2月23日(日祝)。三日間の吉祥寺国際アニメーション映画祭2025も最終日。
この日は14:30開場、15:10からノミネート作品上映と17:00からの表彰式。
ノミネート作品は15本。海外からの出品作もある。全体に若々しい雰囲気で、若手の登竜門な趣き。先日の毎日映画コンクールで大藤賞を受けた『私は、私と、私が、私を、』(伊藤里菜監督)もある。既に常連となっている作家もいるそうだ。
私は孤独が身に沁みる『孤(ひとり)』が心に残った。
上映後に審査結果発表。司会は開会と同じ東ゆうか氏。
審査委員長は竹熊健太郎氏、審査委員にアニメーション史研究家・津堅信之、アニメーション監督・青木純、白石慶子、中村誠、森本晃司の各氏。
これに審査参加スタジオとして中央線ゆかりの、スタジオ4℃、Coamix Inc. プロダクションI.G 三鷹の森ジブリ美術館、スタジオDEENが加わる。
以下、発表順に。詳しくは公式サイトを。
・スタジオDEEN賞=『The Island』そら監督、
副賞に原画集6冊。作者はこの日の為に札幌から来場、これが初のアニメ作品とのこと。
・ジブリ美術館賞=『ブルースのステップ』櫻井嘉那子監督、
副賞に日時フリーのジブリ美術館招待券。祖母との思い出を作品化。
・プロダクションI.G賞=『ブルースのステップ』
副賞にI.G手提げ袋入り『攻殻機動隊』グッズ集。
・コアミックス賞=『The Island』そら監督、
副賞に袋いっぱいのグッズ集。魅力あるキャラクターで選んだとのこと。
・スタジオ4℃賞=『私は、私と、私が、私を、』伊藤里菜監督、
副賞は後日用意で中は開けてのお楽しみだそう。作者体調不良で欠席、通学路の吉祥寺で賞を貰えて嬉しいとのメッセージが若見ありささんから代読される。
・審査委員特別賞=『孤(ひとり)』ajisa監督、『よだか』王 俊捷監督
副賞は商品券1万円。『よだか』の作者にはプレゼンターの森本監督の色紙も。
・ストップモーションアニメーション賞=該当作なし、
・ギャグアニメ賞=該当作なし、
・優秀賞=『ヨビとアマリ』比留間未櫻監督、
トロフィーと副賞に商品券1万円。生きていて避けて通れない有用性との関りを描いているとのこと。
・グランプリ=『私は、私と、私が、私を、』伊藤里菜監督、
ここで特別ゲストの湯浅政明監督登場、発表の順が前後したり、タイトルがあやふやでカンペが出たりと自由な雰囲気。和やかな笑いに包まれる。トロフィーと副賞に商品券。
湯浅監督は来年から参加したいと意欲を語る。
この後、壇上に並んで全員で講評。
今回は90作の応募があり、年々レベルアップしているとのこと。
ノミネートの1作ずつを丁寧に講評。各企業賞についても代表者が贈賞理由を説明。
整形を繰り返す女性を描いたグランプリ作については、カフカ的、女性の内面をシュールに描いて完成度が高いと評価。最近の学生作品は内省的なものが多いが、この作品は同じ傾向でも立体的に見えると。
湯浅監督は、該当作なしと言わずにあげればいい、もっといい賞品をあげましょうと自由な発言。
全体に作家に寄り添った親身で具体的な講評で、聞いていてとても好感を持った。
短編『バンビ・ミーツ・ゴジラ』を例に挙げながらギャグアニメが応募の狙い目、技術がなくてもアイディアで笑わせられると有効なアドバイスも。
各企業の特色ある副賞もいいし、ささやかな商品券もいい。
派手な演出も肩ひじ張った段取りもない温かい表彰式だった。吉祥寺らしいというか、本当に我が街の映画祭な感じ。駅周辺にもポスターなどの掲示があった。
式の写真は公式サイトから拝借。東京国際映画祭のように客席からフォトセッションの時間もとってもらえると嬉しいが。
連携企画として、近くの吉祥寺図書館では前年度の受賞作のデジタルサイネージ上映、ギャラリーゼノンでは『孤独のグルメ』『ワカコ酒』の特別展示会もあったそうだ。
遠方から出かけた身としては映画祭自体に各日もう1つくらい上映orトークのプログラムがあってもいいかとは思うが心に残る映画祭だった。頑張って参加して良かった。
翌日の24日には同じ武蔵野公会堂で、スタジオDEENの50周年を記念した「アニマン祭」も開催されたそうだ。吉祥寺、元気。
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