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2024年05月27日20:32

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「碁盤斬り」感想

 これは、古典落語「柳田格之進」を元にした加藤正人の小説「碁盤斬り 柳田格之進異聞」を、「孤狼の血」の白石和彌監督が映画化したもの。
 主演は草なぎ剛。共演は「青春18×2」の清原果耶、國村隼、中川大志。

 柳田格之進は、身に覚えのない罪を着せられ、更に妻をも喪って故郷の彦根藩を追われ、今は、娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋暮らしを送っていた。
 清廉潔白である事を信条とする格之進は、かねてから嗜む囲碁でも嘘偽りない勝負を貫き、打ち合った萬屋源兵衛の人柄さえ変えてしまうのだった。
 そんなある日、旧知の藩士によって、藩を追われた事件の真相を知らされた格之進と絹は、妻の仇でもある柴田兵庫への復讐を決意するのだが……

 この物語の元となった落語「柳田格之進」は、あの立川談志が「今の時代には合わない」と演目から外したと言われるもの。それを、本作の脚本も手掛けた加藤正人は、復讐譚としての要素を加える事で、現代の物語として蘇らせた。時代劇としての定番でもある、陥穽と復讐の物語とした事に加え、現代社会に蔓延る「不寛容さ」を柳田に顧みさせる、と言う描写も併せ、現在に通じるものとしたのは、まず見事、と言っていいと思う。
 これが自身初の時代劇だと言う白石和彌監督だが、本作はなかなか本格的な作り。真っ直ぐな主人公に、対峙する悪役との関係で描かれる復讐譚に、周囲の人々と織りなす人情劇、と時代劇に期待されるものをしっかりと押さえつつ、白石監督ならではのバイオレンス描写は抑えられ、これは幅広い観客が身構えずに観られるものとなっている。

 気になったのは、元々の落語の人情譚と、アレンジで付け加えられた復讐譚との違いが悪目立ちしている事で、映画としても、妙に堅苦しく作っているように思えた事。
 白石監督も、初の時代劇と言う事で身構えてしまったのかもしれないが、ここは、落語の人情譚らしく軽妙さが欲しかった所――先日公開された「身代わり忠臣蔵」のような、コメディ仕立てにしてもよかったのではないか、と思う。
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