隣の部屋で、父が電話をしている。
ふと聞こえてきた「４」という単語に
不吉な物を感じずにはいられない。
相手はかなり親しくしている親戚
先月、癌が発覚し入院していたのだ。
珍しい癌で、癌センターに転院して
ようやく詳細がわかってきたという状況だった。
盲腸を中心とした腺癌で、
昭和天皇と似たケースだそうだ。
４？
ステージ�犬覆里�？
もっと悲劇的なものだった
「あと４ケ月」と言われたらしい
尤も、医師のいう余命は、あてにならないことは承知している
ALSで余命2年と宣告されたホーキング博士は、
55年も生きることができた。
ここまで極端でなくとも、
3ケ月が3年、くらいのケースは珍しくない。
原因不明で、末期がんが忽然と消えた事例も
世界中でしばしば報告されている。
母の件以来、何をしてもイマイチ現実味がなく、
半ば世界オワタ、「無敵の人」状態で生きてきて、
ようやく……現実世界に戻ってきつつある矢先だった。
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