


 <読書サロン>と<随筆>の欄で、帯広の紫竹ガーデンと紫竹昭葉さんについて、紹介してきましたが、図書館に行って児童書の書架でふと手に取った二冊の本にも、また庭が出てきて、不思議なめぐり合わせのようなものを感じました。

バラ『花になった子どもたち』
 母を亡くした姉妹のオリヴィアとネリーは、父親のおばさんといっしょに住むことになります。その家にはおばさんが年取ったために手入れが出来なくなり、荒れ果ててしまった庭がありました。
 はじめは幼い妹ネリーの行動に戸惑ったおばさんでしたが、わかろうとしていきます。本が大好きな姉のオリヴィアは、昔この家に住んでいたという作家が書いた物語を見つけます。その物語に出てくる庭は、この家の庭らしいのです。庭とのかかわりをとおして、姉妹は次第に心癒され成長していきます。

芽『グリーン・フィンガー』
 文字を読んだり書いたりするのが苦手なケイトは、家族とともにロンドンから田舎に引っ越してきました。教師の無理解や、両親の中がうまくいっていないことなど、悩みを抱えていますが、友達のルイーズとその祖父のウォルターとの出会いから、野菜を育て、荒れ果てた庭を蘇らせていく日々をとおして自分の才能に気づいていきます。

えんぴつ読んでいて、二作とも名作『秘密の花園』が思いだされました。人の心を癒し、再勢へと導いてくれる自然の大きな力を感じさせられ、胸を打たれました。
             
『ぼくがウィリアムと名づけたわけ』リンダ・ケンプトン/作
                   清水奈緒子/訳 佐竹美保/絵
                       文研出版(2004年)


複数本図書館の書架の本の多くは、背表紙を見せて並んでいます。表紙の素敵な絵は見えず、題名をみてさほど興味もおぼえず手に取ってみたら、表紙と挿絵が佐竹美保(下欄のハート印参照)さんで、嬉しい驚きでした。しかもファンタジーらしい。期待に胸をふくらませながら借りて帰りました。

 物語の舞台はイギリスです。女達が助けを求める不気味な夢を見たジャックは、夢の中と同じゆりかごを骨董店で見つけ、出産間近の母に買ってほしいと頼みます。母も引きつけられて買うことに。

 ジャックが、ゆりかごの丸い形をした飾りを回すと、めまいがして、頭がくらくらし、空間と暗やみの中を落ちていきます。気がつくと、そこは知らないどこかの家の部屋の中で、スザンヌという少女と出会います。そこは、1665年のイームという小さな村でした。ペストがイームをおそい、赤ん坊でスザンナの弟のウィリアムもペストに罹ってしまいます。
ジャックは、現在と過去を行ったり来たりしながら、自分に課せられた役目に気づかされていきます。

 史実にもとづいたお話で、2004年に出版されています。ページを繰っていくと、ほとんど読まれていないのではないかと思われるほど新品同然でした。好みをあるのでしょうが、もったいない気もしました。


ハート〜 佐竹美保 〜
 主に児童書の挿絵を担当し、SFやファンタジーの分野で活動。 『魔法使いハウルと火の悪魔』(ダイアナ・ウィン ジョーンズ作)、『魔女の宅急便』(角野栄子作、その3以降を担当)、『守り人シリーズ』(上橋菜穂子、偕成社、2001年〜2018年)など、よく知られた児童文学作品の数々の表紙や挿絵を描かれています。。
 私が読んだ本では、『邪馬台戦記シリーズ』1〜2巻(東郷隆、静山社、2018年〜)、『きつねの橋』1〜2巻(久保田香里・作)、小手鞠るい・著『緒方貞子』などもよかったです。



波『ふしぎをのせたアリエル号』 リチャード・ケネディ/作
                   中川千尋/訳・絵  徳間書店(2001年)


 分厚い本でした。読めるかな?と思いましたが、考えてみれば、長くても面白ければ読めてしまいます。そこで、今になってやっと氣づきました。長くて氣が重くなる本は、面白い本ではないのだということです(もちろん、自分の力量不足で読めない本もありますが)。長編を読んでいて、お話が終わりに近づいてくるといつも、本の世界とお別れするのがさびしく、もっと続いてくれたらいいのにと思いますが、分厚い本だと、それだけ長く本の世界にいられるのが嬉しいです。


 孤独な少女エイミイに本(マザーグース)を読んでもらったおかげで、命を吹き込まれた船長人形キャプテン。一方、つらい出来事が重なって、人形になってしまったエイミイ。二人はついに、帆船アリエル号に乗って冒険の旅へと船出します! 
 福武書店90年刊の改版。世代を超えて読み継がれるファンタジーです。中川千尋さんの挿絵も素晴らしいです。

<著者紹介>
 リチャード・ケネディは、1932年、アメリカのミズーリ州生まれ。その後、オレゴン州ポートランドに移り今に至る。二十歳で物語を書き始め、十数の作品を発表。初の長編「ふしぎをのせたアリエル号」は、世界8カ国語に翻訳され、受賞も含めて高い評価を得ている。


パスワードキャプテンは、エイミイにお話を読んでもらい、愛情を注がれることで、命が吹き込まれ、人間になります。つらい出来事が重なり絶望したエミリイは、人形になってしまいます。何ということでしょう! とても心が痛みました。エミリイでなくても、生きていて心を保ちきれないほどつらいことを経験することは、多くの人にあるのではないでしょうか。
 今度は反対に、キャプテンがエミリイにお話を聞かせることで、命を復活させるのです。何というか、的確に言葉に表わすのは難しいけど、とても心の深いところに着地した感覚がありました。若い頃ならもっと、大きな影響を受けたことでしょう。この宝石箱のような物語を、ぜひお薦めしたいと思いました。


 毎年暮れには不思議と、飛び切り素敵な本と出会えます。今年も本書との出会いをいただけました。コツコツ本を読んできたことを、神様に「これでいいんだよ」と励ましをいただいたいるようです。来年はどんな本との出会いがあるのでしょうか。いつも、ただ本を読んでそのままではなく次に伝えなくては、との思いで本欄を続けてきました。来年もよろしくお願いいたします。良いお年を!

クローバー〜ケイト・ディカミロの作品から〜

山羊『ベアトリスの予言』 ソフィー・ブラッコール (絵)  宮下嶺夫 (訳)
                     評論社(2023年5月)

 本書が、ケイト・ディカミロの作品との初めての出合いでした。昨年の暮れに読んだ、『ふしぎをのせたアリエル号』(リチャード・ケネディ/作)以来の、とびきり素敵な物語でした。

本≪修道院のヤギ小屋にたおれていた少女。「ベアトリス」という自分の名前のほかは、すべての記憶をなくしていました。庶民の読み書き―特に女性の読み書き―が禁じられていた時代に、この少女は文字が書けたり読めたりしました。国王の兵士たちが捜索しているのは、この少女ではないか?……やがてベアトリスは、予言に語られている少女であることがわかってきます。「ある日、ひとりの少女があらわれて、悪しき心を持った王を追放するだろう」という予言です。≫


複数本『ベアトリスの予言』との出会いをきっかけに、この著者の他の作品を続けて読んでいます。次にその中から二冊をご紹介します。

鼠『ねずみの騎士デスペローの物語』 ティモシー・バジル・エリンゲ/絵
                     子安亜弥/訳  ポプラ社(2016年)
 ≪人間のお姫さまに恋をして、ハツカネズミ社会を追放された小さなネズミ、デスペロー。 母親をなくした悲しみをかかえる美しいお姫さま。 地下牢の暗やみでくらし、光にあこがれとにくしみをいだくドブネズミ。 いつか自分がお姫さまになれると信じているめし使いの女の子。 それぞれのかなわぬ想いは、どこへゆくのでしょうか? 愛とゆるし、そして勇気と希望に満たされた、あたたかい物語。2004年ニューベリー賞受賞作。≫

象『ピーターと象と魔術師』 たなかようこ/絵  岩波書店(2009年)
 ≪ピーターに、なぞめいた占い師が言いました。生きているよ、あんたの妹は。象が妹のいる場所へとつれていってくれるよ― そんなこと、あるはずない…でも信じたい。そのときから、バルティーズの町では、ふしぎなできごとがつぎつぎと、重なりあうように起こっていきます。
 もしも、こうだったら?なぜ、そうじゃないのか?そんなことって、ありうるんじゃないのか? ニューベリー賞作家がつむぐ、愛と奇跡の物語。≫


ハートどの本も、愛と勇気と希望を持って困難を乗り越えていくという共通点があります。
 そして、三冊の本に共通することがもう一つあります。それは、動物が出てくるということです。『ベアトリスの予言』では、とびきり個性的なヤギが。『ネズミの騎士デスペローの物語』では、ディスペローが、しっぽを切られてもめげることなく、困難に立ち向かっていきます。そして、『ピーターと像と魔術師』では、象が登場します。


 読んでいて、幾多の邪念も吹き飛ばされ、大切なことだけがくっきり浮かび上がってくる感覚がありました。生きる力とは、愛の大切さとは〜
 この、愛と勇気と希望に満たされた、心あたたまる物語を、子どもたちだけでなく、多くの人にご紹介したいと思いました。
『ピーティ』 ベン・マイケルセン/作  千葉茂樹/訳
               鈴木出版(2010年)
  

🕊生まれながらに脳性まひがあったピーティ。彼の生まれた時代は、まだ脳性麻痺による言語障害が知的障害と誤解されていた時代でした。

 周囲から知的障害と誤解され、人生のほとんどを施設ですごすことになってしまったピーティ。 しかし彼は、過酷な生活の中でも豊かな心を失わず、ひとつひとつの出逢い、目にするもの、耳にするものに、よろこびとおどろきを味わい、自分の人生を生ききります。

 彼を心から理解し、手助けをしてくれる人びとや、親友になったカルビン。でも本当の家族でない彼らとは、いつまでも一緒にいられるわけではありません。
 後半には、トレバーという孤独をかかえた少年とピーティの出逢いがあり、感動のラストをむかえます。

 本書と出会えたことは、友情、家族、障害、医療、常識の中の偏見など、さまざまなことを考えさせられ、目を開くひっかけになりました。かけがえのない命の尊さにも。


*脳性まひとは、多くの場合、妊娠中、もしくは出産直後に、生まれてきた子どもの脳神経になんらかの損傷が生じたことによって、運動機能に障害が起こる症状です。ピーティのようにとても重い場合もありますが、軽い場合もあります。通常、脳性まひが精神に影響をあたえることはありません。(中略)
 ピーティのような子どもは、重い知的障害もあると誤解されていました。そうした誤解は今日もまだつづいていて、脳性まひ者にとっては、それこそが最大の「障害」となっています。(作者あとがきより)

クローバー児童書ですが大人の方にも是非お薦めしたい本です。

〜パトリシア・ライリー・ギフの作品から〜
芽『語りつぐ者』 もりうち すみこ/訳  さ・え・ら書房(2013年)
芽『ホリス・ウッズの絵』 もりうち すみこ/訳  さ・え・ら書房(2004年)


二冊とも何となく重たい内容のような気がして、気になっていたけど後回しになっていた作品でした。
落葉まず、『語りつぐ者』から読み始めましたが、思いのほか読みやすくて引き込まれていきました。

本≪父親の仕事の都合で、叔母にあずけられたエリザベス。そこで、エリザベスは自分そっくりの少女の肖像画にひかれていく。羊皮紙に描かれた少女は、200年以上も前のエリザベスの祖先ズィーだった…。
 身なりはぜんぜんちがうけれど、目鼻立ちがそっくりなふたり。ひとりはアメリカ独立戦争に巻き込まれた18世紀の少女、もうひとりは21世紀の。絵がふたりの少女をひきあわせ、二〇〇年後の語り手を得て、肖像画の少女が鮮やかによみがえる。≫

 独立戦争のさなか、父や母を亡くし、自分も手に大やかどを負いながら、強く生き抜いた一人の少女をとおして、遠い時代の異国の戦争のことを身近に引き寄せて追体験できたような気がしました。
 ただ、めいめいの読者が心に描いた肖像画の少女の絵のイメージがあると思うのですが、表紙の絵が、そのイメージをふくらませるのにかえって妨げにならないだろうか? と引っかかりが残ってしまいました。

落葉次に『ホリス・ウッズの絵』を読みました。

本≪ホリス・ウッズとはひとりの赤ん坊が捨てられた場所、その赤ん坊の名前。絵の才能のある十一歳の少女。里親から里親へたらいまわしにされたホリス・ウッズは、山のようにめんどうをおこす子。家族になろうと申し出たリーガン家からさえ逃げだした。けれど、老いた彫刻家ジョージーとのふたりだけの生活を望み、冬の山荘に隠れ住みながらも、ホリスの心は、みずから去ったリーガン家のスティーブンやおやじさんたちとの夏の日々にもどっていく。その忘れがたい数々の瞬間の意味を、描きためた絵の中に見いだしながら。2003年ニューベリー・オナー賞受賞。≫


 ギフさんは、20年間教師をし、リスのように困難を背負った子どもをふくめ、たくさんの子どもたちと接してきました。
(訳者・あとがきより)
 ギフさんは、かれらの不安や悲しみを理解し勇気づける母親の役割を、作家として担おうとしているのです。彼女は言います。「戸口に立って、『勇気だして。あなたはひとりぼっちじゃないのよ』って手をふる彼らのお母さんになりたいの」


クローバー二冊の本に描かれた少女たちに、大人である私自身も勇気づけられ、力をいただくことができました。

『魔法の泉への道』 リンダ・スー・バーグ/作
           金 利光/訳  あすなろ書房(2011年)


複数本1985年、スーダン南部。内戦で故郷を追われた少年サルヴァ。
 2008年、スーダン南部。家族のための水汲みで、一日が終わってしまう少女ナーヤ。
 物語では、この二人の話が交互に出てきます。安全な土地を求めて、長い過酷な旅を続けるサルヴァ。命をつなぐ水さえも得ることが困難な日々。一方、ナーヤの暮らす村も、水が得られないために、過酷な日々をおくらなければなりませんでした。

 この二人が、どこでどう繋がるのか・・・・・。
 水を得ることが困難な状況で生きていくことが、どれほどのことか。頭でわかっているつもりでも、本当はピンと来ていないのです。本書で、二人の日々を追体験するというかたちで、やっと自分の身に引き寄せて感じることができたように思います。

 この本は、サルヴァ・ドゥットさんの実体験を元に書かれたということです。困難を乗り越え、今、故国の人びとを救う役割を全力で担っておられるサルヴァさんのことを知ることが出来て、本当に良かったです。

クローバー今も世界では難民があふれ、行き場を求めてさまよい、ボートが転覆したりして、多くの人たちが亡くなる悲惨な現実が後を絶ちません。
 若い人たちに、是非出会ってほしい一冊です。

ハート 本書は<よりよい世界をめざして>の欄でも紹介しています。
地球≪鈴木出版の海外児童文学 〜この地球を生きる子どもたち〜≫ との出会い


鈴木出版から刊行されている≪海外児童文学シリーズ≫との出会いがあった。『ピーティ』や、最近読んだ『はばたけ! ザーラ』そして、読み終えたばかりの『イクバルの闘い』もこのシリーズに収められていることに気づいた。どの作品も素晴らしかったので、シリーズの他の作品も読みたいと思い、ネットで調べてメモを取っておいた。

 巻末の、<刊行のことば〜この地球を生きる子どもたちのために〜>を読み、このシリーズに託された編集者の思いを知り、感銘を受けた。
 その一部を、ご紹介したいと思う。
 <現代の子どもたちを取り巻く環境は決して安穏たるものではありません。それでも彼らは、明日に向かって今まさにこの地球を生きていこうとしています。
 そんな子どもたちに必要なのは、自分の根をしっかりと張り、自分の幹を想像力によって天高く伸ばし、命ある喜びを享受できる養分です。その養分こそ読書です。(中略)
 本シリーズによって、子どもたちは人間としての愛を知り、苦しみのときも愛の力を呼び起こし、複雑きわまりない世界に果敢に立ち向かい、生きる力を育んでくれることでしょう。そのとき初めて、この地球が、互いに与えられた人生について、そして命について話し合うための共通の家(ホーム)になり、ひとつの星としての輝きを放つであろうと信じています。>


本『ピーティ』 ベン・マイケルセン/作(ハート元気な本棚=外国の児童書・その3の[6]で紹介)
『はばたけ! ザーラ』 コリーネ・ナラニィ/作(ハート元気な本棚=よりよい世界をめざして?その3の[6]で紹介)
『イクバルの闘い 〜世界一勇気ある少年』 フランチェスコ・ダダモ/作
『シュクラーン ぼくの友だち』 ドリット・オルガット/作
                樋口範子/訳  鈴木出版(2005年)


本鈴木出版の<海外児童文学シリーズ>を、続けて読んでいます。
本書は、イスラエルに暮らす、ユダヤ人少年ガブリエルとアラブ人少年ハミッドの、友情物語です。

 アルゼンチンからイスラエルに移民してきたガブリエル一家。ガブリエルは、同じユダヤ人の子どもたちからさえ、いじめられ、一人も友だちが出来ません。
 その日も数人の子どもたちからいじめられ、ガブリエルはがまんの限界を超え、ガキ大将のオフェルに怪我をさせてしまいます。自身もやり返されて大怪我を負います。
 家に帰れなくてさまよっているうちに、果樹園に入り迷ってしまったガブリエルは、そこでアラブ人の少年ハミッドに出会います。そのことをきっかけに、ハミッドとの友情が育まれていきます。

 イスラエルには、世界各地から、ユダヤ人が移民してくらしていますが、その前からこの地に住んでいたアラブ人やキリスト教徒に人びともくらしています。
 民族間の複雑な問題をかかえた土地では、この物語の二人の少年のように仲良くすることは、とても困難なことなのです。

バラ「シュクラーン」は、アラビア語で「ありがとう」という意味です。以前に紹介した『雨にシュクラン』(こまつあやこ・作 講談社/<日本の児童書>に掲載)で、初めてこの言葉の意味を知りました。美しい響きの言葉です。初めておぼえたアラビア語が、「ありがとう」という意味だったことを、嬉しく思います。
 それから、「テルアビブ」はヘブライ語で「春の丘」という意味だそうです。さまざまな民族が平和にくらせるようにと、つけられた名前だということです。


クローバー若い頃にこのような本に出合うことで、どんなにか世界を視る目が開かれることでしょう。私自身も、遅い出会いでしたが、若者に戻ったように心に清新な息吹が吹き込み、生き返る思いがしました。児童書の素晴らしさをあらためて実感しました。



複数本<鈴木出版の海外児童文学> 〜この地球に生きるこどもたち〜
[その2 ]


 今年もたくさんの貴重な本との出会いがあった。その中でも一番の収穫は、「鈴木出版の海外児童文学」と出会えたことだったかも知れない。

地球海外児童文学というと、アメリカとかヨーロッパの少年少女が描かれたものを読む機会が多かったが、この鈴木出版のシリーズには、アフリカ、中近東、東南アジアの国々の子どもたちを主人公にして描かれているものが多く、目を開かされる思いだった。
 このシリーズと出会えたことで、今までは丸い地球を、一部が欠けた状態で見ていたということに初めて気づかされた。そして、今まで見えていなかった部分は、とても大切な欠くべからざるものであったということに。

 それぞれの民族がかかえている複雑な事情、戦乱、飢えに苦しめられながら、その中で知恵をしぼり、たくましく生き抜いていこうとする子どもたち。読み始める前は、しんどい内容かなと思っていても、最初のページを開くと文字もほどよい大きさで読みやすく、引きこまれてどんどん先へ進めることが出来た。


芽『イヤー・オブ・ノーレイン』 アリス・ミード/作  横手美紀/訳
                     鈴木出版(2005年)
 アフリカ、スーダン南部の小さな村を襲った干ばつと内線のさなかを必死に生きのびようとする子どもたちの姿を描く感動の物語。
 水がないということは、極限の状況だ。この物語では、雨がふらない日がつづいて、すでに3年になる。
 最近この欄で紹介した『魔法の泉への道』(リンダ・スー・バーグ/作 あすなろ書房)も、スーダン南部の物語で、干ばつに苦しむ人びとの姿が描かれている。

ペンこの深刻な干ばつの状況についてはメディアでも報道されるが、漠然としか受けとることが出来ず、スーダンという国についても、ほとんど名前ぐらいしか知らずに来ていたというのが、正直なところである。
 少年たちとともに行動するという追体験をとおして、彼らの血の通った心に触れることが出来るということが、本の素晴らしいところだと思う。是非日本の子どもたちにこのような本に出合ってほしいと願う。

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