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2024年05月17日13:19

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「青春18×2 君へと続く道」感想

 これは、「余命十年」の藤井道人監督が台湾の人気紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」を映画化した、日台合作映画。
 出演は「僕と幽霊が家族になった件」のシュー・グァンハン、「1秒先の彼」の清原果耶。

 始まりは18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生のジミーは、日本から来たバックパッカーのアミと出会う。なくした旅費を稼ぐ為にカラオケ店で働き始めたアミは、たちまち店の人気者になり、ジミーも何時しか恋心を覚える――
 それから18年後、人生につまずき故郷に戻ったジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを手に取る。初恋の記憶、そして、あの日の約束を果たす為、ジミーは、彼女が生まれ育った日本への旅を決意する……

 注目されている若手監督の藤井道人だが、自分的には評価していない。リアリティに欠き、時に物語の説得力さえ失う描写をしてしまう、彼の危うさが、どうにも気になってしまうのだ。
 本作も、そんな藤井監督の新作となるだけに、危惧してはいたのだが、そこはベタな青春ラブストーリーの本作だけに、大きな破綻はなく(後半のランタンを見に行く辺りの時間経過くらい)、映画評もまずまずのようだ。

 映画は、自身が作り育て上げた会社を失った36歳のジミーが過去を振り返る回想方式で、現在の日本を旅するジミーが、18年前の初恋を辿り、彼女の最期の想いに辿り着く、と言うもの。
 この構成から、先は読めるし、泣かせる話だと言う予想は出来る――問題は、予想のつかない事がまるでなく、予告編で見せている以上の内容が殆どと言う工夫のなさで、こうした恋愛映画をあまり観ない人にはいいのだろうが、自分的には満足のいくものではなかった。
 物語としては、現実に直面する事を躊躇い、彼女の生家に赴くのを逡巡するシーンがあってもいいだろう。そこで彼の背を後押しするのが、黒木華演じるネカフェ店員――「幸せの黄色いハンカチ」の武田鉄矢の役回り――とでもすれば、踏み出せなかった一歩を踏み出す動機にもなったろうに……やはり、藤井道人だな、と思わざるを得ない。
 また、最後の舞台が福島であるのに、震災にも原発もスルー、と言うのは、本作が海外を指向している事からしても違和感がある。

 ジミー役のシュー・グァンハンは18歳と36歳をまずまず違和感なく演じ分けているし、アミ役の清原果耶も好演しており、まずまずの映画とはなっているが、やはり藤井道人監督には、周囲の期待を超えて来るようなものを見せて欲しい、と思う。
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