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2007年03月06日18:49

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Viniendo... Ahora, usted.

私を闘牛見物に誘ったJ氏が語るところによると、猛牛の突きをかわし切れず、角をまともに腹に食らって死んだある闘牛士の最期の言葉は、以下の通りだったそうである。

El sentimiento de una mujer fue encontrado...

「女の気持ちが分かった・・・」

それを聞いて、私はなるほど、牡牛の角はペニスそのものだよなあと深く納得した。
それゆえに、闘牛は神話の世界の「再現」でもあるのだ。
原始的な官能を呼び覚まし、生命の歓喜と陶酔をもたらす血の饗宴。
私の求める世界がそこにある。
また。
J氏の知っているある闘牛士は、無節操なプレイボーイで、毎日のように修羅場を繰り広げ、捨てた女や関係を持った人妻の夫から狙われながら、闘牛場にて彼らの憎しみに燃えた視線を「昇華」しているのだそうである。
そこで私はニヤッとした。
ダメダメなダメ男がたったひとつの自己表現の場で、うって変わって「聖化」するというシチュエーションは、個人的に心が震える。
プレイボーイは突進する猛牛の角を。
逆上した女が振りかざす包丁に。
ブチ切れた夫が振り下ろすナイフに。
見立てて、常にこう呟くのだそうだ。

Viniendo... Ahora, usted.

「おいで・・・さあ、おまえ」

そうして、紙一重で交わし、今日も生死の境目から生き延びる。
それを見て、女たちと夫たちは毒気を抜かれて、怒りが醒め、プレイボーイを許してしまうのだと。
そしてまた繰り返される無節操な日々。
私は多分、プレイボーイの心情が理解出来る。
いつの日か。
女や夫に刺し殺される日まで。
猛牛に突き殺される日まで。
ペニスと剣を振るって、自分自身を生き抜きたいのだと。
残念ながら私には無節操な生き方は出来ないけれども、だからこそ、こういう人間には憧れてしまう。
向こうに行ったら。
J氏はかのプレイボーイの出場に合わせて連れて行ってくれるという。
そしたら。
私は双眼鏡で、プレイボーイの口元を凝視しながら。
例のセリフを呟く瞬間を目に焼きつけたい。
その瞬間に、原始的な官能の極致が詰まっているはずだからだ。
私の求める世界が・・・ほんとうにそこにある。
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