『ペリカンブルー』ラースロー・チャーキ、ハンガリー、2023、1:20
自由化がなった1990年代のハンガリー。旅行も可能になったが庶民の手の届く値段ではなかった。外の世界に憧れる3人の青年は化学の知識を活かして旅券の偽造に成功する。漂白剤ドメストで旅券のインクを消して書き換えるのだ。題名のペリカンブルーは漂白剤で消すことが出来るカーボンインクの名。
自由を謳歌した彼らは多くの客に偽造旅券を提供し、大勢に偽造の方法を広めるが、やがて1人が逮捕されたのを切っ掛けに偽造から手を引く。
犯罪映画ではあるが、彼らのその後の人生も示して青春グラフィティの趣きがあり、後味はいい。彼らの自由への憧れがベースにあり、知識を元に試行錯誤し、失敗して旅券が溶けてしまったりなどする姿に好感が持てる。
輪郭線ありの2D絵と平面的な背景がマッチ。
時々再現フィルム的な実写やカットアウトが混じるが、最初は実写で撮り始めたという名残りらしく、全体のアクセントになっている。
サスペンスシーンのモンタージュなども上手い。
途中で、現在のドメストの成分では再現できません的な注意が入るのが妙に可笑しい。
ログインしてコメントを確認・投稿する