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2024年05月24日10:47

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八王子市夢美術館の版画展,とても楽しみです(◍•ᴗ•◍)

 実に興味深い展覧会ですね。とても楽しみです(◍•ᴗ•◍)

 僕は色々な美術展に足を運んでおりますが,そうした中で気付かされたのは「美術作品の姿や自らの抱いた感想を記憶するにも能力が必要である」ということです。能力豊かな人々は短時間の鑑賞で作品の姿や感じ取ったことを心に刻んでしまうのに対し,僕のような能力の無い者にとってそれは非常に困難です。後になってから「あれ,たしかこの名前の作品は何処かで鑑賞した覚えがあるが,一体どんな作品だったかなぁ」「この作品は覚えている。大変な衝撃を受けたものだが,具体的にはどんなことを感じたのだったっけ」などといった感じで,要は記憶に定着しないのです(・~・´) そういえば僕は高校時代には大変な劣等生で定期試験の前にはいつも非常に暗澹たる気分に陥ったものですが,授業を受けているのにいざ試験になると全然点を取れないのも「学んだはずの事柄が記憶に定着していなかったから」に他なりません。どうやら僕の能力の低さは美術に限ったことではないようですね( ´・ω・)
 そんな僕にとって何よりも有り難いのは,作品の写真撮影やSNS投稿の可能な展覧会です。作品を観て自分なりの感想を書き記すことで心に思ったことを言語化すると記憶にも定着し易くなるし,何より後日それらを観ることで復習にもなります。僕は撮影・投稿可能な展覧会では作者・主催者各位に深い感謝の念を抱きながら積極的にそれらを行っておりますが,これは「優れた作品をより多くの人々に知って欲しい」という願いとともに「記録を付けて鑑賞眼を養いながら優れた作品についてしっかりと頭に刻み込み,かつ必要に応じて復習したい」という思いもあって行っていることです。

 では,作品の撮影が出来ない展覧会ではどうしているか。僕はそうした展覧会では図録を購入します。というより,以前は図録を購入することばかりでした。ほんの数年前の僕が美術に関心を持ち始めた頃まで,展覧会というのは撮影禁止なのが当然でした。最近は作品の撮影やSNS投稿を許している展覧会が非常に多くなり,中には東京・六本木の森美術館のようにそれらを奨励している施設すら存在しますね。僕などは撮影可と聞いても「え,撮影して良いの(。´・ω・)?」などと訝しむような場合も珍しくありません。そうした図録には専門家による解説とともに作品の特徴を見事に捉えた極めて精緻な作品写真が掲載されていて,極端なことを言えばそちらの写真を凝視し解説を精読すれば下手な鑑賞よりも勉強になることすらあるように感じたりも致します。
 そうした図録の歴史というのは意外と古い,ということを以前にもお話させて頂きましたね。日本では江戸時代既に「書画会」という名前で料亭を会場に絵画展が開催されていましたが,その書画会では既に作品図録が制作販売されていました。当時はまだ写真というものの無かった時代ですが,絵画を精密に写し取った木版画を活用することで図録の制作が可能になっていたのだということです。
 そしてそれは日本に限られた話ではなかったということを今回学びました。フランス・パリのルーヴル美術館には膨大な銅版画のコレクションが存在し,それらの中にはレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」やラファエロ・サンツィオの「美しき女庭師」,ヨハネス・フェルメールの「レースを編む女」など,同館が所蔵する絵画を版画化した作品が含まれているのだそうですね。これは国王ルイ14世がフランスの栄光を人々に伝えるべく芸術作品等を版画化して記録し広く知らしめることを奨励したことに由来するのだとか。因みにルイ14世の在位期間は1643年から1715年で,日本では江戸時代初期から中期に当たります。版画を活用した図録が登場した時期は日仏で大体同じだったと言えるでしょうか。

 来たる2024(令和6)年6月28日から9月1日まで東京・八王子の八王子市夢美術館で,ルーヴル美術館の所蔵するそうした版画作品を展示する展覧会「ルーヴル美術館の銅版画展」が開催されます。これは僕としては非常に興味深い。有名絵画を何処まで正確に版画化しているのかという好奇心を刺激してくれる展示だというのも一つの理由ですが,それ以上に「絵画という原作を版画という別ジャンルに移し替えた美術作品」とはどんなものなのかも興味深いところです。クラシック音楽の世界では例えばムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」をラヴェルが管弦楽曲に編曲したように「同じ楽曲から別の魅力を引き出す」ということがしばしば行われていますが,或いはこちらの版画作品でも同様に「同じ作品なのに別の魅力を感じさせる」ものになっているのではないかと僕などは期待してしまいます。その可能性は低くないでしょう。というのは,フランスでは今も「絵画作品の版画化」という営為が続いているからです。ルーヴル美術館でこれらの版画作品を補完収蔵しているのはカルコグラフィー室という部署ですが,こちらの記事によると「ルーヴル美術館の名画を版画化するという役割」を果たす同室には「20世紀に入ったのちも、現代作家による新作が加えられている」ということです。仮に「写真という技術が無いから已む無く絵画を版画化した」だけであればそういう取組はもはや不要であり,それが今も行われているというのはそこに何らかの美術的意義があるからと考えるのが妥当でしょう。仮にそうであるならば,同じく絵画を版画化するという文化のあった日本でもフランスに倣って現代の絵画作品を版画化することに取り組んでも良さそうです。そのあたりの必要性・妥当性についても作品鑑賞の中で判断してみたいところですね。

 八王子は我が家からは少々遠いというのが実際のところですが,それでも足を運ぶ価値は充分にあると言えるでしょう。こちらの「ルーヴル美術館の銅版画展」,是非日程を開けてお邪魔したいと思っております。



「ルーヴル美術館の銅版画展」八王子市夢美術館で -《モナ・リザ》など、名画の銅版画約100点を公開
https://www.fashion-press.net/news/118595
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