君の囁きが僕を殺してくれた
何度となく僕というどうしようもない人間が
何度も何度も死んで少しはまともになってまた一歩 歩みを進められる
やさしく僕の耳元で囁く君の吐息が
僕をやさしく殺してくれていた
とってもやさしく僕は死んで行った
だけどそんな君が今は死んでしまったから
僕はもう君の優しい歌と共に死ぬ僕の亡骸を積み重ねられなくなった
君の優しい殺意がなくなったから
君という優しい鋭利な刃物が今はもうないから
僕はもう死ぬことができない
僕は僕の力で蛹から抜け出なければならなくなった
そう、ぼくが僕自身を殺してこの殻から抜け出さねば
それがこれからの僕にできるだろうか
僕と共に死んで行った亡骸がそこにあるきみの優しい歌をまとった姿で
僕はその亡骸たちの上に横たわり
眠りについた
そして目が醒めて まだ、そこには僕がいて
そして眠りにつき まだ、僕がいて
また眠って そして、やはりまだ僕がそこにいた
その亡骸の上で 私は笑い
その寝床から抜け出して 靴を履いて ズボンを履いて シャツを着て
数歩
外へ出るドアの前まで歩き
勢いよくドアを開け大またに一歩踏み出した
そこには眩しい光が射していて
ちょっとおかしくなった
帰ったらあの亡骸どもは外のゴミ箱に捨てよう
もっと新しい世界の為に
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