練習録音を聴いて自分が書いたのは、発声のことではない。問題にしたのは、音程である。
バスの前にはピアノがあり、その音を基準に歌っている。それにもかかわらず、ピアノより低いピッチ、低い響きで歌っている。まず考えるべきなのは、その事実だ。
他のパートの音が下がっているとか、周囲に原因を求める前に、自分の音が基準どおりだったのかを確認することが先である。それは合唱ではごく基本的な姿勢だ。
「自分の耳は正しく、細かな音まで聴き取れている」と言うのであれば、今度はその音を声として再現できていないことになる。耳で認識した音と実際に出ている音が一致していないということであり、その原因は発声や息の支えなど、さまざまな要素が考えられる。
もちろん、合唱全体の音程や響きについては、指揮者の指導や練習方法にも責任がある。しかし、それと自分の音程を客観的に見直すことは別問題である。まずは自分の歌を冷静に振り返ることが大切だ。少なくとも、自分が所属する合唱団では、練習録音を聴いて他人を一方的に批判するような人はいない。改善点を指摘し合うことと、他人を責めることは別である。
もし常に厳しい相互批評を前提とした活動を望むのであれば、同じ考えを持つ仲間と新たな合唱団を立ち上げるという選択肢もあるだろう。それも一つの考え方だが、現在の合唱団の価値観とは異なるというだけのことである。
ログインしてコメントを確認・投稿する