将棋日本シリーズJTプロ公式戦は、プロ棋士12人によるトーナメントである。全国各地で公開対局が行われる。出場資格は、前年のJT杯優勝者、タイトル保持者、そして前年の賞金・対局料ランキング上位者である。
現在、将棋のタイトルは8つあるが、藤井聡太がそのうち6つを持っている。この寡占状態によってタイトル保持者の人数は少なくなり、その分、賞金・対局料ランキングから出場する棋士の枠が広がる。
昨日、熊本でJT杯の2回戦が行われた。対戦は藤井聡太六冠(前年のJT杯優勝者)と八代弥八段である。1局目は104手で千日手で指し直しとなった。指し直し局は108手で、今度は後手の八代八段が勝った。
八代は32歳。18歳でプロ四段になった棋士だが、順位戦では最下級のC級2組にいる。昇級はできないまま、勝ち星を積み重ねて八段まで昇段した。八代は2016年度の朝日杯将棋オープン戦で優勝しているが、その後タイトルを獲得していない。将棋ファンの間でも、それほど知られた棋士ではない。2025年度の成績も25勝13敗である。
なぜ八代がJT杯に出場できたのかを調べてみた。理由は、前年の賞金・対局料ランキングで11位、獲得額は約1400万円だったからのようだ。タイトルを一つも持っていない棋士としては、かなり上位である。
さらに調べると、八代は昨年度の竜王戦(読売新聞)で1組ランキング戦に優勝している。1組の優勝賞金は470万円。これに決勝トーナメントの対局料なども加わる。これが大きかったようだ。他にも王位戦(中日新聞)では挑戦者決定リーグに入っている。一つの棋戦でたまたま大金を稼いだのではない。タイトル戦に近いところまで進んだ棋戦がいくつかあり、その積み重ねが賞金・対局料ランキング上位につながったようだ。
その八代が昨日、熊本の公開対局で藤井聡太と対戦した。過去の対戦成績は藤井の4勝0敗。八代からすれば、これまで一度も勝ったことのない相手である。それが千日手になり、指し直しとなった2局目で、今度は八代が108手で勝った。しかも内容も、中盤で逆転すると、そのまま押し切ったものだ。
タイトルを持っているわけでもない。順位戦で上位クラスにいるわけでもない。それでも、賞金・対局料ランキングでは11位に入り出場権利を得た。そして昨日、これまで一度も勝てなかった藤井聡太に、公開対局で勝った。
面白い。
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