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2026年08月30日08:20

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発声(8019)

10年前の暮れ、忘年会の席でのことだった。合唱団の仲間が「最近、声楽を習い始めた」と言うのを聞き、「それなら自分も」と、年明けに金魚の糞よろしくレッスンにくっついて行った。

「今日はお試しでもいいですよ」と言われたが、「いえ、習います」とその場で即決。それ以来、平均して週2回のペースでレッスンに通い続けている。

習い始めてちょうど5月、所属する「なにわコラリアーズ」の定期演奏会でドイツ語のステージがあった。そこでドイツ語の発音と発声を重点的に診てもらうことにした。動機はシンプル、「合唱がもっとうまくなりたい」からだ。

周囲からは「男声なのに、ソプラノの先生に習うの?」という声も聞かれた。ソロとして響く声を追求するなら男声の先生がいいのかもしれない。しかし、自分の目的はあくまで合唱の向上。身近に習える男声の先生がいなかったこともあり、そこには特にこだわらなかった。

レッスンの最初の1年間は、前半の時間を使ってコールユーブンゲンとコンコーネを徹底的にこなした。一通り終えてからは曲を中心としたレッスンに移行。1時間の枠だったが、毎回20分ほど延長するのがお決まりだった。準備不足のままレッスンに行くことはなかったし、難しい箇所はその場で何度も反復するため、先生から叱られたりきつい言葉で指摘されたりすることはなかった。

3年目にカウンターテナーの後輩が入門してきた。彼から「本番が少ないからコンクールに出ましょう」と誘われた。実は習い始めてすぐの頃から、師匠からも「コンクールに出たらどう?」と勧められていたのだが、「合唱のステージで忙しいですし、別にいいです」とずっと断っていたのだ。しかし、後輩の誘いをきっかけに、それからはコンクールにも挑戦し続けることになった。

現在休団している合唱団の指揮者も、プロの声楽家(バス)である。しかし、彼と自分の師匠とでは発声のスタイルが大きく異なる。簡単に言えば師匠は日本の声楽界で主流とされるオーソドックスで正統派のアプローチ。一方、彼の発声はまた違った独特のスタイルだ。どちらが良い・悪いという優劣の話ではない。ただ、彼のような発声を自分の身体に落とし込むのは相当にハードルが高いと感じるのだ。

実際、合唱団の練習があった翌日に声楽のレッスンが入ると、まずは「合唱でついた癖を修正する」作業から始まるのが常だった。

もちろん、人によっては彼の発声法を絶賛する人もいるだろう。だが、聴いて「素晴らしい」と感じることと、自分自身が同じように発声できることとは別問題だ。彼のもとで個人レッスンを受ければ話は別かもしれないが、週1回の合唱団の発声練習程度で身につくようなものではない。

彼の合唱指導には「なるほど」と納得する部分もある。しかし、発声に関する指摘は基本的に軽く流している。アンサンブル(全体の調和)よりも個々の発声に重点を置く指導のため、練習が進むにつれてまるでオペラの合唱のように個々が声を張り上げ、「いい声合戦」のようになってしまうからだ。

さて4日間休んでのども回復した。また来週から仕切り直しだな。



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