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2008年11月05日23:52

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喜びの回路をまわす

 これまでの日記で、茂木さんの本を参考にしながら、脳をナチュラルな仕方で活性化してゆくために大切と思われる幾つかのポイントをまとめてみました……

■『安全地帯を一歩踏み出す勇気』……脳の力がすくすくと発現されてゆくためには、安全で守られているという感覚と不確実な未知のなかへ危険を冒して飛び込んでゆくチャレンジ精神とのバランスが大切。最近の脳科学では“情動というのは、不確実なものに対処するため脳が編み出したシステムである”と考えられるようになってきている……情動が豊かな人ほど大きなチャレンジに挑むことができる。

 安全地帯を一歩踏み出す勇気
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■ 脳内の感覚/入力系の回路と運動/出力系のバランスを取るために、脳内ではダイレクトにつながっていないふたつの領域を、表現(出力)することを通して間接的につなぐ必要がある……とりわけ発達の遅れがちな運動/出力系の働きを強める表現行為を行い……感じているものを何らかの仕方で出力し続け、それを再び感覚系から取り込むことで徐々に精度を高め、そうすることで「わかる」を徐々に「できる」に変えてゆくことの大切さ。

「わかる」を「できる」に変える
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1948552314&owner_id=64170


 そこで今日は、もうひとつ大切なポインとをまとめておきたいと思います。それは脳の創造的な働きに必須の「喜び」と「自主性」についてです。

 ナチュラルで創造的な学習を深めてゆくために必要な第一条件……それはまず学ぶことの喜びを知ることと、学ぶことを通して純粋な喜びの回路をまわしてゆくことにあるとのことです。茂木さんによると、脳というのは「外部からの強制」を最も嫌うとのことですから、何よりもまず他者からの強制を排し、内側から自然に湧き上がってくる主体的な意欲、憧れ、情熱を大切に暖め、それに乗って創造の喜びの回路をどんどんまわしてゆくことが重要です……以下引用はすべて『脳を活かす勉強法』(茂木健一郎)より

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「人間の脳のすばらしいところは、新しく学ぶことに深い喜びを感じるように設計されていることなのです……脳は学ぶことがうれしくてしかたがないのです」

「自分にとっての“うれしいこと”を見つけるのが人生の課題だともいえます。“うれしいこと”が“やるべきこと”と一致したら、もっとうれしい。きっと人間は劇的に成長できます」

「脳の働きの本質は“自発性”です。脳に何かを強制することは、とても難しいことなのです……脳が喜びを感じるためには“強制されたものではない”ことが大事だからです。何をするにしても“自分が選んでいる”という感覚こそが、強化学習には欠かせません」

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 「やる気」というのは、そこに主体的な喜びがあることと切り離せない関係にありますが、それは脳が創造的に駆動されているときに大量に放出されるドーパミンと深くつながり合っているようです。なので脳が適切なかたちでこのドーパミンの回路をまわせるようになってくると、そこには継続的な喜びや、ひらめき、創造的なアイデアなどが湧き上がってきます。ところが、学習プロセスの発端において他者から強制的に学ぶことを強いられてひとは、学ぶことの楽しさ、喜び……すなわち自主的にやる気を起こして、喜びのなかで学ぶことを知らないために、学習の喜びを知らず、学ぶことに行き詰まってしまう可能性が高くなってきます。

 純粋に喜びとして学習を体験するプロセスの最初のきっかけ作りというのはとても大切なので、自然に興味を持てて楽しめるものを扉として入ってゆくことがポイントになってきます。

 そして面白いのは、いったんこの学習する喜びの回路がまわりはじめると、脳はもっと大きなチャレンジに挑み、さらなる負荷をかけることを望むようになってくるというところです。『安全地帯を一歩踏み出す勇気』のところにもあったように、ある種の安定性が、反って不確実なものへの大胆な跳躍をどんどん可能にするように、喜びもまた、徐々によりむづかしい課題に取り組み、苦労しながらそれを突き抜けることで得られるさらに大きな喜びに向けてひとがチャレンジしてゆくことをバックアップするのです。


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 「ここでひとつ注意しなければいけないのは“できることを続けても脳は喜ばない”ということです。ドーパミンは、できると分かっていることを成し遂げても放出されません。できるかどうか分からないことに、一生懸命になってぶつかり、そして苦労の末それを達成したときに分泌されます。“えっ、私ってこんなこともできたの?” と意外性が強ければ強いほど、喜びが大きくなるしくみなのです」

 「苦しければ苦しいほど、その後の喜びは大きく、より強化される。これが脳のメカニズムです。この“苦しい”状況を何とかして突き抜けることは、とても重要なことです」

「脳は負荷をかけて苦しみを与えたあと、それが成功した時に一番喜びを感じるというメカニズムを持っています。そして、その快楽のもととなった行動を再現しようとするのでえす。人間の脳は、ほとんど例外なく、強烈な快楽主義者といえるでしょう」

 

 エピキュリアンであるゾルバを生きるための要素でもあると思うのですが、他者から強制されたのではない、主体的に選んだ苦しみが人の意識を大きく成長させるというグルジェフなどの指摘も、こうした脳の内在する学習プロセスの仕組みを知るにつけ、まさに正見事に的を射ていることがよくわかります。





   
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