将棋の話である。
第39期竜王戦第4組ランキング戦準々決勝、飯島栄治八段対渡辺大夢六段戦である。飯島八段(46歳)、渡辺六段(38歳)は、ともに通算勝率5割5分前後。棋戦優勝やタイトル戦の常連というタイプではないが、実力のある中堅棋士である。
将棋は先手の飯島八段が、相掛かりからポンと4五桂と跳ね、端歩を突き、飛車先交換へ進む。後手の2三銀(75分の長考)に対し、飯島八段は同飛車成り(8分)。もちろん相手の長考中にも読んではいるのだろうが、それでも飯島八段の事前研究の範囲だったのではと思わせるテンポである。
その後は歩で攻めをつなぎ、そのまま自玉にほとんど危険が迫らないまま、107手で押し切った。特に悪手や見落としがあったわけではない。AIの評価値もこの飛車切りの段階で先手53%程度で、数字の上ではほぼ互角である。しかし実戦感覚では、終始飯島八段が主導権を握っていたように見えた。
結局、最後まで飯島八段の研究範囲だったのだろうか。これほどスマートで、流れるように進行する対局はめったに見ない。他のプロ棋士がどう評価するのか、ぜひ聞いて みたいものである。
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