31日、夕食に蕎麦を食べたあと、バイクを漕ぎながら歌った。体を動かし、息を回し、声を出す。年の終わりとしては悪くない始まりだ。
2時間ほどしてから、娘に頼まれていた紅白歌合戦の録画を確認する。テレビ横に取り付けた小さな手製アンテナでは視聴する分には問題ないが、HDに保存すると映像がカクカクする。後半を見ながら、ちゃんと録れているかを確かめる年越しになった。
そのあと、また「カタログの歌」(ドン・ジョバンニ)の歌詞研究に戻る。一通り終わったのは、年をまたいだ1時過ぎだった。
「カタログの歌」では、ドン・ジョバンニの女性遍歴が畳みかけるように歌われる。その中でドイツは「アルマーニャ」と呼ばれている。これは何だろう、と調べ始めた。AIに聞くと、ゲルマンから変化した呼称だという。
イタリア語ではGを発音しないのか、と重ねて聞くと、南ドイツから北イタリアにいたゲルマン人、アルマン族を指す言葉だと返ってきた。これは聞いたことがない。ではゴート族とは違うのか、とさらに質問すると、今度は民族移動の話から、モーツァルトがこの言葉を使った意味まで丁寧に説明してきた。
面白くて、気がつけば3時間没頭していた。ようやく曲全体の歌詞が頭に入ったが、早口言葉の連続は難しい。とりあえず、3月の門下生発表会(試演会)では楽譜を見ながら歌う。10月の本番では暗譜する予定だ。
地名といえば、以前フィリピン経済について論文を書いたとき、「フォルモーサ」という言葉が出てきた。調べると台湾のことだった。スペイン人がそう呼んだ名が、そのまま残っているのだという。地名には、名付けた側の視線がそのまま封じ込められている。アルマーニャも、フォルモーサも、きっと同じだ。こうした言葉は、まだいくらでも転がっている気がする。
アビは元気とは言えないが、まだ頑張っている。新年の始まりは、賑やかさよりも静寂の中で、ゆっくりと進んでいる。
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