mixiユーザー(id:15337934)

2026年08月15日08:55

33 view

「沈黙の墓地」を見る(7989)

Netflixで「沈黙の墓地」を見ている。原題は「Mezarlık(メザルルク)」で、トルコ語で「墓地」を意味する。現在、第1(4話)、第2シーズン(8話)まで配信されており、第3シーズンも8/26から配信される。

女性に対する犯罪を専門に扱う特別捜査班が新設され、女性警部がそのトップになる。部下は4人。家庭内暴力、女性へのセクハラや暴行、さらに女性の社会進出に対する男性の反発や、それが殺意にまで発展する事件などを扱っている。

テーマそのものは、欧米の犯罪ドラマや社会派ドラマでも珍しくない。しかし、これがトルコで制作されたドラマだというところに興味を引かれる。

イスラム社会における女性の地位は、キリスト教社会や、日本や中国,韓国のような仏教・儒教文化圏とは歴史的にも文化的にも異なる。もちろん、イスラム社会といっても地域によって宗教との関わり方には濃淡があり、一括りにはできない。トルコもまた、イスラム教徒が多数を占めながら、世俗主義の伝統を持つ独特の社会である。

だからこそ、このドラマを見ていると、単に「イスラム社会でも女性問題がある」という話ではなく、伝統的な家族観や男性中心の社会と、女性の社会進出や権利意識との衝突が、トルコ社会の中でどのように起きているのかが見えてくる。

しかも、女性に対する犯罪を扱う捜査班のトップが女性警部である。女性が単に犯罪の被害者として描かれるのではなく、警察組織の中で権限を持ち、自ら事件を捜査し、女性を取り巻く社会そのものに向き合っていく。この設定にも、単なる刑事ドラマとは違う意図が感じられる。

同じテーマのドラマを日本で作ったらどうだろう、とも考える。日本でもDVや性暴力、セクハラ、女性差別を扱った作品はある。しかし、事件を起こした個人の問題として処理してしまい、その背景にある社会の構造や男性側の意識まで深く掘り下げない作品も少なくないと思う。

その点、このドラマは犯罪捜査という形を借りながら、「なぜ女性が被害に遭うのか」「なぜ男性は女性の社会進出に反発するのか」というところまで踏み込もうとしている。そこが骨太なのである。

もう一つ驚くのは、1話が90分を超えることだ。中には1時間半どころか、1時間40分、2時間近い回もある。日本のテレビドラマなら映画並みの長さである。

トルコ語の会話を聞きながら字幕を追うのは、なかなかとっつきにくい。それでも、事件だけを次々に処理していくのではなく、登場人物の背景や社会の問題まで描こうとしているので、長さをあまり苦にせず見ることができる。

「墓地」という原題も考えさせられる。そこに眠っているのは、単に事件の犠牲者だけではない。社会の中で長い間、声を上げることができずに埋もれてきた女性たちの存在そのものを、この「墓地」という言葉が象徴しているようにも思える。

トルコで、こうしたテーマを正面から扱ったドラマが制作され、それがNetflixを通じて世界に配信されている。イスラム文化圏だから珍しい、という単純な話ではない。自分たちの社会の中にある矛盾を、自分たち自身が娯楽作品の形で掘り下げていることが興味深いのである。

字幕を追うのに少々疲れるが、これは一興に値するドラマだと思う。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年08月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

最近の日記

もっと見る