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2025年03月18日21:37
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TAAF2025長編コンペ『ボートインザガーデン』
『ボートインザガーデン』ジャン=フランソワ・ラギオニ、ルクセンブルク&フランス、2024、1:15
フランソワという名の少年が主人公。舞台は1950年代のフランス、セーヌの支流マルヌ川のほとり。両親との暮らし。優しい母と育ての父、実の父は遠くにいて、時折りフランソワを呼んで生活を共にする。
夫唱婦随で仲睦まじい両親はある日、塀に囲まれた小さな庭でボート造りを始め、何年もかけて造り進める。
ラギオニの自伝的物語。豊かな作品。
ファーストシーンから魅せられる。3DCGだが優しいタッチ。背景に色鉛筆を使っているのか柔らかな色調の世界が広がる。背景と等質で繊細な線で描かれる人物。全編を彩る音楽の美しさ。
穏やかな下にどこか不穏を隠して、表面は何事もないかのように進む。
本の万引き、制作中のボートの過失出火、仲良かった父とおじの突然の喧嘩。GFと示し合わせた秘密のキャンプで川を流れてくる死体。空想の船の墓場の海中からは巨大な蛸が触手を伸ばし、船首像の女神を海底に引き込む。
ああ、ラギオニだな、と思う。静けさと不穏。昔から変わらない。敬愛してやまない。
物語は一家の暮らしと、実在の世界一周した船スローカム号の航海を挟みながら進む。航海の波と船の描写が素晴らしく美しい。
『大西洋横断』『ある日突然爆弾が』『お嬢さんとチェロ弾き』など、海と船が好きなラギオニ作品全部入りが嬉しい。
御年86歳の巨匠の自伝的全部入り作品に、宮��駿の同趣向の『君たちはどう生きるか』との共通性を感じる。現役で年齢を重ねた巨匠ならではの感慨がそこにあるのだろう。
一家が乗り換える車がシトロエン2CVなのももう！
とにかく、観ている間じゅう幸せでならない。観られて本当に良かった。この作品をコンペに選んでくれてありがとう。
アニメーションというより先にフランス映画。
地味で、日本での一般公開はされないだろう。
それよりも、前作『浜辺のルイーズ』などと合わせ作品集を出してほしい。BOXならば更にいい。
80歳を越えた巨匠は今もお元気で、昨年のアヌシーではサイン会も行われたという。健在ぶりが嬉しい。
フランソワという名の少年が主人公。舞台は1950年代のフランス、セーヌの支流マルヌ川のほとり。両親との暮らし。優しい母と育ての父、実の父は遠くにいて、時折りフランソワを呼んで生活を共にする。
夫唱婦随で仲睦まじい両親はある日、塀に囲まれた小さな庭でボート造りを始め、何年もかけて造り進める。
ラギオニの自伝的物語。豊かな作品。
ファーストシーンから魅せられる。3DCGだが優しいタッチ。背景に色鉛筆を使っているのか柔らかな色調の世界が広がる。背景と等質で繊細な線で描かれる人物。全編を彩る音楽の美しさ。
穏やかな下にどこか不穏を隠して、表面は何事もないかのように進む。
本の万引き、制作中のボートの過失出火、仲良かった父とおじの突然の喧嘩。GFと示し合わせた秘密のキャンプで川を流れてくる死体。空想の船の墓場の海中からは巨大な蛸が触手を伸ばし、船首像の女神を海底に引き込む。
ああ、ラギオニだな、と思う。静けさと不穏。昔から変わらない。敬愛してやまない。
物語は一家の暮らしと、実在の世界一周した船スローカム号の航海を挟みながら進む。航海の波と船の描写が素晴らしく美しい。
『大西洋横断』『ある日突然爆弾が』『お嬢さんとチェロ弾き』など、海と船が好きなラギオニ作品全部入りが嬉しい。
御年86歳の巨匠の自伝的全部入り作品に、宮��駿の同趣向の『君たちはどう生きるか』との共通性を感じる。現役で年齢を重ねた巨匠ならではの感慨がそこにあるのだろう。
一家が乗り換える車がシトロエン2CVなのももう！
とにかく、観ている間じゅう幸せでならない。観られて本当に良かった。この作品をコンペに選んでくれてありがとう。
アニメーションというより先にフランス映画。
地味で、日本での一般公開はされないだろう。
それよりも、前作『浜辺のルイーズ』などと合わせ作品集を出してほしい。BOXならば更にいい。
80歳を越えた巨匠は今もお元気で、昨年のアヌシーではサイン会も行われたという。健在ぶりが嬉しい。
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