台湾のチェン・ユーシュン監督が1995年に発表した長編デビュー作で、誘拐事件に巻き込まれた少年と誘拐犯一家の不思議な交流をユーモラスにつづった人間ドラマ。台北で暮らす夢見がちな中学生ツーチャンは、受験を控えたある日、誘拐事件に遭遇し被害者の少年と一緒に連れ去られてしまう。主犯格の男は2人を手下の優しい男アケンに預けて身代金を受け取りに行くが、その途中で交通事故に遭い死んでしまう。困り果てたアケンは、自分の家族が暮らす南部の漁村へ2人を連れて行くことに。台北では誘拐報道がヒートアップする中、不意に訪れた夏休みのような不思議な時間を過ごすツーチャンだったが……。第48回ロカルノ国際映画祭で青豹賞、第32回金馬奨で最優秀脚本賞・最優秀助演女優賞を受賞した。2019年8月、新宿K's cinemaほかにてデジタルリストア版が上映。(映画.comより)
<2025年11月16日 劇場鑑賞>
あらすじは上にある通りで、個人的には、受験を控えた少年が誘拐に巻き込まれる、とか、誘拐の主犯が交通事故で急に死ぬ、とか、現実的ではないと思うのだけれど、しかし、台湾における過酷な学歴社会や貧富の差(都会と田舎の対比)などをユーモラスに描いて出色でした。
台湾も学歴社会なのですね。中学生のツーチャンは受験生。来る日も来る日も受験勉強なのですが、イマイチ身が入らず、成績も芳しくない。時々夢みたいな世界を想像してはボーっとしている。すると、ある日、お金持ちの少年の誘拐が起きた現場に居合わせたことで、巻き込まれて自分も連れて行かれてしまいました。でも、身代金を受け取りに行った主犯の男が、途中で交通事故に遭いあっけなく死んでしまうのです。命令を待つだけだった手下は途方に暮れ、自分の実家へと二人を連れて行きます。これが超田舎。住民はみんな家族みたいだし、少年たちも「まぁ食べなさい」と普通に仲間に入ってしまいます。今まで味わったことのない緩やかな時間。それなりに順応してゆくツーチャン。一方、彼が元々住んでいた都会では、誘拐報道がヒートアップ。と言っても、少年の無事を願うのではなく、皆が「受験に間に合うのか」「無事に受験できるのか」「こういう場合、試験の延期を求めることはできるのか」など、少年そっちのけで受験の話ばっかり。これには苦笑しました。みんな、病気だな(笑)。
犯人(の手下)には妹がいて、ツーチャンよりは少し年上なんだけど、いろいろお話するうちに好意を抱いたり。なんだかんだと緩やかな人生を堪能するのですが、そもそも誘拐ですから、当然そのうち見つかります。帰ってゆくところは受験社会の都会しかないのです。仕方がないですね。古い映画なんで、もう書いてしまうと、犯人は捕まるのですが、少年たちが「僕らを助けてくれた」と証言するので、罪には問われませんでした。よかった、よかった。少年たちも、本心だったのでしょうね。
ほんわかしているのですが、何気にリアルな映画でした。
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