しょうもない話である。
妻が夏物を整理していると、ピンクのシャツが出てきた。
「これってまだ着れるかな」
「いいんじゃない」
そんなこと聞かれても、こちらには判断がつかない。
アイロンをかけながら妻が言う。
「こういう服って肩パッドがあるのよね。ほら、外したらあなた着れるかも」
外して広げると、さっそく無理やり着せてくる。
「こっち来てよ。ほら、肩幅ちょうどやわ」
「ボタン逆やろ。しかも六分袖やし」
「なーん、羽織るなら十分。曲げればいいし。でも丈は短いかな」
試着終了。還暦を過ぎて妻のピンクのシャツを試着する日が来るとは思わなかったが、妻は案外本気だったようである。
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