新聞のTV欄を見ていた妻が言う。
「世界不思議発見だって」
「無くなったやろ」
「特番みたい。エジプト」
「またエジプトか。まあええけど、エジプトって昔の話しかないんやろ」
「ピラミッドとかね」
「ほや。あの時代で歴史は止まっとるんやわ。ギリシャと一緒やな」
テレビを見ながらそんなことを言った。
ギリシャが出てくるのは古代である。アテネだのスパルタだの、民主政だの哲学だの。そこから急に場面が飛んで、19世紀、オスマントルコからの独立になる。その間、およそ2000年。教科書の上ではほとんど何も起きていないように見える。まるで古代から突然タイムスリップしてきたような感じだ。
エジプトも似たようなもので、ピラミッドだのツタンカーメンだのと、ひたすら何千年も昔の話ばかり出てくる。その後のエジプトがどうなったのかはほとんど記憶にない。
だからテレビでエジプト特集を見ると、いつも思う。ああ、またあの時代の話か、と。本当はその後も長い歴史が続いているはずなのだが、どういうわけか、あの国の時間はピラミッドのあたりで一度止まっているように見える。
歴史というものは本当は止まらないはずだ。カール・マルクスの経済学をかじった身としては、どうもそのあたりが引っかかるのである。
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