混声合唱団の練習前に、指揮者に「昨日の練習はバスが2人、テナーが3人で、あんまりでした」と話した。この指揮者はソプラノの声楽家で、OEK合唱団の地元のサブ指導者でもある。昨日の練習にも来ていた。
「昨夜、帰ってから事務局にメールを出しました」と、少し愚痴っぽく話すと、「そう、みんなそう思ってるよ。言わないだけ」と言った。そして首に水平に腕を当てて、ここまで出かかっている、というような仕草をする。
「歌えない人が来ないんだから」と自分が言うと、「そうなのよ。本当に……」と、そこから彼女の話が止まらなくなった。
この人はもともと話好きな方だが、やはりOEK合唱団について、かなり鬱憤がたまっていたのだろう。普段、この混声合唱団でOEKの話をしたことはない。それだけに、こちらが少し口にしただけで、これだけ話が出てきたのは意外だった。
この混声合唱団からは、自分を含めて5人が昨日のOEK合唱団の練習に参加している。その5人が練習前に早く来ていたので、自然に昨日の練習の話になった。
「ソプラノのあの声がね」と指揮者が言って、さらに話が広がった。練習に来ない人がいることも問題だが、来てもアンサンブルに合わない声で歌う人がいる。それもまた問題だ、という話である。
「でも、事務局もたいへんだしね。手一杯で」
彼女がそう言って、そこで話は収まった。
もちろん、「みんなそう思っている」というのが、本当に全員の意見なのかは分からない。ただ、少なくとも自分だけが不満を持っているわけではないことは分かった。
問題は、みんなが思っていても、誰も言わないことなのかもしれない。言わなければ表面上は何も起こらない。しかし、現場で歌っている人間には、少しずつ鬱憤がたまっていく。まして指導する側なら、なおさらだろう。「自分の合唱団なら、こんなことにはならない」という思いも、ひょっとするとあるのかもしれない。
メールを書いた時の興奮は話して少し収まった。
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