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2008年03月25日13:30

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呼び声

僕はあそこにいたのに...

折り重なる光の柱がいくつもある回廊のずっと奥

そう、あのフォールムの像がみえる?

その像の人は何かをその実直な目でずっとその一点をそらさないで見ている

そう、そんな人の服の裾の陰に僕はひっそりと姿を納めている

誰かが言うんだ、できるだけ息もひそめて隠れてでてきちゃダメだって

僕は息が詰まってきた

呼吸が荒くなって 自分でも肩で息をしているのがわかった

僕は一生懸命心の声に向けて聞いたんだ

もう、いいでしょ?

もう、隠れているのは嫌だよ

だって僕ひとりなんだもん

なにか絶望のようなものを感じるんだよ

闇が僕の頬をそのざらついたビロードのような舌で舐めるんだ

誰か知らない 恐い人 あなたに聞いているのになんで今はなにも答えてくれないの?

だってもうまわりはなんの音も聞こえないよ?

風の音も 人々の声も なにも聞こえないのに

僕はみんなから離れていくような気がして恐かった

とても、とてもその恐怖の中にいたらいつの間に

ぼくは何もつかむものを失くしてしまっていた

なにも響かない すべてが逃げていく

すべての波が僕から

叫んでもなにも戻ってこない

全てが吸い取られていくみたいだ

この白い 真っ白な空間に

なんだろう ぼくの影さえ落ちない白い絵の具の中に僕は堕ちたみたいだ
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