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2024年05月16日07:38

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少女漫画の原画展,大いに楽しみです

 現代の浮世絵ともいうべき優れた作品の展覧会,大いに楽しみです。

 僕が少女漫画に触れ始めたのは,いつのことだったでしょうか。あまり早い時期ではなかったことだけは確かです。僕は子供の頃から活字の本を読むことが多くそれほど漫画を読まなかったうえに,そもそも男ですから少女漫画というのは滅多に読む機会がありませんでした。ごく稀に読んでも,登場人物の感情の変化などが当時の僕には難しすぎて馴染めなかった覚えがあります。ただ「色遣いも綺麗だし,人物も美しく描かれているのだな」というのは印象に強く残りました。
 そんな僕が本格的に少女漫画の世界に没頭したといえるのは大学の卒業前後,大和和紀氏の「あさきゆめみし」を読んだときのことでしょう。皆様もご存じのとおり「あさきゆめみし」は源氏物語の忠実な翻案であり,古文の理解の助けになるということで愛読する高校生も多いようですが,高校生時代の僕は文学部志望だったこともあってそれなりに古文を読めたので,当時は手に取ることはありませんでした。「評判の漫画だし,源氏物語の世界に触れてみるのも悪くない」と全13巻を一気に購入し,周囲から「一体どうしたの?(。・о・。)?」などと言われながら毎日読み込んでおりました。当時はまだ僕は美術には興味がありませんでしたが,それでも登場人物たちの心の内面を見事に表した表情の描写や背景の華やかさなどに「これは本格的な芸術だ」と深く感じ入ったことを昨日のことのようによく覚えています。

 その後美術鑑賞を趣味にするようになり,また少女漫画そのものではなくても少女漫画家たちの手掛ける恋愛漫画やサスペンスものなどを幾つも読むようになった今も,僕の感想は変わりません。いや,同じことを当時よりもより強く感じるようになったと言えるでしょう。そもそも漫画というのは絵画・文学などを組み合わせた総合芸術であることは当然ですが,特に少女漫画の絵というのは人物の内面を描き出すことにおいて他のジャンルの美術の追随を許さぬものがあるのではないか。また人物の服装や背景などの華やかさや豪奢も他のジャンルの美術ではあまり見ることの出来ないもので,これもまた高い芸術性を備えていると言えるのではないか。僕はそのように感じております。
 そしてそれと同時に,少女漫画とは現代の浮世絵ではないかとも思います。江戸時代には数多くの浮世絵が制作されましたが観賞を目的に制作されるファインアートとは異なり,それらは現代でいうイラストレーションやポスターに相当する主に人々の娯楽のための作品でした。しかし制作の目的如何とは関係無く,出来上がった作品は高い芸術性を帯びている。この点,少女漫画とも大きく共通しますね。

 そんな少女漫画の原画展「創刊50周年記念 花とゆめ展」が,東京・六本木の東京シティビューで開催されるというニュースです。「花とゆめ」は1974(昭和49)年から現代まで刊行され続けている少女漫画誌で,かつて有名な「ガラスの仮面」を連載して痴いたことでも知られていますね。こちらの展覧会は同誌にかつて連載された漫画や現在も連載中の漫画の原画が展示らされるもので,出展される作品は全74名の計200点にも及ぶということです。
 この展覧会は実に意義深いものと言えるでしょう。少女漫画の絵というのは「現代の浮世絵」ともいうべき高い芸術性を持つもので,それらを一堂に集め鑑賞に供したという点でも。またかつて日本人は自分たちが制作し鑑賞していた浮世絵の美術的価値に気付かずジャポニスムに傾倒したヨーロッパ人からそれを教えられるという醜態を晒しましたが,もはや同じ過ちを犯さぬだけの力量を身に付けたことを明らかにしたという点でも。

 こちらの展覧会は2024(令和6)年5月24日から6月30日までの開催ということです。時間には比較的ゆとりがありますが,万が一にも鑑賞を忘れたりしないよう,今のうちにシッカリと予定を立てて会場にお邪魔したいものですね。



少女まんが雑誌『花とゆめ』がつなぎ続けた「自由」 創刊50周年、唯一無二の個性
https://www.sankei.com/article/20240511-5OIVJAVTSVP4XBPCPXANQ6ZM5E/
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