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2007年10月17日14:00

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(社会)高学歴ワーキングプア

昨日、書店に立ち寄って『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)という本を買ってきてぱらぱらとめくって読んでみました。これを読むと、最近日本で実行されたいわゆる「大学院重点化政策」というものの正体が何であるかがわかってきたような気がします。

私の理解ではこうです。どんな産業でも盛衰がありますよね。そして産業の盛衰の最大の原因は、顧客の増減です。顧客が増えればその産業は栄えるし、顧客が減少すればその産業は衰退します。これは非常に単純明白なことです。さて、大学という機関もある意味での産業であるといえるでしょう。実際「教育産業」という言葉もありますし、大学が教育産業の一翼を担う機関であるという解釈は十分成立します。

さて、大学が教育産業の一翼を担う機関であるとすると、この産業の顧客は何でありましょうか。それは学生です。ところが、昨今の少子化の傾向もあり、1年という区切りでの学生の絶対数はどんどん減少の一途を辿っています。これは、大学産業にとって、そのビジネスマーケットに「顧客の減少」という決定的な衰退要因が起こっているということです。かといって学生の絶対数の減少はどうしようもなく、ビジネスマーケットの規模の維持のためには、海外から留学生を大量に受け入れるぐらいしか方策は無いかに見えます。

だが、ここで、文部科学省当局や国立大学当局は、一つの秘策を思いついたのです。それは、個々の学生に長期間大学に滞在してもらうという秘策です。学生の絶対数を、1年1年という区切りでとらえれば、学生数の減少はどうしようもない現実です。だが、一人の学生に注目し、その学生が学部4年だけ授業を受けて卒業するのと、M2まで進学してつごう6年大学に滞在するのとを比較すると、後者は、学生数が1.5倍に増えたのと同じようなものとして計量できます。さらに、D3まで進学してつごう9年大学に滞在すれば、学部4年だけ授業を受けて卒業する場合と比較すると学生数が2.25倍に増えたのと同じようなものとして計量できます。

このようにして、いわば顧客の「水増し」をし、大学という産業の衰退からの回避を図った施策がすなわち「大学院重点化政策」の本質的狙いだったのではないでしょうか。
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