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2024年05月14日01:41

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「トラペジウム」感想

 これは、アイドルグループ・乃木坂46の1期生、高山一実が、現役アイドル時代に執筆した初の長編小説をアニメ映画化したもの。
 監督は、「アニメミライ2013『アルヴ・レズル』」の篠原正寛。

 城州東高校に通う高校1年生の東ゆうは、子供の頃に観たアイドルに憧れ、「城州の東西南北の美少女を集めてアイドルグループを結成する」と言う計画を練り上げた。その計画の実現に向け、ゆうは、城州を駆け回り、お嬢様学校の聖南テネリタス女学院2年生の華鳥蘭子、高専ロボコン優勝を目指す西テクノ工業高等専門学校2年生の大河くるみ、ボランティア活動に勤しむ城州北高校1年生の亀井美嘉と次々に友達になった。そして、ロボコン大会や文化祭といったイベントを通して、ゆうは着々と“東西南北”4人の結束を固めていく。
 そして、人気の観光地のガイドボランティア活動が注目され、ゆうたちはテレビ出演の機会を得る。さらに、番組制作会社のAD・古賀萌香との出会いから、“東西南北”4人のアイドルデビュープロジェクトが始動、ゆうの野望は実現に向けて動き出したのだが……

 これは、女子高生がアイドルになる映画で、絵面的にも女の子ばかりの一見、よくある萌えアニメと見せて、決してキラキラした映画ではなく、結構どす黒い内容――粗筋で判るかもしれないが、これは単体ではアイドルになれない少女がグループを組んでアイドルデビューを目指すと言うもので、自己実現の為には、他の女の子を利用し、その人生を捻じ曲げる事さえ正当化する、東ゆうと言う主人公の暗い野望の物語なのだ。これを、少女マンガタッチのこの絵柄で見せるのはちょっとエグいのでは、と思ったが……芸能界に関心を持つ少女向けなら、この位は当然なのかもしれない。
 また、物語の原作と監修が、元・乃木坂の高山一実なので、そんな内容には現実が少なからず投影されているのだろう。

 ただ、この映画、いささか構成が悪い。
 “東西南北”によるステージ歌唱をクライマックスにすべく、これを後半まで引っ張ったので、その後の挫折と再出発が駆け足になってしまった感があるのだ。展開上、“東西南北”がアイドルとしてステージに立つのはミエミエなので、そこまではもっとテンポよく描き、挫折からの再出発をしっかり描けば、これは王道の青春映画の展開となり、感動も深まったように思う。
 また、最後に10年後に飛び、“東西南北”の4人それぞれが歩んだ人生と、夢の実現を描くのは巧いが、そこにひとり、不在の人物がいるのは画竜点睛を欠くように思えた。
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